じじぃの「人の死にざま_1744_フランツ・ニッスル(精神科医)」

Animated mouse brain 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=w8MAlbbspFQ
細胞を染める

ニッスル染色法で染めた海馬体



フランツ・ニッスルとは コトバンク より
フランツ・ニッスル(Franz Nissl 1860 - 1919) ドイツの神経病学者。
ドイツの神経病学者で、主な業績にNissl顆粒、Nissl変成の記載などがある。

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『バイオサイコロジー―脳 心と行動の神経科学』 ピネル/著、佐藤敬・若林孝一・泉井亮・飛鳥井望/訳 西村書店 2005年発行
神経解剖の方法と方向づけ (一部抜粋しています)
ニューロンを可視化する際に最も大きな問題点は、ニューロンが小さいことにあるのではない。主要な問題点はニューロンが密に存在し、その軸索や樹状突起が複雑に入り組んでいるために、適切な処理なしでは顕微鏡ではほとんど何も見えないということである。神経解剖学的研究において鍵となるのは種々の方法で神経組織を処理することで、各々の方法は神経構造のさまざまな側面を明らかにし、各々の資料によって得られた知識を統合することができる。この点は以下に示す種々の神経解剖学的研究において明らかである。
黎明期の神経科学にもたらされた最大の恩恵は1870年代初頭のイタリアの医師Camillo Golgiによるゴルジ染色Golgi stainの偶然の発見である。Golgiは神経組織のブロックを重クロム酸カリウムと硝酸銀で処理することにより髄膜を染めようとしたのであるが、その時に驚くべきことが起こった。何らかの未知の理由により、Golgiが用いていた2つの物質の化学反応により生じたクロム酸銀が切片内の数個のニューロンに浸み込んでゆき、そのニューロン全体を黒く染めたのである。その発見は、シルエットではあるが個々のニューロンの観察を初めて可能にした(画像参照)。しかしながら、切片上のすべてのニューロンを染める染色法では、ニューロンの構造はわからない。なぜなら、ニューロンはきわめて密に集合しているからである。
ゴルジ染色は染色された少数のニューロンの輪郭を見ることを可能にしたが、ある領域にどの程度の数のニューロンが存在するか、ニューロンの内部構造がどうなっているのか、については何も示さない。これらの欠点を克服した最初の神経系の染色は、ドイツの精神科医Franz Nisslによって1880年代に開発されたニッスル染色Nissl stainであった。ニッスル染色に最もよく用いられる染色液はクレシルバイオレットである。クレシルバイオレットやニッスル染色に用いられる他の染色液は、標本上のすべての細胞に浸透し、ニューロンの細胞体中の構造にのみ結合する。したがって、ある領域のニューロンの数はニッスル染色で染まった点を数えることで見積もることができる。図(画像参照)はクレシルバイオレットで染めた脳の切片の写真である。ニューロンの細胞体からなる層のみが濃く染まっている。