じじぃの「科学・芸術_24_ゲシュタルト療法」

ゲシュタルト療法は禅に通じている

ゲシュタルト療法とは? 日本ゲシュタルト療法学会
ゲシュタルト療法は、精神分析フレデリック・S・パールズ(Frederick S.Perls.)とゲシュタルト心理学者であった妻のローラ・パールズ(Laura Perls.)、ポール・グッドマン(Paul Goodman)らによって創られた心理療法です。パールズは彼の著『ゲシュタルト療法−その理論と実際−』で、ゲシュタルト療法は「いま―ここ」中心のセラピーである、と表現しています。
ゲシュタルト療法は、人間は外部の世界をバラバラな寄せ集めとして認識するのではなく、意味のある一つのまとまった全体像(ゲシュタルト)として構成し、認識するというゲシュタルト心理学の視点を基本概念にしています。ゲシュタルト療法の創始者であるF.S.パールズが影響を受けたのはフロイト精神分析ゲシュタルト心理学実存主義現象学と東洋の禅です。
http://www.ja-gestalt.org/html/gestalt/
『心理学大図鑑』 キャサリンコーリン/著、小須田健/訳 三省堂 2013年発行
ゲシュタルト療法 (一部抜粋しています)
18世紀」にドイツの哲学者カントは、私たちの知識が精神と感覚の制約にしばられている以上、私たちにはけっして自分たちの「外部」になにがあるかは知り得ないと指摘して、世界についての私たちの思考に革命的転回をもたらした。事物が「それ自体において」どのようなものかはわからない。わかるのはわたしたちに経験されるかぎりでの姿だけだ。この見解が、ゲシュタルト療法の土台をなしている。ゲシュタルト療法によれば、人間的経験の複雑さは、その悲劇性とトラウマ、着想と熱情、ほとんど無限の広がりをもった可能性もふくめて、私たちが事物を見るさいに用いる個人的「レンズ」によってコード化されている。私たちはあらゆる音や感情、世界の光景を自動的に吸収するわけではなく、たんにそのうちの若干のものをスキャンし選択しているにすぎない。
ゲシュタルト療法の創設者のひとりであるフリッツ・パールズによれば、現実についての個人的な感覚は、できごとそのものではなく、私たちが経験を見るその仕方にによってつくられる。だが、このことは容易に忘れさられるばかりか認められることさえない。パールズに言わせるなら、私たちには、知覚の役割とそれが自分に見えるパースペクティブ――そこには、いっさいの観念や行為、さらにはそのつどのパースペクティブに由来する信念もふくまれる――の形成にさうしてもたらす影響をそれと認めるよりも、世界についてのみずからの見方を絶対的で客観的な真実ととりちがえる傾向がある。パールズの考えでは、私たちがもちうる唯一の真実は自分自身の個人的真実だけだ。
     ・
1964年に、パールズはカリフォルニアのエサレン研究所の常勤講師となり、この高名な研究所のスピリチュアルな面ならびに心理学上の発展にたいして大きな影響を残した。1970年代に爆発的に人気を博したあと、ゲシュタルト療法は流行おくれtなったが、その教義はほかのさまざまなタイプの治療のルーツとなっていった。ゲシュタルトはこんにちでは、治療にたいする「標準的な」アプローチのひとつとなっている。