じじぃの「人の生きざま_643_ジェーン・グドール(霊長類学者)」

ジェーン・グドール: 類人猿とヒトを分かつもの 動画 TED
https://www.ted.com/talks/jane_goodall_on_what_separates_us_from_the_apes?language=ja
ジェーン・グドール

ジェーン・グドール博士について JGI-J
ジェーン・グドールは1934年イギリスのロンドンで生まれました。
ジェーンは小さな頃から動物が好きで,よく裏庭で鳥やリスを日が暮れるまでじっと観察している少女でした。また,ターザンやドリトル先生の本を読んでは,動物に囲まれて暮らすのを夢見ていました。
http://www.jgi-japan.info/ja/1/page-0.html
クローズアップ現代+ 「追跡!ペットビジネスの闇」 2016年5月26日 NHK
【キャスター】鎌倉千秋 【ゲスト】春香クリスティーン(タレント)、森達也(映画監督)
「ネコノミクス」という言葉も生まれるほど、空前の猫ブームに沸く日本。犬猫だけで推計2000万匹が飼育されているペット社会の裏側で、「引き取り屋」と呼ばれるビジネスが横行していることが明らかになってきた。ペットショップなど、流通過程であまったペットを有料で引き取り、劣悪な環境で飼い殺している業者も少なくないと言う。
ペットショップで売れ残った子犬や、繁殖能力が衰えた繁殖犬を、1匹あたり数千円から数万円程度の費用をもらって引き取るビジネスだ。
犬、猫の引き取り屋というビジネスが活発化している背景には、2013年9月に施行された改正動物愛護法がある。
ところが、少なくない業者にとってこれらの規制は、売れ残った子犬や繁殖能力が衰えた繁殖犬を処分するための「出口」の一つを失うことしか意味しなかった。改正動物愛護法では、8週齢規制が「骨抜き」になり、飼養施設規制や繁殖制限なども見送られたため、生体の流通・小売業者を頂点に据えた大量生産、大量消費、大量遺棄のビジネスモデルはそのまま温存されてしまったためだ。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3811/index.html
『平和をつくった世界の 20人』 ジュニア新書編集部 岩波ジュニア新書 2009年発行
ジェーン・グドール 人間らしさを理解すること (一部抜粋しています)
1934年、ヴァレリー・ジェーン・モリス=グドールはイギリスのロンドンに生まれました。両親は、幼い娘が自然や動物のとりこになっていることに気がつきました。成長したグドールは、庭を散策したり、飼い犬と遊んだり、お気に入りの木に登って冒険物語を読みふけったりすることを好むようになりました。そしてターザン・シリーズを全巻集めて、いつの日かアフリカに渡り、動物を研究して本にまとめることを夢見るようになりました。
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アフリカで、グドールは文化人類学者のルイス・リーキー博士に出会いました。博士は彼女を秘書として雇い、ついに野性チンパンジーの研究の未知へと誘いました。彼女は科学者ではありませんでしたが、彼女が備える天性の好奇心と忍耐力こそが、まさに野性チンパンジーの研究に必要なものであると、リーキー博士は考えたのです。彼女はわくわくしながら、チンパンジーについて手に入るあらゆる資料を読みあさり、その間リーキー博士は研究プロジェクトに対する助成金を探しました。資金が得られるやいなや26歳のグドールは、現在タンザニアのゴンベ・ストリーム国立公園となっている場所に出かけ、大型類人猿を探して森へと入って行ったのです。
グドールはすぐに、科学の研究において当然とされているきまりを破りました。調査対象に、番号の代わりに名前を付けたのです。彼女は冷静に客観的でいる代わりに、調査対象に対して共感をもって接しました。16ヵ月近く熱心に観察して、1961年、ついに科学の常識をくつがえすことを目撃しました。
それまでは、道具を作ったり使ったりするのは、人間だけであると考えられてきました。しかし、ディヴィット老人とゴリアテと名付けた2匹のチンパンジーが、植物の茎から葉をむしりとって、残った茎をシロアリ塚に挿して、茎を上ってくるシロアリを食べている姿を、彼女は目にしたのです。チンパンジーは道具を作り、それを使うことができたのです。
チンパンジーが灯具を使うのを目撃したのは私が最初ではありません。たくさんのアフリカ人たちが、その様子をすでに見ています。でもそれを報告した最初の科学者が私だったのです」とグドールは言っています。科学の世界を震撼させたグドールの発見は、人間と動物を隔てる境界線をあいまいにしました。そして科学者は、道具とは何か、人間とは何かということに再定義するか、チンパンジーを人間として見なすかを迫られたのです。この発見によって、特に米国地理学協会から、研究をさらに続けていくための資金が提供されることになりました。その一方で、彼女は野生動物の行動を研究する動物行動学という分野で、ケンブリッジ大学から博士号を授与されました。
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仕事にもどり、グドールは何十年にも及ぶ研究を『野生チンパンジーの世界』という1冊の本にまとめました。イリノイ州シカゴで開かれた学会で、本の出版を祝っているときに、彼女はゴンベ以外に住むチンパンジーが直面する危機について知ったのです。世界中でチンパンジーがむごい実験に使用され苦しんでいること、食用として狩られたり、生け捕りにされて売られたりしていること、さらに驚くべき早さでチンパンジーの居住区が破壊されていることを知り、彼女は衝撃を受けました。すぐに愛すべきチンパンジーを救うため、世界的なキャンペーンを始めました。「1986年10月のあの学会以降、私は1つの場所に3週間といたことはありません」と彼女は語っています。
聞いた話がほんとうかどうかを確かめるためにグドールは自らチンパンジーで実験を行っている実験室を回りました。チンパンジーと人間のDNAは、1パーセント強しか違いません。チンパンジーに細菌が感染しないようマスクして、彼女はコンクリートと鉄でできた窓の無い部屋に入っていきました。そこで、施設にいる約300匹のチンパンジーの中で、ジョジョという名の1匹のオスのチンパンジーに会いました。
野生から連れ去られ、ジョジョは幅と奥行き1.5メートル、高さ2.1メートルの檻(おり)に入れられ、そのからだは製薬会社が行なう薬とワクチンの検査に貸し出されていました。ジョジョはこんなふうにして10年間も生きてきたのです。その10年で、とほうもなく退屈な生活が途切れるのは、恐怖と痛みによってのみであったことが、グドールにはわかりました。
檻の前でゆっくりとひざまずき、グドールはジョジョの茶色い目をのぞき込んで、「ジョジョは何1つ悪いことをしていないのに、一生囚(とら)われの身なのだ。自分が人間であることが恥ずかしい」と思ったのを覚えていると言っています。彼女は「ジョジョはゆっくりと檻の間から手をのばして、マスクへと涙が流れ落ちている私の頬に触れました」と語りました。
その時以来、グドールは、化粧品や家庭用品の開発における動物実験の廃止、医学実験に使用される動物の削減、組織培養法やコンピューターを使ってのシミュレーションならびに試験管を使っての実験など、動物実験に代わる実験方法の開発などを呼びかけています。批判的な人々が反対したとき、彼女は、彼女の母親の命を救うために、医者が豚の心臓弁を母の心臓に移植した話を語りました。その便は食肉用に殺された豚から取られたものでしたが、その治療法は実験室の他の豚を使って開発されたものでした。母を救ってくれたことについてグドールは移植と実験で使われた豚に心から感謝するとともに、実験室と農場で、その部たち同じ境遇にある動物たちの状況を改善するためにできるだけのことをしたい、将来的には、これ以上、こうした目的で動物が使われることがないように、動物実験以外の選択肢を支持していきたい、と語りました。