じじぃの「人の生きざま_613_中根・千枝(人類学者)」


「タテ社会の人間関係」 ソトから見えた日本の構造とは 中根千枝さん 2014.11.24 産経ニュース
もう少し柔軟なシステムになるのが望ましいのでしょうね。
http://www.sankei.com/life/news/141124/lif1411240024-n1.html
10代のための「学び」考 中根千枝 本当に大切なのは好きな道に進むこと、思いがあればいつか道は開ける 2007.07 ベネッセ教育総合研究所
中根千枝(なかね・ちえ)
1926年東京都生まれ。東京大文学部東洋史学科卒業後、インドで調査活動を行う。その後、ロンドン大学社会人類学を専攻。
帰国後、東京大東洋文化研究所の講師、助教授を経て、女性初の東京大教授に就任。同研究所所長も務める。2001年、文化勲章受章。専門はインド、チベット、日本の社会組織の研究。
『タテ社会の人間関係』(講談社・1967年刊)は、代表的な日本人論として今も国内外で読まれている名著だ。著者の中根千枝東京大名誉教授は社会人類学のパイオニアだが、初めから研究者を目指していたわけではなかったという。
http://berd.benesse.jp/berd/center/open/chu/view21/2007/07/c07manabi_01.html
『戦後70年 にっぽんの記憶』 橋本五郎/編、読売新聞取材班/著 中央公論新社 2015年発行
タテ社会 こぼれる弱者 社会人類学者 中根千枝 (一部抜粋しています)
1967年に出版された『タテ社会の人間関係』は、戦後間もない日本の農村での調査や、インド、イギリス、イタリアでの留学経験、海外の大学で教鞭を執った経験を通じ、日本社会の特色について、理論的な説明を試みたものです。
日本の農村は習慣などに地域差はありますが、人間関係の結び方とか、集団の意思決定の仕方などは同じなんですね。村は閉鎖性が強く、村の意思決定機関である「寄り合い」には1軒から1人ずつというのが昔からの決まりとなっています。生活共同体の場である「家」が社会集団の単位となっているためです。同様に、家々の集合である村が、集団の重要な枠として位置づけられます。
こうした農村の社会構造について、ロンドン大学で講義しました。そして、帰国後、教授会も英米と違って、物事の決め方が、むしろ村の寄り合いと軌を一にすることに気がついたんです。
日本人は、自分を位置づけるときに、家、村、大学、会社といった枠を重んじ、その中では、タテの人間関係が重要視されます。
序列もはっきりとしていて、家なら家長、農村ならばより古い家、会社ならば先輩、後輩の関係が重んじられ、会議では、序列が上の人の発言権が強く、話す順番も先になるんです。
 <著書では、インドなどとの比較から、日本では、会社や大学のような所属機関や、村のような一定の地域という場が重視されると指摘。会社など自分が属する集団への貴族意識が強い日本社会の特性を鮮やかに切り取った、日本人論の必読書となった>
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タテ社会の弱点は、場を持たない人が孤立してしまうことです。日本では近年、そうした人が増えています。
宗教組織が社会的に機能している国では、貧者のための病院を作るなど、チャリティーが根付いています。ヨコのネットワークの機能が強いインドでは、貧しい人々同士にも連帯が見られます。日本は、企業、家、地域などの小集団による相互扶助がかつての力を失っていますから、場を持たない人は国などの社会福祉に頼らざるをえなくなります。
 <日本は2008年に人口のピークを迎えた。地方では、人口減や若者の転出で、場としての維持が難しい集落も増えている>
私が以前に訪れた宮崎県高千穂町は神楽が盛んですが、人口減などで1つの集落で運営するのが難しくなり、いくつかの周辺集落が協力して、神楽の祭りを続けていると話していました。このように、集落間でより広い関係を築くのは、地方の人口減に対する、善い解決方法になると思います。