『竜とそばかすの姫』予告2【2021年7月16日(金)公開】
細田守監督「竜とそばかすの姫」カンヌ映画祭上映1000人満席14分拍手
2021年7月16日 日刊スポーツ
細田守監督(53)の新作アニメ映画「竜とそばかすの姫」(16日公開)が15日(日本時間16日)、フランスで開催中のカンヌ映画祭でワールドプレミア上映された。
「竜とそばかすの姫」は、これまでの作品が高く評価される監督の注目すべき新作を集めた「カンヌ・プルミエール部門」に日本から唯一、出品。同監督作品では18年「未来のミライ」が、カンヌ映画祭期間中に併設して開催されるフランス監督協会主催の「監督週間」で上映されたが、同映画祭公式部門への選出は初めてとなった。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202107160000371.html
「竜とそばかすの姫」公式サイト
『夕刊フジ』 2021年7月15日発行
映画監督・細田守 夏休みアニメの伝統を守りたい 最新作「竜とそばかすの姫」16日公開 より
「夏は子供や若者たちが最も成長する。この季節に向けて照準を絞り、新作を製作することは、アニメ監督としての責務だと思ってやってきました」
夏休み、アニメを見に映画館に行く-。日本の“風物詩”として定着しつつあるこの現象。それを支えた宮崎駿監督率いるスタジオジブリが新作製作から離れて久しいなか、「この“伝統”を守っていきたい」。使命のように感じているという。
「製作には時間も手間もかかります。高いクオリティーを保ちながら、テーマが古びていかないように腐心する。このぎりぎりが3年なんです」
2006年夏の「時をかける少女」から、18年夏の「未来のミライ」まで計5本。「3年に1本のペースを守っているでしょう。すべて夏休み公開で」
そして今年。16日公開の「竜とそばかすの姫」もきっちり“中3年”だ。
「新作の構想? 実は30年前にさかのぼるんです」
クリエーターを志し、金沢の美大を卒業して上京。東映動画(現東映アニメーション)に入社するも、「創作の過酷な現場を目の当たりにし、この仕事を続けていけるのか」と悩む日々が続く。
そんな頃、出合ったのが、ディズニーのアニメ大作「美女と野獣」(1991年)だった。
「衝撃を受けました。自分もいつかこんな作品を作りたい…。それまではどんなにつらくても辞めるわけにはいかない」。映画館を出るや、そう決意していた。
その思いを忘れず、ずっと温め、昇華させたのが「竜とそばかす-」だ。
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『みんなの進化論』
デイヴィッド・スローン・ウィルソン/著、中尾ゆかり/訳 NHK出版 2009年発行
リンカーンは美しい より
美的感覚には微妙な性質があり、この性質は生存と繁殖の生々しい闘争と異なる存在の一面を占めるらしい。ダーウインの理論は、私たちが食べ物を探し求め、連れ合いをめぐって戦うわけを解明しても、夕陽をうっとり眺めるわけは解明しなかったかもしれない。鉢を作るわけを説明しても、鉢に装飾をほどこすわけは説明しなかっただろう。
ところが、美の進化論が登場していて、人間の美的感覚だけでなく、ほかの動物の類似の感覚も解明してくれそうだ。
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外見以外の特徴によって人物が美しくなる例で私が気に行っているのは、エイブラハム・リンカーンだ。リンカーンは生前はおそろしく醜いと思われていて、政敵にはゴリラにたとえられた。本人でさえ、自分の外見をジョークのネタにした。
あるとき、顔がふたつある(裏表がある)と非難されて、こう答えた。「ふたつあるなら、この顔をつけていると思いますか」。それでも今日では、私たちの大半が、リンカーンの顔を見上げたら敬愛の念がわかずにいられない。「何てすばらしい人だ――ゴリラに似ているのが残念だけど」とは言わない。私たちはリンカーンの顔が大好きだ。りっぱな人柄と切り離せなくなっている。私たちの美の進化論は安っぽい絵やポルノという「低俗な美」だけでなく、口では説明できないリンカーンの美しさも解明できるのだ。