米国留学で愛国心を強める中国人留学生の“なぜ” 加藤嘉一 2015年2月24日 ダイヤモンド・オンライン
「日増しに、あらゆる分野で深まっている米中交流が中国の民主化を促進する可能性についてどう思われますか?」
2014年4月、米カリフォルニア州パロアルトにあるスタンフォード大学内で、現在同大シニアフェローを務める政治学者のフランシス・フクヤマ氏に聞いた。
「20年前に米国に学びに来ていた中国の留学生は、自由民主主義を含め、米国の制度や価値観を信奉し、のめり込んでいった。しかし、時代は変わった。昨今における中国の発展を背後に、祖国の体制や発展モデルに自信を強めているようだ」
http://diamond.jp/articles/-/67330
入江昭 ウィキペディア(Wikipedia) より
入江 昭(いりえ あきら、1934年10月20日 - )は、日本出身のアメリカ合衆国の国際政治学者。ハーバード大学名誉教授。専攻はアメリカ外交史。1988年の一年間、日本出身者として初めてアメリカ歴史学会会長を務めた。現在は米国籍を取得している。
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『私の「戦後70年談話」』 岩波書店編集部/編 岩波書店 2015年発行
アメリカから今の日本を見て 入江昭 (一部抜粋しています)
安倍さんたちの世代は、あまり歴史も知らないし、戦後日本のあり方に否定的だったり、占領は屈辱だったとか、そんな意識でいますけれども、そうした安倍さんたちの世代が、これからの日本をしばらく支配するというか、影響力を増してくるとなると、ちょっと不安ではありますね。
アメリカから見てもそうではないかと思います。昨年(2014年)9月に、ワシントンにあるシンクタンクに頼まれて講演をしたのですが、演題は日本のことではなかったにもかかわらず、質問者の口から出てくるのは、日本の右傾化とか、安倍さんが歴史を知らないことに対して「それでは世界に取り残されてしまう。困ったものだ」という意識でした。
だから、もっと若い世代の人たちにしっかりしてもらいたいと思うんだけれども、僕が見ている限り、いまの学生は、覇気がない。もうちょっと積極的に世の中に発言したり、あるいは勉強したり、外国へ行ったりする人たちがいないと、萎んでしまうんじゃないかという気がします。
日本国内に「中国脅威論」がありますけれども、中国の力というのは、必ずしも軍事力とか、領土問題だけではないと思います。中国へ行くと、いわゆる大衆といわれる人たちも皆、読み書きはできるし、教育水準は高い。海外に行きたいという意識も強い。だから、領土問題だとか、軍事問題は二の次で、教育の面で中国を「恐れるべき」と感じます。
現在、アメリカでは、金持はどんどん金持ちになる一方、そうでない約3分の1の人たちは、失業保険で食べているか、簡単な作業を仕事にしていることが多い。大学へ行きたいと思って、そのために一生懸命勉強して頑張っている人は少数で、貧しい層では、最初から教育に関心がなくて、学校へ行く意欲も意識も持たない人が多くなっている。だから、アメリカの教育問題は本当に深刻だと思います。
アメリカと中国が将来競争すると言っても、教育の力とか、教育水準からいったら、既に中国に抜かれているかもしれない。アメリカが高等教育や学問で世界に冠しているのは、外国から優秀な人たちが来ているからで、アメリカが移民を一人も入れないとなったら、大変なことになるでしょう。
日本自身も、日本の国の教育のことをもっと考えるべきだと思います。いま、日本にあって一番問題なのは、外国に行きたいという若者が減ってしまったということでしょう。
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アメリカで愛国心が少ないと一部の人が言っているのは、アメリカに住みながら「自分はアメリカ人だ」と思っていない人が多いからです。外国から移住してきた人に、「皆、アメリカ人なのだ。もうちょっと建国時代の歴史を知るべきだ」という、けっこう他愛もない話なんですよ。むしろ日本人は、そんなことを言われなくても、非常に愛国心が強い。つまり、日本のことを中心に考えて、「自分は日本人だ」という意識がありますから、既に愛国主義者が多いので、これ以上愛国心教育はやらなくてもいいと思います。
愛国心よりは、むしろ雑種主義というか、他の国を理解するような教育が必要でしょう。アイデンティティは充分あるわけですから、「日本、日本」と言わないで、もっと外とつながり合い、かかわり合っていってほしいという気がします。