じじぃの「人の生きざま_502_ドリー・ベーカー(ジャズ)」

日本と交流深いジャズシンガー『ドリー・ベイカー』さん追悼 Netword International Services Pty Ltd.
ドリー・ベイカーさんが、先月の2014年4月23日(水)に亡くなったと連絡がありました。「乳がん」患っており、没年92歳だそうです。1922年の2月7日にニューヨーク生まれ。
http://www.netword-international.jp/20140430.html
ハロー・ドリー ドリー・ベーカー&外山善雄 UPC-0195 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hQmR-mQi6Qs
'Swonderful - Dolly Baker 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xqOwjv7OU3c
『映画を見るたびにぼくは少年に戻って行く―マイ・ティージング・ハート』 武市好古/著 話の特集 1992年発行
オールド・プロの存在 (一部抜粋しています)
オールド・プロというのは、文字通り年配のプロフェッショナルという意味ではなく、たとえばミッキー・ルーニーなんて俳優が6歳の時からオールド・プロと呼ばれていたように、要するにゼニのとれる本物の芸人のことである。
そういえば、オジンやオバンになってもちっとも芸の冴えない俳優も大勢いるわけだし、大体この世界では、この道30年式の年功序列的発想は通用しないのだ。だから大人のダメ俳優をしり目に子役がオールド・プロと呼ばれるのである。
さすがアメリカのエンタテインメントは実力本位、タテマエ抜きでせまってくるのでうれしい。
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リナ・ホーンのこのショーの切符はいまでも入手困難ということで、その爆発的人気ぶりがうかがえる。
そういえば、このショーのかかっているネダーランド劇場では、真夏でも本番は冷房を切ったという話がある。最も熱っぽかった劇場といわれたらしいが、これはショーのすばらしさと冷房を切ったことの両方にひっかけた形容なのだ。
ニューヨークの夏の暑さを経験したことのある人ならよくわかるが、(モンローの「7年目の浮気」を見た人なら大体感じはわかると思うが)マンハッタン島がまるでオーブンのようになるのだから夜でも暑くてたまらない。そんなところで冷房のない満員の劇場へ行くなんて行為は、まるで自殺しに行くようなものである。
それでも超満員の観客は、リナ・ホーンがステージから「私の喉に悪いので冷房を切らせてもらいます」といえば、文句のひとつもいわないのだ。
いいねえ、こういういい観客が、いいショーをつくるのである。
リナ・ホーンのようなオールド・プロも、結局はいい観客、見識のある観客のサポートによってつくられるのだろう。
ということになると、われわれの周辺にオールド・プロの少ないわけが見えてくる。つまり劇場に、芸人と観客の本当の交流がないのである。
私事ではあるが、2月7日に新橋のヤクルトホールで「ドリー・ベーカー・バースデイ・ショー」を演出した。ドリー・ベーカーは、30年代後半のアメリカでヴォードヴィルのスターだった芸人で、当時ベーカー・シスターズといえばかなりのものだったらしい。
そのドリーがもう20年近くも日本に住んでいて、最近は六本木あたりのジャズ・クラブでも歌っている。実に観客を楽しませるのがうまい、すばらしいエンタテイナーである。
なのに彼女のコンサートひとつ、レコード1枚も日本にはない。そこで大滝譲司という恋人が、ドリー60歳のバースデイ・ショーを企画し、小川俊彦が音楽監督。作家の色川武大氏も構成者として参加、ショーは大成功。ドリー・ベーカーはやっぱりオールド・プロだった。