じじぃの「完全養殖クロマグロ・放流の可能性と生態系への影響!サイエンスZERO」

陸上水槽で初の産卵 クロマグロ、大量養殖を期待 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=aYjlxlpTmj4
近畿大学「養殖マグロを使った本格料理店 水産研究所 銀座店」 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=in8PYD09v1E
クロマグロ完全養殖成功から1年。
●最後の砦、クロマグロ
[世界初!マグロの王者・クロマグロの完全養殖成功!]──世界中にこのニュースが配信されたのは昨年6月。マグロを県魚とする和歌山で達成されたとあって、県内は沸き上がった。
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/ren/web/ren7/maguro.html
サイエンスZERO 「完全養殖マグロ大量生産に挑む!」 2014年8月24日 NHK Eテレ
【司会】南沢奈央竹内薫江崎史恵 【ゲスト】澤田好史 (近畿大学水産研究所教授)
日本人の大好きなクロマグロだが、完全養殖の成功から12年経ち、いまや年間10万匹近い稚魚を出荷できるほどに大量生産が可能になった。
しかしその過程には、稚魚が大量死したり、共食いしたり、壁に激突したりと、様々な困難があった。マグロ研究者たちはいかにその困難を乗り越えてきたのか。さらに最近では、養殖技術を応用して、クロマグロの資源を増やすことにも貢献するような研究も行われているという。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp476.html
8月24日 NHK Eテレ サイエンスZERO 「完全養殖マグロ大量生産に挑む!」より
クロマグロが卵を産むのは主に梅雨明けから夏にかけて。
クロマグロの卵は直径1mm、一度に数十万から数百万粒の卵を産みます。近畿大学水産研究所は世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功しました。
クロマグロの赤ちゃんは仔魚(しぎょ)と呼ばれます。ヒレなどが完成しておらず、泳ぐ力がとても弱いです。生き残れるかは孵化からの10日間だと言います。養殖の池で、泳ぐ力の弱い仔魚はエアポンプの影響で押し上げられ、表面張力などに邪魔され潜れなくなって浮上死してしまいます。この理由に気づいて近畿大学水産研究所がとった対策が魚油。水面に油の膜を張ることで表面張力を弱めることに成功しました。
しかし、孵化の3日目くらいから夜間に発生するのが沈降死と呼ばれる現象です。夜間に遊泳活動が弱まった仔魚が、水槽の底で体を傷つけて死んでしまうと考えています。そこで水面に風を送る装置で油膜を一箇所に集めました。こうすることで仔魚が空気を吸い込み、「浮き袋」が膨らみ浮力が強くなり底まで沈みにくくなります。
しかし、油膜がないと浮上死が起こってしまいます。この矛盾を解決したのは飼育員たちの観察力でした。仔魚が浮き袋を作るタイミングを見抜き、3日目だけ油膜を外し4日目からはまた、魚油を張ることで浮上死も沈降死も大幅に減らすことに成功。最も困難な孵化後の10日間を乗り越えることで10年前0.1%だった生存率は10%にまで上がりました。
しかし、孵化後14日目くらいから起こるのが共食い。孵化後、14日目くらいだと他の魚は動物プランクトンを食べる時期ですが、マグロは魚を食べます。そこで、たくさん卵がとれるマダイやイシダイの仔魚を与えることで共食いを防ぎました。
また、25日目以降に起こるのが衝突死。これは夜の間にいけすに車のライトが当たることで驚き衝突してしまうことが原因でした。そのため逆に光をつけることで解決したと言います。
クロマグロの完全養殖はエサにも苦労しました。他の魚は配合飼料を与えて育てます。しかし、マグロは生の魚でないと育たないのです。その理由はクロマグロの驚異的な成長力にありました。
マダイと比べてみるとクロマグロは成長が10倍速く、エサも10倍以上必要です。この成長を支えるのがクロマグロが持つ「幽門垂(ゆうもんすい)」という器官。胃と腸の間にある巨大な消化器官で酵素を大量に分泌し、消化効率を大幅にアップさせます。ただし、幽門垂は孵化後60日まで完成しません。つまり若い稚魚の消化能力はまだあまり高くないのです。
通常の配合飼料は生のエサに比べて消化吸収率が劣ります。これは配合飼料を加工する工程で乾燥のために加熱するのが原因です。主成分のたんぱく質が熱変性するので消化しにくくなるのです。このデメリットが幽門垂が未熟なクロマグロの稚魚には大きな壁になっていたのです。
そこで研究チームは海外から酵素処理魚粉を取り寄せました。魚粉の主成分のたんぱく質酵素を使い、加熱する前にあらかじめ分解しておきます。すると、加熱しても消化吸収率はあまり下がらないのです。実際に酵素処理魚粉で作った配合飼料を与えたところ、生のエサに遜色のない成長率を達成しました。
天然マグロに水銀がたまるのは、食物連鎖のためです。養殖マグロはエサを管理できるので、水銀摂取量を抑えることができます。食の安全性を考えるなら、天然物より養殖物の方が優れている面があるのです。

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どうでもいい、じじぃの日記。
8/24、NHK EテレサイエンスZERO』で「完全養殖マグロ大量生産に挑む!」を観た。
こんなことを言っていた。
南沢、「さまざまな角度からクロマグロの資源の保護の可能性を探っているということですね」
澤田、「そうですね」
南沢、「それでは養殖マグロを放流すると生態系を乱すことになるんですか?」
澤田、「魚も人間と同じように家系がある。放流して1つの家系のみ増やしてしまうと、他の家系が減ってしまう」
竹内、「おそらく、(遺伝子の)多様性がなくなってしまうということでしょうね」
澤田、「いろいろな環境に対応できる能力が減ってしまう。何かあったときに、他の家系が絶滅することが危惧される」
竹内、「将来的に養殖マグロが海で泳ぐということが本当に起こりえるのか?」
澤田、「いろいろな技術を持っていれば、対処できることが多くなる」
江崎、「今後の目標は?」
澤田、「養殖技術をさらに高めていく。完全養殖に32年かかった。今後もさらに発展していきたい」
竹内、「マグロの完全養殖は動物行動学とか生理学とか表面張力の物理学など、総合的な科学研究だったんですね」