じじぃの「人の死にざま_1574_パー・ショランダー(生理学)」

Per Scholander

マッコウクジラの潜水

The Debt We Owe to Per Scholander Life Lines
Best of all, tonight is the Awards Banquet. Of the three awards that I’m aware of, my favorite is the Comparative Physiology Section Scholander Award, the most prestigious young investigator award presented by APS in the field of comparative physiology. Oral presentations were yesterday and the winner gets the Award certificate, cash prize, copy of the Per (Peter) Scholander (1905-1980) biography, Enjoying a Life in Science and other stuff.
http://scienceblogs.com/lifelines/2010/08/07/the-debt-we-owe-to-per-scholan/
『ペンギンが教えてくれた 物理のはなし』 渡辺佑基/著 河出ブックス 2014年発行
最初のひとしずく――生理学の巨人、ショランダー (一部抜粋しています)
バイオロギングの歴史はいつ、どのように始まったのだろう。
文献に残っている限り、世界で初めて野生動物に記録計を取り付けて行動を測定したのは、1940年に論文を発表したスクリプス海洋研究所(アメリカ)のショランダー(Per Scholander)である。ショランダーの名前は一般にはあまり知られていないが、間違いなく生物学、とりわけ生命機能のメカニズムを研究する生理学の分野における巨人の一人だと思う。彼の業績はびっくりするくらい多岐にわたっており、なぜ樹木は重力に逆らって水を根から吸い上げることができるのか、なぜイルカはボートについてくるのか、なぜイヌイットは氷点下の住居でもやすやすと眠ることができるのか、などの例が挙げられる。ヒトも動物も植物さえも関係なく、興味の向くまま気の向くまま、縦横無尽に研究を展開していった感がある。研究分野が細分化された現代では、ここまで守備範囲の広い研究者はきっともう現れない。
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1940年当時、アザラシやクジラなどの海洋動物がどれほどの深さまで潜っているのかは、ほとんど何もわかっていなかった。まれに漁網や海底ケーブルなどの人工物にひっかかって溺死するアザラシやクジラがいるので、少なくともその深さまでは潜れるだろうと推測されていた程度である。
でもどうしたらアザラシの潜水深度が計測できるだろう、とショランダーは思考を巡らせた。海の中をスキューバで追いかける? 無理無理、アザラシは速すぎて人間にはついていけない。そうだ、アザラシの背中に深度計を取り付ければいい。人間がアザラシを観察するのではなく、アザラシにアザラシを観察させればいい。
ショランダーによるこの発想の転換が、後年になって飛躍的に発展するバイオロギングの原点になった。