じじぃの「人間遺伝子を求めて・チンパンジーとヒトを分けたもの・ジャンクDNA!フューチャー・マインド」

Evolution Of Modern Humans Documentary 2017 FULL HD NEW 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=d1ysNINAQnc
ホモ・サピエンス

Katherine S. Pollard, PhD Gladstone Institutes
Dr. Pollard earned her master’s degree and PhD in biostatistics from the University of California, Berkeley. At Berkeley, she developed computationally intensive statistical methods for the analysis of microarray data with applications in cancer biology. She implemented these approaches in Bioconductor, an open source software program used with high-throughput genomic data. As a comparative genomics postdoctoral fellow at the University of California, Santa Cruz, Dr. Pollard participated in the Chimpanzee Genome Project and used this sequence to identify the fastest evolving regions in the human genome, known as Human Accelerated Regions.
https://gladstone.org/our-science/people/katherine-pollard
DNAに見えた「人間の証し」 K. S. ポラード(カリフォルニア大学サンフランシスコ校) 日経サイエンス
ゲノムプロジェクトによって完全解読されたヒトとチンパンジーの全塩基配列。類人猿の中でも私たちに最も近いチンパンジーと比較すれば、両者を隔てる遺伝子の謎が解けるのではないか? 研究者ならずともそう期待する人は多いだろう。ところが解析結果は意外なものだった。ヒトとチンパンジーの配列の違いは1500万塩基対。ヒトの全ゲノム30億塩基対のわずか0.5%にすぎなかった。
だが著者らはこう述べる。ヒトとチンパンジーの違いを決定付けているのはDNAの変異の「数」ではなく「位置」だ。彼らは、ヒトとチンパンジーが共通祖先から分かれた約600万年前に遡り、他に比べて変異のスピードの速かったDNA領域を探った。
1500万塩基をコンピューターで解析した結果、ヒトとチンパンジーの違いを示す変異リストのトップに上がったのHAR1(ヒト加速領域1)と名付けられた領域だ。HAR1は大脳皮質のしわ形成に関与する領域で、タンパク質の情報を担う遺伝子ではなく、遺伝子発現を調節する役割を担っている。さらに、発話にかかわるFOXP2や脳の大きさと関連するASPMなども霊長類の進化の過程で大きく変化した領域だ。
かつては遺伝子やタンパク質の違いこそが,人間らしさを示すものと考えられてきた。しかしゲノム解読によって見えてきたのは,遺伝子ではなく,多様な遺伝子の発現時期や発現場所を変化させるような領域の重要性だ。ジャンクDNAと呼ばれてきた部分は,“がらくた”ではないどころか,生命と進化の秘密を解くカギを握っているらしい。
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0908/200908_044.html
『サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福』 ユヴァル・ノア・ハラリ/著、柴田裕之/翻訳 河出書房新社 2016年発行
虚構が協力を可能にした より
およそ7万年前から、ホモ・サピエンスは非常に特殊なことを始めた。そのころ、サピエンスの複数の生活集団が、再びアフリカ大陸を離れた。今回は、彼らはネアンデルタール人をはじめ、他の人類種をすべて中東から追い払ったばかりか、地球上からも一掃してしまった。サピエンスは驚くほど短い期間でヨーロッパと東アジアに達した。4万5000年ほど前、彼らはどうにかして大海原を渡り、オーストラリア大陸に上陸した。それまでは人類が足を踏み入れたことのない大陸だ。約7万年前から約3万年前にかけて、人類は舟やランプ、弓矢、針(暖かい服を縫うのに不可欠)を発明した。芸術と呼んで差し支えない最初の品々も、この時期にさかのぼるし(図のシュターデル洞窟のライオン人間を参照のこと)、宗教や交易、社会的階層化の最初の明白な証拠にしても同じだ。
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このように7万年前から3万年前にかけて見られた、新しい思考と意思疎通の方法の登場のことを、「認知革命」という。その原因は何だったのか? それは定かではない。最も信じられている説によれば、たまたま遺伝子の突然変異が起こり、サピエンスの脳内の配線が変わり、それまでにない形で考えたり、まったく新しい種類の言語を使って意思疎通をしたりすることが可能になったのだという。その変異のことを「知恵の木の突然変異」と呼んでもいいかもしれない [訳註 知恵の木は「創世記」に出てくるエデンの園に生えていた木で、アダムとイブはその実を食べて「目が開け」た]。なぜその変異がネアンデルタール人ではなくサピエンスのDNAに起こったのか? 私たちの知るかぎりでは、それはまったくの偶然だった。だが、より重要なのは、「知恵の木の突然変異」の原因よりも結果を理解することだ。サピエンスの新しい言語のどこがそれほど特別だったので、私たちは世界を征服できたのだろう?

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『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』 ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行
知能の遺伝的特質 より
幹細胞のほかに、人間の知能をもたらしている遺伝子を特定するという探索の道筋もある。生物学者は、われわれの遺伝子がチンパンジーとおよそ99パーセント同じであると指摘しているが、われわれのほうが2倍長く生きるし、過去600万年のうちに知的スキルを大幅に向上させた。今後数年以内に、両者の遺伝子の違いをすべて明らかにしたマップが完成し、人間の長寿と高い知能の秘密がこのわずかな違いのなかに見つかる可能性もある。すでに科学者は、人間の脳の進化の原動力となったかもしれない遺伝子をいくつか絞り込んでいる。
すると、ひょっとしたら知能の秘密を解き明かす手がかりは、祖先の類人猿を理解することで得られるのかもしれない。
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SFではなく、われわれを「ヒト」たらしめている遺伝子特質に見せられたひとりの科学者が、キャサリン・ポラード博士だ。10年前から台頭してきた「バイオインフォマティクス(生命情報学)という分野の専門家である。この生物学の分野では、動物を解剖してその成り立ちを理解するのではなく、コンピュータの莫大な能力で動物の身体の遺伝子を数学的に分析する。ポラードは、ヒトと類人猿の違いの本質を決定する遺伝子の探索において最前線にいた。2003年、カリフォルニア大学バークリー校で博士号を取ったばかりのころ、彼女にチャンスが来た。
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ポラードは、われわれのゲノムの大半が、遺伝子を含まず進化の影響をほぼ受けないジャンクDNAでできていることを知っていた。このジャンクDNAは、既知の率でゆっくり変異し、そのためわれわれは600万年ほど前にチンパンジーと分かれたにちがいないことがわかっている。したがって、われわれの細胞のどれにも「分子時計」がある。進化は一部のDNAの変化率を加速するので、その加速がどこで起きているかを調べれば、どの遺伝子が進化をうながしているのかがわかる。
そこでポラードは、ゲノムのなかで変異の加速がとりわけ大きな場所を見つけるコンピュータ・プログラムを作成できれば、ホモ・サピエンスを生み出した遺伝子を正確に特定できるのではないかと考えた。

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どうでもいい、じじぃの日記。
7万年前頃、アフリカにいたホモ・サピエンスが全世界に拡散していった。
すでにこの頃、我々の祖先は宗教的・抽象化されたものを理解する能力を付けていたと考えられている。
人間がどんないきさつでチンパンジーと分かれたのかは大きな謎だ。
かつては、遺伝子の違いを調べれば人間らしさを示す証拠が得られると思われた。
しかし、ゲノム解読によって見えてきたのは、多様な遺伝子の発現時期とか、進化に関係がないと思われていた「ジャンクDNA(ガラクタ遺伝子)」だった。
ジャンクDNAこそ、進化の秘密を解くカギだった。