Amazing Grace (1 of 3) The History and Theology of Calvinism 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=oCtrOqYXekE
佐藤優
聖書を語る (文春文庫) | 佐藤 優, 中村 うさぎ Amazon.co.jp
生まれた時から神様に選ばれていると疑わない他力本願のカルヴァン派・佐藤優と、あくまでも努力で救われると信じる自力本願のバプテスト派・中村うさぎ。
共に同志社大学出身、キリスト教徒の二人が「聖書」「村上春樹とサリンジャー」「地震と原発」をテーマに火花を散らす異色の対談集。伝統宗教は震災後の日本を救えるのか!?
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佐藤優(作家) ウィキペディア(Wikipedia)より
佐藤 優(さとう まさる、1960年〈昭和35年〉1月18日 - )は、日本の外交官、作家。学位は神学修士(同志社大学・1985年)。静岡文化芸術大学招聘客員教授。
在ロシア大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、モスクワ国立大学客員講師、拓殖大学客員教授、東京大学教養学部非常勤講師などを歴任した。
【逮捕・起訴】
2002年5月14日に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕される。同年7月3日、偽計業務妨害容疑で再逮捕。512日間の勾留の後、2003年10月に保釈された。
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『獄中記』 佐藤優/著 岩波書店 2006年発行
神と人間をめぐる思索 同志社大学神学部時代からの友人へのメッセージ (一部抜粋しています)
人間は20歳前後で形成された人柄というものはなかなか変わらないと思う。それから、物事の基本的考え方というのも、20歳代で基本的方向性が定まり、それがだいたい結晶化していくということではないかと思う。
この点について、僕は大学時代からキリスト論、特に受肉論に関心をもっていたが、これは今も変化していない。どのような素晴らしい理念があっても、それが現実に具体化しないならば意味がない。
倫理規範としては、受肉論は苦難のキリスト論と表裏一体の関係にあるのだと思う。神が自らの一人子をあえて人類で最も悲惨なイスラエルの人々の「最も深い深淵」に送り、イエス・キリストが神の子であるにもかかわらず、十字架にかかる死刑囚への道を自覚的に選択していったということが、われわれにとっての人生選択の基準なのだと思う。
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キリスト教の欧米文化・文明からの解放、あるいはコンスタンティヌス帝以降の(教会が国家権力から切り離された)時代を積極的に神学に取り入れようとしたフロマートカのアプローチを継承的に発展させることが僕の仕事ではないかと10年くらい前から考えるようになった。モスクワ大学ではこのテーマで毎年講義をしていた。
キリスト教の普遍性についても、二つのアプローチが可能だと思う。
ひとつは、この世界は神により創られたものなので、自然を読んでいればキリスト教の普遍性を読み取ることができるという考え方で、カトリック神学はもとより、最近のプロテスタント神学(例えばモルトマン、その他エコロジー系神学者)にもその傾向が強い。ヘーゲル体系も突き詰めていけばそうなる。滝沢克己の「インマヌエルの原事実」も晩年には非常に汎神論的になってきた。
僕はこれら現代プロテスタント神学の流行とは異なる流れにシンパシーを感じる。バルト、フロマートカ等のイエス・キリストによる神の啓示に集中していくという手法である。多くの人々はまだ気づいていないが、この考え方は、現在、キリスト教世界よりもイスラーム世界(イスラーム教のハンバリー法学派、ワッハーブ過激派やウサマ・ビン・ラディンらのテロリストのイデオロギー的基盤となっている)で流行している。イスラーム原理主義の知的世界に与えるインパクトはこれから大きくなる。
それと同時にバルト、フロマートカの背景にあるユダヤ教の伝統にも強い関心を持ち出している。
廣松渉はマルクス主義形成にあたっては、『ドイツ・イデオロギー』が決定的に重要で、そこにはエンゲルスが主導的役割を果たし、さらに事実上の共著者であるモーゼス・ヘスという、その後マルクスたちと別の道を進んだヘーゲル左派主義者の役割を無視できないという立論をしていることは君もよく知っていると思う。
問題はモーゼス・ヘスのその後である。ヘスはシオニズムのイデオローグとなった。イスラエルの建国理念はヘス抜きに理解することはできない。
1840年代半ばにドイツの狭いサークルで生まれた理念が、一つはマルクス主義になりソ連という理念先行国家を創り出し、もう一つは少し遅れてイスラエルという理念先行国家を創り出したと整理することができる。
ソ連は崩壊したが、イスラエルは国際ユダヤ・ロビーを用いアメリカを動かすまでの怪物国家になり、その影響は今後ますます大きくなるだろう。
200年後、マルクス主義は思想史上、「19世紀末から20世紀に強い影響を持ったユダヤ教の一宗派」という形で整理されるかもしれない。
様々な巡り合わせから、僕にはユダヤ人の友人がイスラエルでもロシアでも数多くできた。その関係もあり、ユダヤ思想にも取り組んだが、その幅の広さ、懐の深さに驚いた。
例えば、フロイトの精神分析学は中世ユダヤ教の「カバラーの知恵」の延長線上にある。
マルクスの研究者としての姿勢(大学に籍を置かず、現実の労働現場の視察には全く関心を持たず、書物の上の知識を重視し、先行思想に対する批判的コメンタリーを作っていくという手法)はタルムート(ユダヤ教伝承集)学者そのものである。
キリスト教の普遍性という観点から、つまりキリスト教を支持する、支持しないという当事者の主観的言明に関心をはらわず、神が人間について何を述べているかという観点から見ると、ヘーゲル体系はもとより、フロイトの精神分析学もマルクス主義も全てキリスト教の普遍性に包み込むことができる。
ある意味で、俺の考え方は、キリスト教(プロテスタント)神学の極めて伝統的な枠内に収まってしまうのであろうが、外に出たら神学研究に残りの人生のほとんどを使いたいと思う。