じじぃの「神話伝説_74_ザラスシュトラ(ゾロアスター教)」

Zoroaster Biography 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NXCMpXqh2vU
On Christianity 1.0: Zoroaster and Zoroastrianism 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=BGLGcnJz7_8
ザラスシュトラ ウィキペディアWikipedia)より
ザラスシュトラ(紀元前13世紀頃〜紀元前7世紀頃)は、ゾロアスター教の開祖である。
近年の研究では、前10世紀から前11世紀にかけて活躍したといわれるが、研究者によって異なる。たとえば、前1750年から前1500年にかけて、また前1400年から前1200年にかけて、イランの伝統では前570年頃、パールシー教では前6000年より以前ともされる。一神教を最初に提唱したともいわれるが、ゾロアスター経典の中には、古代アーリア人に共通する多くの神々が登場する。したがって、正確には「数多くの神々の中から、崇拝に値する神をアフラ・マズダーだけとした」人物である。その教えは、ユダヤ教キリスト教に影響を及ぼし、また初期仏教にも影響を及ぼしていると一般に言われる。ただしその影響力を絶対視する向きから、かなり限定的に見たり、時にまったく皆無であったとする見方まで、さまざまである。

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『ザ・勝負』 清水義範/著 講談社文庫 2002年発行
ゾロアスター教VS.ジャイナ教 (一部抜粋しています)
ゾロアスター教は、イラン(古くはペルシャ)に生まれた宗教である。
そして、ゾロアスター教が生まれた頃、インドには何があったかというと、「リグ・ヴェーダ」などのヴェーダと呼ばれる教典があった。それらをもとに思想を育てていたが、ブラーフマナバラモン)と呼ばれる僧侶階級の人たちである。だからそこにあった宗教を一般に、バラモン教という。
そういうわけで、ゾロアスター教バラモンを対決させる、というのなら意味があるわけだ。イランのあたりと、インドでは、どのように宗教が違うか、という対比ができる。
ゾロアスター教の教典は「アヴェスター」というもの。バラモン教の教典はいくつもの「ヴェーダ」。その両方を読んで、思想の違いを考えてみるのは面白いだろう。ゾロアスター教とは二神対立の宗教(二神教)で、バラモン教は多神並立の宗教(多神教)だな、なんてことが言える。
そのインドのバラモン教のほうの流れで、紀元前5世紀ごろにいくつもの新しい宗教が生まれたのだ。バラモン階級だけの哲学のようだったバラモン教では人々は救えないからと、もっと自由な発想で、新宗教が生み出された。
そのひとつがシャカの仏教なのだ。そして仏教では六師外道というんだから、ほかにも6人の宗教者がいたわけである。その中に、ジャイナ教マハーヴィーラもいた。
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では、ゾロアスター教のほうはどうか。
マハーヴィーラよりかなり古いイランのザラスシュトラは、青銅器文明から鉄器文明への移行の頃に生きた。鉄器文明とは、それまでにくらべれば、大量虐殺の新兵器の時代である。国々が入り乱れて大いに荒れた。
ザラスシュトラは祭司の家柄に生まれ、9歳から勉強を始めていた。そして30歳になった新年、川に入って身を清めている時にだしぬけに悟った。啓示を得た、というやつだ。
ザラスシュトラは説く。この宇宙は、善神と悪神の闘争の世界である。
善神アフラ・マズダーのもとには6人の善神が従っている。悪神アーリマン(アングラ・マインュなどともいう)のもとには6悪神がいる。
善神につくか悪神につくかは人々の勝手だが、裁きの時はやってくる。人間の歴史は3000年ずつの4つの時代に分けられるが、ザラスシュトラが出現してからが最後の第四期で、それが終わる時、善神アフラ・マズダーによってつかわされた救世主によって審判があり、善は究極的に悪に勝利し、大地は溶けた金属でおおわれ、邪悪な者は滅び、創りなおされた完全な世界がその後永遠に続く。
この世は善と悪との闘いだという思想は、鉄器という新兵器誕生の時代だからこそ生み出されたのかもしれない。
火は聖なる力の象徴でもあるから崇めなければならない。
死んでも、審判を受け、また甦る。肉体は不滅なのである。
この考えから、鳥葬が出てくるのだそうだ。死者はなるべく早く肉を失って骨だけになったほうが、甦るためには有利である。同じ考え方をするヒンドゥー教徒は、だから死体を火葬にする。だが、ゾロアスター教では、火は神聖なものであって、死体のような不浄のものを焼いてはいけない。だから、早く骨になるように猛禽に食べさせるのだ。それは死者の最後の喜捨でもある。
ともかく、ゾロアスター教は、最後の審判や、救世主の到来、天国と地獄、肉体の甦り、宇宙の終焉など、その後の宗教史にとって重要な概念の数々をはじめて唱えたのである。
だからこれは、他の宗教に大きな影響を与えた。
ユダヤ教が、そしてそれの変化形ともいえるキリスト教が、大きく影響を受けている。キリスト教一神教だと言う人がいるだろうが、あの宗教は一方で悪魔の存在を言うのであり、神と悪魔の対立という、二神教的な側面を持っている。
そして、最後の審判や、救世主の到来や、宇宙の終焉(ヨハネの黙示録にあるハルマゲドン)などは、キリスト教の中に伝えられているのだ。
そしてまた、7世紀にマホメットによって生みだされたイスラム教は、キリスト教の影響を受けている。イスラム教はキリスト教の改善されたものか、改悪されたものか、立場によって意見はまったく逆になるが、ともかく同じ土俵から発生したものである。
イスラム教はでは、二神教的傾向を捨て、完全な一神教にした。そしてそれがだんだん精力を拡大してくる。
ゾロアスター教も一時はかなり信仰されていて、西アジアに広がっていた。アケメネス朝ペルシャ(BC559 - 330)では、キュロス王、カンピセス王、ダリウス王などがゾロアスター教を信仰したことが記録に残っている。それから、ササン朝ペルシャ(AD226 - 651)では、ゾロアスター教は国教になった。
ところがマホメットが出てイスラム教が広がり始めると、ゾロアスター教は衰退していく。迫害を受け、イスラム教にみんな改宗していったのだ。イランにもゾロアスター教徒は少なくなる。
8世紀ごろ、インドへ、イランのゾロアスター教徒のうちの、パールシーが渡ってきたと伝えられる。だが実は、パールシーとは、ペルシャ人、という意味である。ペルシャゾロアスター教徒がインドに逃げてきた、ということなのだ。
今、ボンベイを中心に10万人いるというゾロアスター教徒(パールシーともいう)は、その者たちの子孫である。