じじぃの「科学・芸術_54_ビザンティウム(東ローマ帝国)」

Hagia Sophia: Facts, History & Architecture | The most prominent monuments in the world 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=G6_sH9nmV9U
ビザンティウム(ビザンティオン)
聖ソフィア寺院
世界史について質問です。 2013/3/3  Yahoo!知恵袋
質問 ①ビザンティウム ②ビザンティオン ③イスタンブル ④コンスタンティノープルは全て同じ場所ですか?
回答
同じ場所です。元々はコンスタンチノープルですね。330年にコンスタンチヌス1世(大帝)がローマから遷都した際にこの名になりました。
追記:少し詳しく言うと古代ギリシャの植民市時代の名がビザンチウムです。コンスタンチノープルに改称してから発展したわけです。
ビザンチウムの名もその後も残り、ビザンチンという呼び方で東ローマ帝国の別称になりました(「ビザンチン帝国」)。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11103029486
『人間の歴史〈3〉』 M・イリーン、E・セガール/著、作袋一平/訳 岩波少年文庫 1986年発行
東はまだすこしあかるい (一部抜粋しています)
西は夜でも、東はまだすこしあかるい。ちょうど平野がやみに沈んでも、山のいただきには、まだ日があたっているように。
東ローマ帝国の首都、コンスタンティノーブルには、ひきつづき遠い国ぐにから船とキャラバンがはいってくる。アラビアからは香水、インドからはコショウ、香辛料、宝石、アビシニアからは象牙がもたらされる。
ビザンティウムの修道士の、なかをくりぬいたつえに、ひそかにかくされて、絹の虫(カイコ)は中国をぬけだし、遠い旅路にのぼる。そしていま、コンスタンティノーブルの器用な職人は、ビザンティウム絹の高価な織物をつくっている。
西ローマ帝国がほろびたのに、どうして東ローマ帝国は生きながらえたのか?
どれい制度を断ったおかげで、ビザンティウムは生きのびた。
いまローマの大広場には雑草がおいしげっている。ところがコンスタンティノーブルでは、新しいりっぱな宮殿や大寺院が、人びとの目をたのしませている。
人間の手でつくられた大空のように、聖ソフィア教会堂の上に、あかるいまどの帯を基部にうちぬいた広壮なドームがそびえている。このドームをたてるには、また柱列で聴衆席をささえるには、建築技術者たちは古代の知恵にたより、アルキメデスの「支点の書」をめんみつに研究しなければならなかった。
柱の頭部にはごくきゃしゃなリボンが巻きついている。じつは白大理石を彫って、ギザギザのついた木の葉のかたちにしたものだ。かべの地を金色と青色にして、そこにいろいろな色の小石で、キリストと聖者たちの像を、たくみに浮きださせている。
きらびやかな玉座にかまえているこの天界の王者には、どれいとこじきの友であったむかしのキリストのおもかげはない! その足もとには、ビザンティウムの皇帝の像がえがかれている。金のぬいもののある服を着て、頭には評価もできないほどの王冠をいただいている。皇帝はひざまずいて、低くおじぎをし、天界の王者の足のほうへ、両手をさしのばしている。
これは宮廷に召されたとき、ビザンティウム最高の名士たちが、皇帝のまえに低くおじぎをして、その足にキスをするポーズとそっくりだ。
かつてキリスト教徒は、死をおそれないで、ローマ皇帝を神と呼ぶことを、はねつけた。ところがいまかれらはじぶんからすすんで、地上の君主を神とあがめる。聖像には、頭のまわりに後光のさした皇帝がえがかれている。
ビザンティウムには古代ローマをしのばせるものがたくさんある。近隣の諸国民がビザンティウムギリシャ人のことをローマ人と呼んでいるのは、だからすこしもおかしくはない。かれらはまだ古代の法律、古代の学問、古代の芸術のなごりをとどめている。
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古代の哲学者は教会の本のページでさんざんなめにあう。かれらの思想はゆがめられる。かれらをばかにして、ひどい悪口をあびせるような、らんぼうな修道士作家もすくなくない。だいいち、かれらはキリスト者ではなく、異教徒ではないか、などと攻撃する。
ブルガリアのヨアンネスはアリストテレスの教義を、ごくつまらないものに、海のあわにたとえる。アマルトルのゲオルギオスはデモクリトスのことを、罪人だときめつける。
かつてギリシャの青い空の下で、異教の神殿の柱の列が、なんとまっ白にすがすがしかったことだろう! ギリシャの学者の作品のなかで、なんと思想があざやかにきらめいたことだろう! いまそこには、たそがれの影がおおいかぶさった。古代芸術の最後の光は、ビザンティウムの聖像の銀と金のなかで、ようやく消えうせようとしている。くずれ落ちた異教の神殿の大理石の柱が、教会堂のドームをささえている。