じじぃの「人の生きざま_618_ウィルフレッド・ビゲロー(心臓外科医)」

世界のスーパードクター (心臓手術) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=haexnpQL8O4
7. 外呼吸と内呼吸の理解 MITSUE KUMAGAI
●低体温で分裂する細胞群
ミトコンドリアの持ちこんだ核内の分裂抑制遺伝子は全身の全ての細胞に入っていますから、ガン細胞だけではなく、正常の細胞で分裂する細胞もミトコンドリアの働きによって影響を受けています。からだの中のすべての分裂細胞はミトコンドリアの機能を抑えないと分裂が起こらないということです。
ミトコンドリアの機能を抑制するために低体温と低酸素状態にすればいいわけです。
http://www.kumagai-mitsue.jp/cont7/20.html
Wilfred Gordon Bigelow Wikipedia より
Wilfred Gordon "Bill" Bigelow, OC FRSC (June 18, 1913 - March 27, 2005) was a Canadian heart surgeon known for his role in developing the artificial pacemaker and the use of hypothermia in open heart surgery.
Born in Brandon, Manitoba, the son of Dr. Wilfred Abram Bigelow, founder of the first private medical clinic in Canada, and Grace Ann Gordon, nurse and midwife, he gained his MD from the University of Toronto in 1938. He served during World War II as a Captain in the Royal Canadian Medical Army Corps, performing battle surgery on the frontlines. He was appointed to the surgical staff of Toronto General Hospital in 1947, after spending a year at Johns Hopkins Medical School, and to the Department of Surgery at the University of Toronto in 1948.
【External links】
Wilfred G. Bigelow: From Cooling Hearts to Pacing Them

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『蘇生科学があなたの死に方を変える』 デイヴィッド・カサレット/著、今西康子/訳 白揚社 2016年発行
アイスウーマンの秘密――蘇生科学の常識を疑う (一部抜粋しています)
ベッカーはにやりとした。酸欠状態の細胞で起きていることは、ちょうどそんな感じなのだという。クルマと同様に、燃料が満タンならば、細胞も元気に活動する。しかし、タンクが空っぽになると、クルマ同様、ミトコンドリアも活動を停止してしまう。
しかし、燃料を使いこなす準備の整っていないミトコンドリアにむりやり燃料を送り込もうとしても、ミトコンドリアは迷惑するだけだ。一度酸欠に陥った細胞に酸素を戻すと、あの危険なフリーラジカルが爆発的に増えるなど、アポトーシスのプロセスが本格的に始動することになる。心停止中の患者に何を補給するかについて慎重にならねばならないのはもちろんだが、心拍再開後も最新の注意が必要だ。
ではどうすればいいのだろう? 細胞を死なせるわけにはいかない。何かをしなくては。
そう思うのが普通だが、じつは難しいことは何もする必要はない。
細胞や臓器を守るには、どうすればいいのだろう? その答えの1つは、200年前にロシア人が考え出した方法――つまり、冷やすことだ。
私たちはずっと昔から低温の効果を知っている。ミトコンドリアが何者で、どんな役割を担っているかを理解するようになる前から。
ロシア方式の研究の草分けとして、最も多くの業績を残した研究者の一人に、カナダの心臓専門医、ウィルフレッド・ビゲローがいる。彼は最初から蘇生法に興味があったわけではなく、手術中に心臓や脳を保護する方法をひたすら模索していた。
「周知のとおり、心臓が停止した状態で人間が生きていられるのは3分間程度である」と初期の論文で述べている。そして、このことが心臓手術の「厳しい制約として外科医に立ちはだかる」と、カナダ人らしい控えめな表現で続けている。
冗談じゃない、3分だなんて。心臓をいったん止めて、心臓弁を修復したり、アランの医者がやったように冠動脈にバイパスを作ったりしてから、すべてを元に戻す。それを3分間でやろうなんで、どう考えても不可能だ。ではいったいどうすればいいのだろう。
解決法はビゲローがある晩、眠っている間に舞い降りてきたらしい。それは第二次世界大戦中の体験にもとづくものだった。あるインタビューの中で次のように語っている。「もともと私は、冷やすことによって腕や脚を保護できないかと考えていたのですが」、ある晩、潜在意識が優位に働いて、はるかに壮大なアイデアが浮かんだ。「目覚めたとたんに閃いたのです。全身を冷やせばいいではないかと」