じじぃの「ある新聞記者の闘病記・糖尿病の合併症で足が壊死!両足をなくして」


閉塞性動脈硬化症(ASO) (arteriosclerotic obliterans )  旭化成メディカル株式会社
下肢の血液が流れにくくなるために、特に足先の冷たい感じやしびれがおこり、歩行が困難になり、放置しておくと足先が壊死(えし=組織の一部が死んだ状態)を起こし、下肢切断に至ることもあります。
I度は下肢の冷感、しびれ、II度は間歇性跛行(一定距離の歩行によって筋肉痛が起こり、休息後再び歩行可能になる)、III度は安静時の下肢の疼痛、IV度は下肢の皮膚潰瘍、下肢壊疽に分類されます。
まず、動脈硬化の原因となっている高コレステロール血症、高血圧、糖尿病に対する薬物療法が基本となります。
また、動脈硬化の原因のひとつされる血症中のLDLコレステロールを除去することを目的に血漿交換療法が行われることもあります。
http://www.asahi-kasei.co.jp/medical/personal/disease/disease_03.html
両足をなくして―車椅子記者のたたかい 籔下彰治朗 1996 amazon
はじまりは糖尿病だった。
激務に追われて放置しておいた新聞記者に合併症が襲いかかる。まず網膜、次に腎臓。心臓の冠動脈をやられ、足のつま先から壊死が始まりついに両足切断。反面教師になるよう自らの体験を明かす。

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『両足をなくして―車椅子記者のたたかい』 籔下彰治朗/著 晶文社 1996年発行
両足切断 (一部抜粋しています)
自分で積極的に選んだのではなく、身障者になって何とかラクしようという魂胆で、おまけにそれも大当て外れの選択ではあったが、記者生活の終わりに、考古学、歴史学分野の取材をかじらせてもらえたのは、幸せであった。
福岡で人工透析を受け、本社ヘリで朝鮮海峡を渡って釜山、金海あたりの古代遺跡を取材し、再び海峡を飛んで帰る。こんなサーカス取材も含めて、何度か、韓国の古代史跡、文化に触れられたのは、間接的にせよ、糖尿病のもたらした、ただ1つのメリットだったと言えるかも知れない。
吉野ヶ里遺蹟の取材のころは、1級身障者ではあったものの、まだ心臓手術を受けておらず、両足もあった。しかし、最後の2年程、私は、山道やぬかるみの発掘現場へたどり着くすべを持たなかった。
介添えを頼み、時には背負ってもらったりして、現場を回った。しかし、それにも限界はある。両足切断の手術後11ヵ月、天草四郎の乱で知られる長崎県島原半島原城遺跡の発掘現場の取材を最後に、私は考古学、歴史学ニュースの取材をも断念した。わたしにできそうなことは、何もない。37年余の記者生活も間もなく終わる日が来ようとしていた。
さて、足を語る順番が来た。心臓手術後間もなく、先に親指のつま先が壊死した右足の、今度は第2指の背の部分が黒ずみ始めた。
打つ手がないことは、先の親指の例で分かっている。清潔に保ちながら、ひたすら回復を待つ。毎朝包帯を解き、患部をのぞく。日ごとに、黒褐色の度合いが深まり、変色部分が広がって行く。
痛む。激しくうずく。半年もたったろうか。これも右足の第3指の背に黒斑が現われた。じりじりと拡大していく。やがて、小指にも飛び火した。この指は小さいせいだろうか。斑点の広がりが早い。
循環器の治療と心臓の手術を受けた文京区の大学病院の皮膚科へ通う。消毒して軟膏を塗り、経過を見続ける外はない。
血漿交換が始まった。これによって血中のコレステロールを減らし、閉塞性動脈硬化症の進行をくいとめるのだという。人工透析同様、週1回、ベットに仰臥しての約2時間、治療を受ける。
勧められて別の民間クリニックで赤外線照射も受けた。何とかしましょう。はなはだ頼もしい約束をもらって1ヵ月程かよった。やがてドクターは宣告した。
「これは、もううちの手に負えません。諦めてください」
真っ黒に変色した小指は、やがてミイラ状に干し固まった。第2、第3、第4指がそれに続く。親指も左半分が黒変した。
休む間もなく、病状は進行する。右足首、足の甲、左足の甲や向こうずねあたりに、ぼつ、ぼつと斑点が出現した。皮膚科医師は、ついに整形外科への転科を指示した。
94年の2月ごろだったか、と記憶する。即座に入院と決まった。
この段階になって、ようやくわたしは両足の切断を覚悟し始める。だが、あくまで未練たらしく、足首から先位を諦めれば済む、と覚悟していた。
外科医術を表現して「鬼手仏心」と言う。わたしの手術を担当してもらった大学病院の整形外科部長は、まさにその具現だったと、今も深く感謝している。
最初の診断で、両足切断の必要を率直に言い渡された。

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どうでもいい、じじぃの日記。
暇なもので、病気に関する本をよく見ている。
図書館の中で医療関係の本を覗いてみたら、『両足をなくして―車椅子記者のたたかい』という本があった。
糖尿病が長く続くと、大きな血管よりも小さな血管に病変が出てくるのだそうだ。
この本には、糖尿病の恐ろしさが順を追って書かれている。
まず、眼の網膜がやられる。
網膜 → 腎臓 (人工透析) → 心臓の冠動脈 → 足のつま先の壊死 → 両足切断
「さて、足を語る順番が来た。心臓手術後間もなく、先に親指のつま先が壊死した右足の、今度は第2指の背の部分が黒ずみ始めた」
じわじわと、足指の壊疽が進む状態を眺めて暮らす心境はどんなものだろうか。
寒い冬。お風呂に入って、体をよく温めようと思う。