じじぃの「科学・芸術_61_大同思想(中国の哲学思想)」

勵志歌曲-大同世界-繁體版 動画 Youtube
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大同思想(だいどうしそう)とは コトバンクより
中国の孔子が描いたといわれる理想世界の構想。
礼記』の礼運編にみられる。大同とは,天の公理に基づき,人心が和合し,よく治まった,あらゆる差別のなくなった至公無私の平和な社会をいう。清末に康有為は『礼運注』や『大同書』などの著作で,大同を春秋公羊学の張三世説と組合せ,変革の理論をつくり出した。

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『中国の自業自得 歴史法則から逃れられない中華の悪夢』 黄文雄/著 徳間書店 2014年発行
「大同の世界」こそが中国人のユートピア (一部抜粋しています)
道教の循環史観とやや違って、儒教思想は2000年周期の歴史循環史観を持つ。儒教は古代の唐虞三代(夏・殷・周)2000年の治世を理想的時代とし、秦以降2000年の中華帝国の時代は堕落した時代であり、これからの天下大一統・大同の世界を中華再生の理想的世界と考える。
大同の世界とは、天下「太平の世」である。孟子の「三世」観によれば、歴史は「衰乱の世」から「昇平の世」、そして「太平の世」に至って発展する。「衰乱の世」とは、天下大乱の世であり、中華が統一されると「昇平の世」になり、そして天下の国々、夷狄に至るまで中国が統一され、仁義があまねく天下(世界)に及び、世界国家になれば「太平の世」が現われる。
そもそも「大同の世界」という中国人のユートピア思想は、3000年前の周時代の初期からすでにあった。それはやがて孔子ユートピア思想に引き継がれ、ずっと中国文人の未来の理想的世界像となっている。
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近代儒学者の中で、大同思想をもっとも明確にしたのは、戊戌維新の主役・康有為で、彼はその著『大同書』の中で、「大同の世界」について、こう述べている。
 (一)国界を去って大地を合する (国境があるために戦争が起こる)
 (二)級界を去って民族を平らにする (身分差別を撤廃する)
 (三)種界を去って人類同じくする (人種差別を無くすために異人種同士を交配させ、一つの人種を作り上げる)
 (四)形界を去って独立を保つ (男女差別の撤退)
 (五)家界を去って天民となる (家族制度の撤廃)
 (六)産界を去って生業を公にする (私有財産制度の撤廃)
 (七)乱界を去って太平を治む (大同世界における具体的な行政制度の説明)
驚くべきことは、中華帝国時代のユートピア思想が、康有為ら儒学者たちだけでなく、共和国樹立をめざす孫文社会主義国家の建設をめざす毛沢東さえも、「大同の世界」の呪縛から脱出することができなかったことである。
近代のユートピア思想は、たいてい未来志向的なものが相場である。マルクス主義だけでなく、近代思想の最大の特徴の一つが過去に対する全面否定である。
だが、中国の革命思想は、過去への回帰、つまり復古運動そのものである。秦の時代の商鞅の政治改革が過去に対する否定であったことを除いて、王莽の儒教王国の樹立の根拠は、古代の周易にあり、宋の王安石の改革も古典を根拠にしている。近代化をめざす戊戌維新までそうだった。
中国人に絶対化されたユートピア思想である「大同」の思想も、未来志向的なものではなく、原始世界への回帰するユートピアである。
大同の思想は、キリスト教と違って地上でエデンの園をつくる思想として、原始共産社会への回帰をめざすマルクス主義思想と共通するところもあるだろう。いやむしろマルクス主義思想の原型といえるかもしれない。