じじぃの「科学・芸術_115_インド娯楽映画のパノラマ」

Satyajit Ray's Two (1965) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0Urn4Nrh1BU
映画『ロボット』予告編 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5WMJ2NeCXwA
 映画 「きっと、うまくいく」

一度は観るべきおすすめインド娯楽映画7選【歌に踊りにアクションまで!】 2016年12月3日 Ciatr
●ムトゥ 踊るマハラジャ
大地主のもとで働くムトゥ。彼は人柄と仕事ぶりから多くの人望を勝ち取っていました。そんな中、大地主が恋した劇団女優に、ムトゥが恋をされてしまいます。
http://ciatr.jp/topics/3190
『インドを知る事典』 山下博司、岡光信子/著 東京堂出版 2016年発行
インド映画の歩みと現状 (一部抜粋しています)
インドは、年間の映画制作本数が世界一の国とされてきた。インド映画協会(フィルム・フェデレーション)によれば2013年に検閲を通過した劇映画の総数は1966本となっている。その年のインド映画の本数として紹介されるのは、実のところ検閲を通過した作品の総和である。インドでは検閲を通った作品のみが公開を許される。
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インドの国産映画は100年以上の歴史をもつ。1912年に初の国産映画『ハリッシュチャンドラ王』が作られ、翌年3月3日に封切られた。インドの古典に題材をとった作品である。日本で日活(日活株式会社)が設立され、映画産業が産声をあげたのも1912年(9月10日)というから、両国の映画制作はほぼ同時期に開始されたことになる。
草創期の日本映画は、芝居や歌舞伎の舞台をそのままフィルムに収めたり、それらの手法に倣って作られたものだが、インドの場合も状況は似ている。インドでも、初期の映画は庶民の娯楽として定着していた大道芝居や大衆演劇の題材・技法をふんだんに採り入れながら制作されていった。
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インド映画といえば、サタジット・レイ(ショットジト・ラエ、1921〜1992)の芸術作品を思い浮かべる向きも大いに違いない。アジア映画の旗手として、日本の黒澤明と並び称された世界的な巨匠である。東インドベンガル地方の貧しいブラーフマン一家の生活を描いた名作『大地のうた』(監督・脚本サタジット・レイ)は、1955年に制作され、翌年のカンヌ映画祭で「最優秀ヒューマンドキュメント賞」の栄誉に輝いた。黒澤監督の『羅生門』がヴェネチア映画祭でグランプリを受賞した5年後のことである。『大地のうた』は主人公・アプー少年のその後の成長を描いた不朽の3部作へと発展していく。サタジット・レイの諸作品は、日本でも岩波映画などが取り上げてたびたび公開されており、NHKテレビのアジア映画劇場などでも放映されているので、彼の作品が、今もシニア世代の日本人にとってインドのステレオタイプ的イメージを形作っていることは確かであろう。もっとも、1990年代半ばあたりから、日本でもインドの娯楽映画が注目されるようになっているので、インド映画のイメージも最近では大きく様変わりしている。
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1998年、日本でのタミル語映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』の大ヒットは社会現象とも呼ばれ、インド映画が一般に知られるきっかけとなった。インド映画の「歌い踊る」部分のみが誇張され、『ムトゥ』に続けとばかりに、駄作までもが怒涛のように輸入され、立て続けに上映された。乱立がたたったのか、日本でのインド映画の人気はほどなく冷めてしまったのである。
あれからかなりの歳月が流れ、インド映画が日本で再び注目されている。前回のブームは南インドタミル語映画が中心だったのに対し、最近はボリウッド(ムンバイのインド映画産業全般につけられた俗称)作品に注目が集まっている。中でも『きっと、うまくいく』(2009年、ヒンディー語)は、インドの名門大学(IITがモデルとされる)を舞台にしたコメディーで、2013年5月に日本で封切られると、東京だけでなく地方でも上映されるなど健闘している。この映画の主役を務めたのがアーミル・カーンである。
アーミル・カーンは、映画一族に生まれた俳優、監督、プロデューサーである。「カーン」という姓は南アジア特有のイスラム教徒の名前である。アーミルは、伯父の映画で子役としてデビューし、1988年に主役を務めた映画が大ヒットして以来、整ったルックスと演技力を武器にヒンディー映画におけるヒーローのモデルを形作ってきた。インド映画界で大スターである条件の1つは、主演作が必ずヒットすることである。しかし、アーミルがボリウッドの5大スターの中でナンバーワンと評されるのは、映画のヒット率の高さはもちろん、彼の社会的なイメージによるところが大きい。