じじぃの「神話伝説_149_豚肉のタブー(ユダヤ教・イスラム教)」

Pig pork is bad for you 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5K0SEiIGqGk
Pork taboo in middle east?

食のタブー ウィキペディアWikipedia)より
宗教によっては、特定の食肉の摂取を禁じている例が少なくない。たとえば、ユダヤ教はカシュルート(適正食品規定)と呼ばれる食べてよいものといけないものに関する厳しい規則を定めている。
古代メソポタミアでは、豚は卑しい物とされていたが、食べられていた。馬、犬、蛇を食べることはタブーであった。
古代エジプトでは、豚と牡山羊は不浄な物として、神殿への生贄としての持ち込みが禁止されていた。しかし庶民は気にせず食べていたし、養豚も行われていた。
豚肉を食べることは、イスラム教、ユダヤ教セブンスデー・アドベンチスト教会で戒律上禁じられており、現在でも比較的良く守られている。この決まりごとには様々な論理があるが、禁じている考え方それぞれ全てに受け入れられている論理はない。「不浄である」と考えられていることは、下記の点によるとされている。
1.豚はストレスを感じたときに水中や泥、排泄物の上でもお構いなしに転げまわってのたうつ性質を持つ。
2.皮膚の表面が毛で覆われておらず、人間の健康に害を及ぼす汚れが皮膚に付いてしまっている(イスラム教の考え。表面がウロコで覆われていない海産物であるイカやタコも同様の理由により禁じられている)。
3.何でも食べることで、「人間にとって貴重な食物を奪い合う存在」と考えられている。
なおイスラエル国防軍では必要に迫られた場合のみ豚肉を糧食として用いてもよいが、豚肉に触れた食器は全て使用後に捨ててしまう。
キリスト教ではエルサレム会議にて規制を廃止したため、聖書の規定に関わらず摂食は自由となった。ただし近代になってから興った教派の一部には禁じるものもある。

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『なぜ私達ユダヤ人は優秀なのか』 桜の花出版/編 桜の花出版 2004年発行
ユダヤ人は何を食べ、何を食べないか より
イスラム教にも食肉に関してユダヤ教と同様に制限があります。
ムハンマドイスラム教の宗祖、マホメッド)はイスラム教の初期の頃、ユダヤ人をイスラム教に引き入れようと考え、ユダヤ教の考え方を取り入れました。
例えば、イスラム教は豚肉を食べることを禁じていますが、これは、律法を厳しく守るユダヤ人が豚肉を食べないのと同じです。また、屠殺の仕方はユダヤ教のものとまったく同じです。これもユダヤ教から借用して来たものでしょう。
彼らが屠殺する際にはエルサレムの方を向いて行われていました。それは、ある時からメッカに変りましたが、このこともユダヤ人が屠殺する際に清めの言葉を唱えるのによく似ています。
キリスト教にもいくつかの食事の制限があり、「キリスト教徒の食事」と言えるものがあります。しかし、それは、ユダヤ教の食事の戒律ほど厳しいものではありません。
例えば、殆どのキリスト教徒は犬や猫を食べることはありません。これは、犬や猫には肉が少ないからではありません。これは恐らく一部には、ユダヤ教の聖書(ヘブライ聖書)、彼らの言うところの『旧約聖書』に由来するものだと思います。

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一神教の起源 ─旧約聖書の「神」はどこから来たのか』 山我哲雄/著 筑摩書房 2013年発行
何が「イスラエル」を統合させたのか? より
(3)特異な習慣を通じた外部との差異化
内に向かっての結果、疑集と自己同一性の認識の裏面は、当然ながら、外部や他者にたいしての分離、差異性、「不同一生」の自覚ということである。人は「われわれ」を強く意識すればするほど、「われわれ」に属さない「彼ら」「あいつら」との違いを強く意識するものである。そのような意識は、最も基本的な習慣や日常生活、身体性にも影響を与えることがある。
「最も基本的な習慣や日常生活』に属するものの1つが、食べ物である。前1200年頃同時多発的に出現した中央山岳地帯の居住地群に調査した特徴の1つが、豚の骨がほとんど見当たらないということであった。
同じ時代の平野部の遺跡からは、多くの豚の骨が発見されている。海岸平野南部に住んだペリシテ人は、特に豚好きだったようである。ヨルダン渓谷を挟んで東側に住んだアンモン人やモアブ人の地域からも、豚の骨が多く発見されている。ところが中央山地だけは、豚が食べられたり飼育されたという痕跡がないのである。山地は豚の飼育に適さないという見方もあるが、山地でもイスラエル時代(前1200〜600年頃)以前の居住層や、それ以後の居住層からは豚の骨が発見されているという。何らかの理由で中部山地の人々は、豚を穢(けが)れた動物と見て禁忌(タブー)としたのである。その理由ははっきりしていない。豚の飼育には多量の水を必要とするとか、豚肉は傷みやすいとか、寄生虫が多いとか、牛や羊が草食性であるのに対し豚は雑食性だからだといった仮説はあるが、この禁忌が環境や経済性だけで説明できるかどうかは疑問である。おそらく山地の住民たちは、豚を食べるかどうかということに、平野部の住民たちとの違いを意識し、そこに自らのアイデンティティの支えの1つを見出していったのであろう。後のユダヤ人の豚肉禁止(レビ11.7、申14.8[なお、新共同訳は「いのしし」と訳すが、要するにイノシシを家畜化したのが豚である])は有名であるが、この習慣はかなり古い時代にまで遡るらしい。この豚肉禁止の習慣は、ユダヤ教を介いて後のイスラム教にも受け継がれた。