じじぃの「人の死にざま_1387_セルマン・ワックスマン」

オープンキャンパス講義:「微生物のバイオパワー」から 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=Q7sRH6dUxHI
「ミクロの世界ー結核菌を追って」東京シネマ1958年製作 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=xb231Ad4YkU
セルマン・ワックスマン ウィキペディアWikipedia)より
セルマン・エイブラハム・ワックスマン(Selman Abraham Waksman, 1888年7月22日 - 1973年8月16日)は、アメリカ合衆国の生化学者、微生物学者。ウクライナ出身のユダヤ人。
土壌生物由来の有機化合物とその分解を研究し、ストレプトマイシンなどの抗生物質を発見した。ラトガース大学の生化学、微生物学の教授として40年勤め、その間に20を超える抗生物質を発見した。抗生物質(antibiotics)という単語自体もワックスマンが考案した。彼は特許から得られた収益で微生物学の研究のための基金を作り、ニュージャージー州Piscatawayにあるラトガース大学ブッシュキャンパス内にワックスマン微生物学研究所を作った。結核に効果のある初めての抗生物質であるストレプトマイシンの発見により、ワックスマンは1952年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した。

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『カラー図解 EURO版 バイオテクノロジーの教科書(下)』  ラインハート・レンネバーグ/著、小林達彦/監修, 田中暉夫、奥原正國/訳 2014年発行
ストレプトマイシンとセファロスポリン、そして日本で発見された抗生物質(微生物生産物) (一部抜粋しています)
ペニシリンは広い範囲のグラム陽性菌に対し強い殺菌作用を示す。ペニシリンが臨床の場に導入されると、多くの細菌感染症に対し驚くべき効果をもたらした。連鎖球菌による咽頭炎や肺炎球菌による肺炎、ほとんどのブドウ球菌感染症がこれに相当する。また、ペニシリンはしばしば髄膜炎菌による致命的な髄膜炎やある種の細菌性心内膜炎にたいしても有効であった。このような見事な臨床上の成功は、他の抗生物質を自然界から探索する強力な推進力となった。その背景には2つの動機があった。第1に、ペニシリンは、大腸菌サルモネラ菌緑膿菌、マイコバクテリウム属の菌のようなグラム陰性菌に無効であったこと、第2に、グラム陽性菌の中にペニシリンに耐性を示すものがあり、また耐性を獲得した菌が出現したことである。セルマン・ワックスマン(Selman Abraham Waksman)とラトガース大学の彼の共同研究者たちは、抗生物質を見つけるために、土壌中の微生物がつくる代謝産物を決められた方法で迅速にスクリーニングする技術を開発した。その成果として、彼らはストレプトマイセス(Streptomyces)の放射菌が産出する新しい抗生物質を単離することに成功した。放射菌がグラム陽性で斑点状のコロニーをつくる運動性のない細菌であり、菌糸が線維状のネットワークを形成する。ちなみに、典型的な新鮮な土壌の臭いは放射菌によるものである。フレミングペニシリン発見は、多かれ少なかれ偶然の産物であったが、ワックスマンは斬新で系統的なアプローチ法をとった。彼と学生は、一連の分離した土壌微生物を固体培地プレート(シャーレ)上で培養した。これらはさまざまな培養条件の下で生育した分離菌株であった。
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日本では梅沢浜夫(微生物化学研究所)らのグループや大村智(北里研究所)らのグループにより数多くの微生物生産物が単離されている。梅沢らが1957年に発見したカナマイシンは国産初の抗生物質と言われ、結核赤痢、グラム陰性桿菌による敗血病に有効である。また抗がん抗生物質のブレオマイシンは扁平上皮がん(皮膚や頭頚のがん)や悪性リンパ腫に効果を示す。その他に実用化された抗生物質としてカスガマイシン(稲のいもち病防除)などがある。
大村らのグループと米国メルク社グループとの共同研究により開発されたイベルメクチンは、アフリカや中南米の風土病オンカセルカ症(河川盲目症)の治療に威力を発揮し、その撲滅に貢献している。