じじぃの「科学・芸術_522_映画『チャイナタウン』」

チャイナタウン - 予告編 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=rjhhn2rhGUg
Movies 「China town」

ロマン・ポランスキー監督 『チャイナタウン』30年代を背景に米国の巨悪を描いた傑作映画 2004年8月28日 TORA
◆チャイナタウン 1974年 アメリカ映画
ロサンゼルスに事務所を構える私立探偵ギテスのもとへミセス・モーレイと名乗る女性が訪ねて来た。ダム建設技師の夫モ−レイに女がいるらしいので調査して欲しいと言うのだ。
早速、ギテスは調査を開始した。モーレイは確かに若い女と会っていた。公園のボートに乗ったり、とあるアパートで仲むつまじくしている写真を撮った。更に、妻イブリンの父親で町の実力者でもあるノア・クロスとモーレイは何かのことで対立しているらしいことも解った。
ロサンゼルスは海と砂漠に囲まれた大都市ですが、水がない。そこでダムを作って水をロス市へ引く計画でダムが作られますが、実際は市には行かずに砂漠の灌漑に使われることが明らかになってくる。そこで黒幕は無価値な砂漠を買い占めて、灌漑設備が出来上がった時点で売れば巨額な利益が転がり込む計画を主人公の探偵は嗅ぎつける。
黒幕の大富豪は、日本で言えば田中角栄のような人物で、角栄は無価値の河川敷を買い占めて、その後で堤防を作って一挙に資産家になった。ロックフェラーにしても油田地帯の荒野を悪辣な手段で地主を追い立てて買い占めて巨万の富を築いた。日本もアメリカも高度成長期には広大な土地を金のなる木に変えて大富豪になったものが多い。
それがなぜ巨悪かと言うと公共工事の名の下にダムや堤防が作られて、先回りして土地を買い占めたものが巨額な利益を独占するからだ。日本国中に使われない鉄道が引かれたり、高速道路が出来るのも、巨悪が存在するからだ。この仕組みはアメリカも違わないこと描いている。
http://www.asyura2.com/0406/idletalk10/msg/564.html
『世界を変えた14の密約』 ジャック・ペレッティ/著、関美和/訳 文藝春秋 2018年発行
小麦の空売りアラブの春 より
リスクテイクとは、賢いトレーダーがスーパーヒーローのようなアクションをやってのけることのように見られていたが、実際にリスクを取っていたのは、家も仕事もある普通の人たちで、市場が賭けと逆方向に向かえば彼らはすべてを失ってしまう。
リスクをいいものとして受け入れるということは、最悪のリスクも受け入れることにほかならない。それは地球の滅亡だ。国連食糧農業機関のマリアーヘレナ・セメドによると、この地球からはあと60回分しか収穫できないと言う。
無理な農業が土壌を荒らし、地球は急速に砂の惑星になりつつある。2080年までには食物が育たなくなり、人類という種は滅亡の危険にさらされている。
国連の推定では、グローバルな食糧需要に追いつくには毎年600万ヘクタールの農地が必要になるという。現在、土壌の劣化により毎年1200万ヘクタールが失われている。2014年に、科学者たちがフランスのある湖の底の堆積物を分析した。11世紀からずっと積もってきた堆積物だ。その堆積物の塩分を測ったところ、この1世紀の農業の激化によって土壌劣化の速度が60倍にもなっていた。
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今、私たちは映画「チャイナタウン」の世界に足を踏み入れつつある。ロマン・ポランスキー監督のために脚本を書いたのはロバート・タウンだ。水不足の深刻なロサンゼルスで政府と企業が結託して水供給を操るというこの脚本は、アカデミー賞を1975年に受賞した。しかし、いまでは同じような話が世界中のあちこちで起きる時代になっている。干ばつが起きると、価格を上げるために水の供給が意図的に絞られる。
2015年、ロサンゼルスで「チャイナタウン」のシナリオが現実になった。エビアンを所有するネスレは、30年近く前に失効した許可をもとに、カリフォルニア州の水不足の深刻な地域から水を引き揚げて、アローヘッドやクリスタルガイザーといった高級ミネラルウォーターを生産し、世界中で販売していた。それをサン・ベルナディーノの地元紙であるデザート・サンがすっぱ抜いた。
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人新世期の到来で人間が神の上に立つことがますます確実になっているとはいえ、人間はリスクを手ばなすことができずにいる。なぜなら、リスクを取ったおかげで人間はここまで来られたからだ。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の環境科学者、クリス・ラブレー教授は、地球を救いたければ経済リスクへの依存を断ち切るべくだと言う。「人新世期は、わたしたち人間の集合的な行いが地球という装置を支配するという、新しい時代です。地球はわたしたちの生命維持装置です。わたしたちは地球というそれほど大きくない船の乗組員なのです。その機能へのこれほど広く深い侵害は、深刻な出来事なのです。もしあなたやわたしが小さな宇宙船の乗組員なら、空気や水や食べ物を提供し気候を調整してくれるシステムを妨害するなど考えられません。ですが、人新世期への移行とはすなわち、わたしたちが地球をもてあそんでいるということです」
わたしたち人類は、完璧な地球をリスクという経済モデルにもとづいて破壊へと導いている。しかし、いま取るべきリスクは、わたしたちを救うためのリスクであって、さらに地球を破壊に導くようなリスクではない。地球を救うことが破壊するよりも儲かると企業が気づいたときが転換期だ。そうでなければ先物市場で地球の滅亡に賭ける方がいい。
2014年、トヨタは水素燃料自動車を開発した。燃焼の副産物として水を生み出す自動車だ。しかし、70年前の1946年に科学者のヴィンセント・シェイファーは人工降雨を発明していた。単純な化学物質を使って人工雲を作ったのだ。
いまでこそ、ブラック-ショールズ方程式(デリバティブの価格づけに現れる偏微分方程式)のかわりに化学式から水とエネルギーを作るべきだ。なんといっても、水を作るための化学式は極めて単純なのだから。