じじぃの「神話伝説_137_仏教医学(チベット密教)」

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チベット仏教 ウィキペディアWikipedia)より
チベット仏教は、根本説一切有部の厳格な戒律に基づく出家制度から、大乗顕教の諸哲学や、金剛乗の密教までをも広く包含する総合仏教である。
また、独自のチベット語訳の大蔵経を所依とする教義体系を持ち、漢訳経典に依拠する北伝仏教と並んで、現存する大乗仏教の二大系統をなす。
特に密教については、主に漢訳経典には前期密教〜後期密教が伝わっているのに対し、チベット仏教は国家仏教として8世紀-12世紀にかけて後期密教(無上瑜伽タントラ等)の教えを中心としたインド密教を広範に受け入れ、独自に消化した点にも大きな特徴がある。また、密教に限らず、中期・後期中観派の著作・思想なども含め、総じて8世紀以降の、イスラーム勢力の台頭によって中国にまで伝達されにくくなった(そしてやがて滅ぼされることになる)インド大乗仏教の系譜を、ヒマラヤ山脈を挟んで目と鼻の先という地の利を活かし、事実上世界で唯一継承・保全してきた極めて貴重な存在だと言える。
ラマと呼ばれる高僧、特に化身ラマを尊崇することから、かつては一般に「ラマ教」(喇嘛教、Lamaism)と呼ばれ、ややもすると、仏教とは異質な宗教と見なす向きもあったが、その実態が一般の認識を得るにつれ、ラマ教という呼称は不適切だとして、現在では使用されなくなっている。

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チベット密教の本―死と再生を司る秘密の教え』 学研マーケティング  1994年発行
不可視の身体を探求する (一部抜粋しています)
地球の屋根ともいえるヒマラヤ山脈チベットの半分を占めるチャタン高原は、永久凍土と呼ばれる凍った地層に覆われている。短い夏が終わると極寒の冬がやってくる。3000メートルの血では酸素量が平地の3分の2。5000メートルを超えると2分の1になるという。
この民族は、現代文明とは隔絶された地理的条件のもとで、仏の救いと乞いを願いつつ生命を繋いできたのである。そしてこうした文化的地理的条件は、他の地球には見られない特殊な医学を生んだ。
人々の生命を守る医師のことをチベットでは「アムチ」と呼んで尊敬を集めている。かつてアムチの多くは僧でもあった。そして僧侶たちは仏教の教説と医学を巧みに紡(つむ)ぎ合わせて人類に先例を見ない医学……「仏教医学」と呼んでもよい医の体系を築きあげたのである。
この医学は、一般の国民をケアする通常の医学と、僧たちが修行を積むうえで遭遇する病を癒(いや)す医学、瞑想中に身体に起こっている超エネルギー的変化を記述する精神的医学といった三面から成る。
そして当然のことながら、そこには仏教が色濃く投影され、身体というものはいったい何なのか、病気の真の原因は何であり、どう癒すのか、死を迎えた身体はどのようにして五大に還元されるのか、などという問題に関して密教色の濃い解釈がなされているのである。
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まず地理的な特色について、種智院大学の頼富本宏教授は、チベットがインドと中国という二大国に挟まれていることを挙げている。この2つの大国は、気候風土において異なるばかりか「仏教に限ってみても、インド系仏教と中国系仏教の対立は、すでに仏教を受容して間もない8世紀末のサムイェの論争によっても明らか」に異なる。
そのためチベットは「禅宗に代表される中国仏教系の要素」と「インドの密教」の双方を吸収し、独自の形態につくり変えたのである。この宗教上の事実は、医学の分野にも当てはまる。
チベット医学は、アーユルヴェーダの教説を基礎にしながらも、経絡(気の流れるルート)という中国医学の特質を身体観の上に濃厚に反映させているし、臨床面では中国と同じく脈診を重視し、経穴(ツボ)に対して針と灸(きゅう)の治療を行う。アーユルヴェーダは脈診は行うものの、経穴(同医学では”急所”という)に対する治療には消極的である。また、脈診と鍼灸術は、チベットにおいて独特な発達、あるいは改変を遂げた。
中国医学の脈診が「気」「血」「水」の変動を探る手段であるのに対し、チベット医学のそれは、体液の変動のみならず、病気の原因となる十種類にも及ぶ悪霊(”魔”)を見分けたり、遠隔地で病気に臥(ふせ)っている父親の病気や生死を、医師のところにやってきた息子の脈を診ることによって判断するといった、きわめて神秘的な医学につくり変えているのだ。