じじぃの「科学・芸術_62_ザ・コーヴ(映画・イルカ漁)」

The Cove | Film Trailer | Participant Media 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=4KRD8e20fBo
映画『ザ・コーヴ』予告編 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=k-g7WWYDJtQ&NR=1
ザ・コーヴ ウィキペディアWikipedia)より
ザ・コーヴ』(The Cove)は、2009年に公開されたアメリカ合衆国ドキュメンタリー映画。監督はルイ・シホヨスが手掛けた。和歌山県太地町で行われているイルカ追い込み漁を描いている。コーヴ(cove)は入り江の意。

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『ワケありな映画』 沢辺有司/著 彩図社 2014年発行
靖国』の再現、「反日!?」で上映中止騒動が勃発 『ザ・コーヴ (一部抜粋しています)
公開か上映中止かでゆれた、もっとも新しい映画が『ザ・コーヴ』だ。
この映画が日本で広く知られる契機となったのは、2010年3月の第82回アカデミー賞。作品は長編ドキュメンタリー賞を受賞する。すでに前年から世界中で公開されており、2009年10月の第22回東京国際映画祭でも公開はされていたが、和歌山県太地町で行われているイルカ漁に強い批判の目が向けられたのは、アカデミー賞がきっかけである。
これを機に、市民活動団体などから、配給会社アンプラグドに「反日映画をなぜ上映するのか」という執拗な抗議がよせられるようになった。
アンプラグドは、2010年4月公開の線で慎重に準備をしていた。
しかし、太地町の人々に配慮し、一部、人物の顔にぼかし等の処理をするために公開を延期する。
5月中旬、シアターN渋谷、シネマート六本木など全国26館で6月26日より公開することを発表。
だが半年後、東京のメイン館であったシアターN渋谷や、シネマート六本木とシネマート心斎橋での上映中止が発表され、この時点で東京での上映館はなくなってしまった。また、仙台や山形、青森での上映の見送りが決定された。
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外国人が日本を撮った映画。それに対して反日映画だという抗議がおき、抗議の矛先が製作サイトではなく配給や上映館に向かう。「自粛」という形で上映中止の連鎖がおき、それに対して文化人らからの「表現の自由」の危機を叫ぶ声が高まり、結局は上映に至る。
こうして見ると、ほぼ、『靖国 YASUKINI』のときと同じような経緯をたどったといえる。
ちなみに、横浜ニューテアトルは、『靖国 YASUKINI』の際には、抗議に屈して上映を見送った苦い経験があったが、『ザ・コーヴ』では、抗議活動を禁止する仮処分の申請を地裁に提出することで、上映にこぎつけている。
さて肝心の中味だが、一部でも指摘されているように、ドキュメンタリーという体裁をとっているにもかかわらず、大半は意図的に演出・構成してつくられている。
太地町での撮影は、町民の協力のもと行われたはずなのだが、映画を観ると、イルカ保護を訴えるリック・オバリーとそれに共感したスタッフらは、町民たちの妨害にあいながらも、イルカ殺しが行われる立ち入り禁止の入江を命がけで撮影するという話に仕立て上げられている。架空の尾行をふりきったり、赤外線カメラで撮影したり、スパイ映画もどきの潜入シーンの連続だ。
町民たちによる妨害シーンをどうやって撮ったかというと、スタッフが途中で撮影意図を明かし、ときには町民たちを挑発したことによる。そうやって収めた妨害映像だけを、いいようにつなげて使ったというわけだ。
また、アメリカ人女性ダイバーが入江でイルカが殺されているシーンを見て泣いているシーンがあるが、これも演技。女性が泣いている映像を撮って、それを血を流したイルカの映像とつなぎあわせてつくられている。
とはいえ、そんな捏造があると知っていても、観賞直後はイルカ漁反対を唱えたくなるのが正直なところだろう。

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週刊現代 2010年4月10号
今週の遺言 大橋巨泉 より
鯨より厄介なマグロ問題、世界中がマグロを食べるようになったのだ
鯨肉の需要は減っている。ボク自身、牛肉が食べられなかった時代に、鯨を食べていた。それが今や高級品になっているというカラクリをはっきりさせる事だ。欧米なみに牛も豚も鶏も、マグロも白身の魚も食べる世界第2の経済大国が、その上で「文化」と称して鯨までも欲するというのは、今や通らないのではないか。
固有の文化をもち出すのは、今では少数民族に限られる。イヌエットのアザラシ狩りや、モンゴルの少数民族による、イヌワシを使った兎狩りなどは、誰も文句は言わない。しかしEUが取引を禁止したように、先進国のアザラシ猟は歓迎されない。イギリスの貴族による狐狩りもほとんど行われなくなった。
赤松農相に直言したい。相手はシー・シュパードでもなく、国際捕鯨委員会でもない。日本国民である。金さえ出せば、力があれば何でも出来るという時代は去りつつある。どんどん少なくなる地球の資源を、どうやって持続的に維持してゆくかを、世界全体で考えてゆく時代が来た。譲るところは譲らなければならない。世論調査をはじめ、国民と対話して、本当に鯨肉は必要なのかを探ることだ。捕鯨の是非の結論は、是非内から出してほしい。
断っておくが、ボクは「優しい、可愛い、動物は殺すな」的な論調には組しない。食料のためには、人間はかなり残酷なことをしてきている。太らせるだけ太らせたガチョウからフォアグラを取る。シー・シュパードのメンバーだって、ラムを食べる。子羊は生まれて数週間から数ヵ月で命を奪われる。だからこうした偽善はやめよう。人間は生きてゆくために動植物を犠牲にしている。それを踏まえた上での冷静な議論を希むのである。