じじぃの「人の死にざま_1672_エドゥアルト・ブフナー(化学・発酵学者)」

発酵で日本酒を作る仕組み (evergreenlove.net HPより)

いきいき! エバーグリーンラブ
酵素というと、アミラーゼやペプシンといった消化酵素を思い浮かべる方も多いでしょうが、消化吸収だけでなく、排泄や、呼吸すること、身体を動かすこと、見ること、聞くこと、感じること、喜ぶこと、悲しむこと、考えることにも、化学反応が関わり、そこには必ず酵素が触媒として働いています。
実は生物の生命活動のほとんどすべてに酵素が関わっているといっても良いのです。
http://www.evergreenlove.net/2015/09/blog-post_18.html
エドゥアルト・ブフナー ウィキペディアWikipedia) より
エドゥアルト・ブフナー(Eduard Buchner, 1860年5月20日 - 1917年8月13日)はドイツの化学者、発酵学者。発酵の化学・生物学的諸研究により、1907年にノーベル化学賞を受賞した。

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酵素のちから―生命を支える』 左右田健次/著 岩波ジュニア新書 2005年発行
デンプンから甘酒やお酒をつくる (一部抜粋しています)
冬の日、外から帰ってくると、凍ったようなからだを熱い甘酒が生き返らせてくれたのは、わたしの遠い昔の思い出です。今でも甘酒は、寺院や神社の茶店や、甘味処で売られていますね。
蒸米(むしまい)を冷やして、これにコウジカビを培養した麹(こうじ)を混ぜ、セ氏50〜60度に保つと甘酒はできるのです。コウジカビのデンプン分解酵素、アミラーゼが米のデンプンを加水分解して糖に変えたのが甘酒で、この過程は糖化とよばれています。デンプンは、ブドウ糖が鎖のように連なった化合物です。分解されればブドウ糖が生じます。原理的には、これに酒酵母を加えてアルコール発酵を起こさせると、日本酒ができます。
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このように、人間の食物消化や酒類醸造などに関連した糖化といった身近な現象から酵素の作用は科学的に注目されはじめ、研究されてきたのです。19世紀中ごろには、ジアスターゼという言葉が、アミラーゼの別名としてだけでなく、酵素全体をさす言葉として使われていました。しかし、1878(明治11)年ころに、ドイツの科学者によって、ギリシャ語の(酵母の中)という意味をもつエンツィーム(酵素。英語ではEnzyme)という言葉が提案され、現在も広く使われています。
先に述べたように、ビールは数千年前からつくられており、その醸造のようすは紀元前2300年ごろのエジプトの壁画に描かれています。ワインもまた、数千年前から小アジア醸造されており、また、中国では四千数百年前に米から酒が造られています。人類の歴史があれば、そこには酒の歴史があったのです。
19世紀前半、化学者J・リービッヒは「アルコール発酵は化学反応で起こる」という説を唱えていました。しかし、パスツール酵母を使った実験によってそれを打ち破り「生命なきところに発酵なし」という有名な言葉を唱えました。
1897(明治30)年、E・ブフナーは、生きた細菌がなくてもアルコール発酵が起こることを実証しました。酵母細胞をすりつぶしてつくった細胞抽出液を砂糖液に加えると、生きた細胞がなくてもアルコール発酵が起こったのです。これは、志賀潔赤痢菌を発見し、島崎藤村が詩集『若菜集』を出した年のことです。
ブフナーは、パスツールの説を破ったというよりは、深化させて、アルコール発酵は酵母という生物がなくても、酵母細胞の中の酵素、すなわち触媒作用をもつ物質があれば起こることを明らかにしたのです。そして、この酵母中の酵素にチマーゼという名前をつけました。
今では、単一の酵素ではなく、たくさんの酵素反応の連携によって、糖がアルコールに変ることがわかっています。とはいえ、ブフナーは酵素研究に不滅の貢献を果たしたといえましょう。1907年にブフナーはノーベル化学賞を受けています。