ローズマリーの赤ちゃん - 予告編 動画 YouTube
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ロマン・ポランスキー監督おすすめ映画16選 2016年6月11日 シアター
1933年にパリで生まれたポランスキー監督は、第2次世界大戦を目前に、ナチスから身を隠すために両親に連れられてポーランドのゲットーへ逃げます。しかし母親をアウシュビッツ強制収容所で亡くすという悲劇に見舞われており、この時の体験が後の映画人生に深く影響しているとされています。
・ロマン・ポランスキーの吸血鬼(1967)
バンパイヤ(吸血鬼)退治の旅をする教授と助手が宿泊した、怪しい雰囲気漂うトランシルバニアの宿で巻き起こる騒動をコメディタッチで描いたホラーで、ポランスキー監督自身も助手役で出演しています。ポランスキーとヒロインの宿屋の娘役のシャロン・テートはこれを機に結婚しますが、このわずか数年後に悲劇に見舞われることとなります。
ニューヨークに越してきた若妻ローズマリーに忍び寄る悪魔崇拝の恐怖を描いたホラーで、『エクソシスト』や『オーメン』といった、1970年代を席巻したオカルト映画ブームの先陣を切った作品として知られます。作品自体は大ヒットしますが、この直後にポランスキー監督の妻のシャロンが惨殺される事件が発生したことから、「悪魔映画を撮った呪いでは?」と噂されるようになってしまいました。
http://ciatr.jp/topics/170421
『ワケありな映画』 沢辺有司/著 彩図社 2014年発行
公開直後、妊娠した愛妻惨殺の悲劇に直面する 『ローズマリーの赤ちゃん』 (一部抜粋しています)
ロマン・ポランスキー監督のハリウッド・デビュー作にして、オカルトブームの火付け約となった映画である。
不吉な噂が絶えないマンハッタンの古いアパートに越してきた、売れない俳優ガイ(ジョン・カサベテス)と妻のローズマリー(ミア・ファロー)。隣に住む老夫婦と交際をつづけているうちに、ガイの仕事運が上向く。そんなときローズマリーは、老夫婦が届けたデザートを口にして意識を失うが、悪夢から目覚めたとき、妊娠が発覚する。
ローズマリーは、老夫婦が紹介した医者を受診するが強烈な腹痛がおさまらない。やがて彼女は、老夫婦は悪魔の手先で、夫や医者もその仲間だと思い込むようになり、じわじわと恐怖に追いつめられていく……。
本作は、悪魔崇拝をする人々が暮らすアパートで身籠った若妻の緊迫の数ヵ月を描いたものだが、決して悪魔そのものを見せない演出は秀逸である。ローズマリーが恐れる悪魔が本当に存在するのか、それとも妄想にすぎないのか、どちらともとれる構成がこの映画の品格を保っている。
派手なアクションがあるわけでもなく、血が流れるわけでもない。ただ、無垢な少女性をまともったミア・ファローの目が虚ろになり、やつれていく姿がある。
生の肝臓を口にしたり、車で混雑する道路を朦朧とした表じぃうで横断したり、撮影中に本当にやせ細ってしまった華奢な肢体でみせる彼女の演技には、鬼気迫るものがある。
恐怖に起こされた女性を、快楽に近いといえるほどの生々しさで描くポランスキー。都市部における共同住宅での恐怖を描いた『反撥』でも、まだ可憐なイメージの主演カトリーヌ・ドヌーブを恐怖に怯えさせている。しかし、その恐怖が自身に強烈なかたちで迫ってこようとは想像できただろうか。