じじぃの「人の生きざま_561_アントニオ・ネグリ(哲学者)」

9 11 - World Trade Center Attack - LIVE News 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nh28XcnpzX4
Antonio Negri, Michael Hardt

2013.4.9 朝日新聞 政治哲学者ネグリ氏の民主主義観 「市民が共に統治する社会を」 より
17世紀オランダの哲学者スピノザの「絶対的民主主義」という考えが参考になる。
彼は、代表制民主主義のように個人を孤立した一票の存在と捉えない。個人は、相互関係のネットワークの中に位置づけられる開かれた存在。そのすべてが代表される民主主義を考えた。
私は、イタリアの刑務所にいた時、彼の本を読んでこの考えを知った。(著書で提唱している)「マルチチュード(多様な人々の群れ)」とはこうした結びつきを意味します。

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アントニオ・ネグリ ウィキペディアWikipedia) より
アントニオ・“トーニ”・ネグリ(Antonio “Toni” Negri, 1933年8月1日 - )は、イタリアの哲学者、政治活動家パドヴァ大学、パリ第8大学などで教鞭を執る。
主にバールーフ・デ・スピノザの研究や、カール・マルクスの研究で知られる。
マイケル・ハートとの共著『〈帝国〉』では、グローバリゼーションの進展に伴い出現しているこれまでとは異なる主権の形態を〈帝国〉と捉えた。〈帝国〉の特徴は、その脱中心性かつ脱領域性にあり、アメリカが現代世界で特権的地位を占めていることを認識しつつも、世界はアメリカによって支配されているといった「アメリカ帝国」論とは一線を画する理解を示している。
【著作】
アントニオ・ネグリマイケル・ハート、『マルチチュード――〈帝国〉時代の戦争と民主主義(上・下)』、日本放送出版協会NHKブックス]、2005年。

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『本当にわかる現代思想 フシギなくらい見えてくる!』 岡本裕一朗/著 日本実業出版社 2012年発行
現代思想はいまなお進化し続けている より
現代思想を考えるとき、「人間であるとはどういうことか」は中心的な問題である。現代思想において、この問題に早くから取り込み、その後に大きな影響を与えたのが、アレントの『人間の条件』だ。アレントのこの本は、最近になって現代思想として再発見され、多くの思想家に影響を与えている。
その一人が、フランスの思想家ジャン=リュック・ナンシーである。ナンシーは、デリダフーコードゥルーズの後を受けて、議論を展開しているが、彼の思想はアレントの「人間的複数性」という考えと親近性をもっている。また、「人間であるとはどういうことか」を真正面から議論し、「ホモ・サケル(聖なる人間)」という概念を提唱したのが、イタリアの思想家ジョルジョ・アガンベンだ。
現代思想にとって、「世界はどうなっているか」も根本的な問題だ。とりわけ、80年代の末に、社会主義国が崩壊するなかで、アメリカの帝国化が進行していった。この状況を、いったいどう考えたらいいのだろうか。
現代人の漠然とした不安に対して、明確な定式を与え、現代世界をトータルに捉えたのが、2000年にネグリとハートによって著された『<帝国>』だ。この書は、2001年の9.11同時多発テロを予告したものとして、世界的ベストセラーになった。ネグリとハートはアメリカを「帝国」と呼んだわけではなかったが、多くの人は『<帝国>』のうちにアメリカの帝国化を読み取った。
ネグリとハートの『<帝国>』が出版されたころは、アメリカが絶頂期にあるように見えていた。そのため、アメリカは「テロとの戦い」を宣言し、「世界の警察」のような役割を演じていた。ところが、まさにそのとき、エマニュエル・トッドは『帝国以後』を出版し、アメリカの衰退を予言したしたのである。じっさい、2008年には、リーマン・ショックが起こり、事態はトッドの予言したように進んだ。
アントニオ・ネグリ(1933〜) グローバルな権力にいかに対抗するか より
アントニオ・ネグリは、イタリアのマルクス主義思想家だが、テロ組織との関連で嫌疑をかけられ、逮捕されたこともある。いわば筋金入りの活動家だ。2008年に講演のため訪日を予定していたが、事実上入国を拒否される形になった。ドゥウーズやガタリとも親交があり、思想的に彼らから強く影響を受けている。若いころ、『野生のアノマリー』を出版している。これはスピノザの神学政治論を革命的な視点から読み直したものだが、のちに「マルチチュード」の概念につながっていく。
しかし、ネグリが一般的にも有名になったのは、2000年に出版したマイケル・ハートとの共著『<帝国>』からだろう。この本は、2001年の9.11をいわば予言するものだと受け取られ、世界的なベストセラーになった。その続編として、2004年に『マルチチュード』を出し、グローバリゼーション時代の左翼思想を力強く展開している。
『<帝国>』が世界的にセンセーションを巻き起こしたのは、根本的には、現代世界の状況をトータルに描いたためである。「グローバリゼーション」の名のもとで進行している事態を、どう理解したらいいのか。また、アメリカを中心に再編さてつつある政治は、どの方向へむかっているのか。当時、多くの人が漠然と感じていた疑問を、ネグリとハートは左翼の観点から明確に定式化し、答えようとした。
そのため、ジジュクはこの『<帝国>』を疑問符(?)つきで「現代の共産党宣言」と名づけた。今までの資本主義とはまったく違った形態の資本主義が出現している。それにどう対応するかを、ネグリとハートは呼びかけるわけである。
ネグリとハートが現代における革命的な主体と考えたのは、従来の「プロレタリアート」ではなく、統一化されることのない複数の名ような「マルチチュード(多数性・群集性)」である。この「マルチチュード」を基盤にして、いかにグローバルな権力に対抗し、民主主義の可能性を開いていくか、こう問いかけるのが、続編として書かれた『マルチチュード』である。