乾電池でLED点灯
『科学・考えもしなかった41の素朴な疑問 突飛なようで奥が深い!』 松森靖夫/著 (ブルーバックス 2008年発行
乾電池は使うと軽くなるの? より
市販の電池にはマンガン乾電池やアルカリマンガン乾電池のほかにも、リチウム電池やニッケル水素電池など多くの乾電池があります。また、その形状やサイズも用途にあわせてさまざまなものがつくられています。
これらの電池に共通なことは、使用時に電池内部でなんらかの化学反応が進み、その際に生じたエネルギーが電気として外部に取り出されるしくみになっているということです。つまり、電池とは「物質の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置」と考えることができます。そのため、特に太陽電池のように化学反応を伴わない電池と区別する際には、これらの電池のことを化学電池と呼ぶこともあります。
電池に利用されている化学反応を含め、すべての化学反応で、常に「質量保存の法則」が成り立ちます。質量保存の法則とは、「化学反応の前後で物質の質量の総和が変化しない」というものです。
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電子には質量があり、電池の使用時には電子がマイナス極から電池の外へ出ていくので、電池は使えば使うほど軽くなるような印象を受けますが、マイナス極から電池の外へ流出した電子と同じ数の電子がプラス極へ戻ってくるので、結局のところ、電気の流れにともなって電池の質量が変化することはありません。
しかし、話はもう少し続きます。じつは、この問題を厳密に考えようとすると、アインシュタインの相対性理論の世界まで踏み込まねばなりません。詳しい説明は省きますが、アインシュタインは相対性理論の中で、エネルギーと質量が等価であることを示す式を導き出しました。これが有名な E = mc2 の式です(Eはエネルギー、mは質量、cは光速度を表す)。
つまり、乾電池からエネルギーが取り出されることのより、乾電池の質量はこの式にしたがう量だけ減っているはずなのです。どのくらい減るものなのかを、1.5Vの乾電池で10Ωの豆電球を1時間点灯させたとして、概算してみましょう。すると、乾電池の質量の減少分は、およそ1000億分の1gとなります。ほとんど減っていないも同然ですね。このような結果になるのは式に出てくる cの値がとてつもなく大きいためです(c=2億9979万2458m / s)。
実際、私たちの日常の世界で、エネルギーと質量の等価性まで考えねばならないような局面はまずありません。したがって、質量保存の法則等を適用しながら「使っても、乾電池の重さは変わらない」と理解していただいて差し支えないのです。
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どうでもいい、じじぃの日記。
Q.お財布は使うと軽くなるの?
おつりがあると重くなります。(重くなることがあります)
Q.乾電池は使うと軽くなるの?
乾電池は使うと軽くなります。豆電球を1時間点灯させた場合、1000億分の1g軽くなります。(見た目は変わりません)