じじぃの「人の死にざま_1564_ディヌ・リパッティ(ピアニスト)」

Dinu Lipatti 1917-1950 Schumann & Grieg Pianoconcerti ea.wmv 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=QCcSgyooPPY
ディヌ・リパッティ

ディヌ・リパッティ ウィキペディアWikipedia)より
ディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti, 1917年3月19日 - 1950年12月2日)は、ルーマニアのピアニスト、作曲家。 ブカレスト生まれ。アルフレッド・コルトーに魅入られて教えを受けるが、33歳でジュネーヴ郊外でこの世を去った。
彼のピアノの特徴は、透明な音色でピアノを最大限に歌わせていることである。純粋に徹した、孤高なまでに洗練されたピアニズムは古今でも随一とされる。ショパンモーツァルトなどを得意とした。ショパンのワルツ集は現在でも絶品とされている。
また、アルベール・ルーセルとナディア・ブーランジェに作曲を師事し、作曲をして自作自演も残した。死因は白血病といわれることが多いが、実際はホジキンリンパ腫である。

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脳には妙なクセがある 池谷裕二/著 扶桑社新書 2013年発行
音楽評論家たちを困惑させたリパッティ事件 (一部抜粋しています)
リパッティという音楽家がいます。1917年にルーマニアで生まれたピアニストです。彼の奏でる音は、一切の濁(にご)りがなく、どこまでも透明な水晶のようです。端正な演奏と峻厳なスタイルで人気を博しましたが、33歳という若さでこの世を去りました。残された演奏録音は数少ないのですが、現在聴くことのできる遺品は、すべてが驚異的な完成度を誇る絶品です。
そんな貴重な音源に関して事件が起きました。ショパンのピアノ協奏曲の演奏です。その録音には、いつもながらの孤高なまでに洗練されたピアニズムがうかがえます。音楽評論家たちもこぞって「最高のショパン演奏」と絶賛し、LPはクラシック音楽界のロングセラーとなりました。
ところが、発売から数十年が経ち、意外な事実が判明します。なんと、その録音はリパッティのものではなかったのです。チェルニー=ステファンスカという女流ピアニストの演奏でした。再調査の末、本物のリパッティの録音が発見され、改めて世に出されました。
このお粗末な事件に、世界中のファンが愕然としたのは想像に難(かた)くありません。しかし、もっとも困惑したのは、偽の録音を絶賛したプロの音楽評論家たちであったことでしょう。
実際、彼らの対応は2つに分かれました。「あれはどう考えても女性の演奏だった。新しく発見された録音こそ、いかにもリパッティらしい演奏だ」と手のひらを返したように意見を変える者、「いや、やはりチェルニー=ステファンスカこそが最高の演奏だ」と知名度の低い女流ピアニストの演奏に固執し続けた者。
ブランドとプライドという見えざる圧力に対処するヒトの微妙な心理が浮き彫りになった事件でした。