じじぃの「人の死にざま_1366_ピエトロ・マスカーニ」

The Godfather Part III Trailer 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=kCAcWDDPdNY
マスカーニ 《カヴァレリア・ルスティカーナ》全曲 シミオナート / セラフィン指揮 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=JyHg_2wL2hg
ピエトロ・マスカーニ ウィキペディアWikipedia)より
ピエトロ・マスカーニ(Pietro Mascagni, 1863年12月7日 - 1945年8月2日)は、イタリアのオペラ作曲家、指揮者。
【経歴】
パン屋の両親の元に生まれる。
ファシスト党政権が誕生すると、スカラ座監督の座を狙ってムッソリーニに接近。このため、第二次世界大戦でイタリアが降伏した後、全財産を没収され、ローマのホテルで寂しく生涯を閉じた。遺体はローマに葬られたが、1951年に故郷のリヴォルノに再埋葬され、それと共に名誉回復された。
彼がいくつか残した自作自演(『カヴァレリア・ルスティカーナ』、『友人フリッツ』など)は、現在もCDで入手することができるほど評価が高い。

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『映画でクラシック』 西村雄一郎/著 新潮社 2007年発行
オペラは故国イタリアに対する愛の証し ――『ゴッドファーザー PARTⅢ』 (一部抜粋しています)
1979年、『地獄の黙示録』がカンヌ映画祭で初公開された時、フランシス・フォード・コッポラ監督は、「これは映画ではない。むしろオペラだ」と大見得を切った。
もともとコッポラは、己の打ち立てたテーマや論理をとことん表現する”作家主義”の監督ではなく、話題や時事性を取り入れることに敏感なプロデューサー敵監督であった。
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そんな演出が大好きなコッポラが、実際のオペラをモチーフにして作った映画が『ゴッドファーザー PARTⅢ』(1990年)である。彼は「”バチカン・スキャンダル”を、オペラの形式でやりたかった」と告白している。”バチカン・スキャンダル”とは、次期法王が決まった直後に、その法王が急死し、暗殺されたと噂された事件のことだ。こんな危ない素材をよく映画化できるものだと思ったが、やはりマフィアからの圧力がかかり、シナリオを書き直さねばならなかったらしい。コッポラの狙いは、この生臭い題材を美しいオペラで包みながら、あくまで”オペラ的”に描くことにあったのだ。
まずマフィアのドン、マイケル(アル・パチーノ)の前で、甥のヴィンセント(アンディ・ガルシア)は、敵対する親分と仲直りをさせられる。その時、この粗野な甥は、抱き合うと見せかけ、親分の耳にがぶりと噛みつく。オペラ・ファンであれば、すぐに分かるだろう。そう、これはマスカーニが作曲したオペラ<カヴァレリア・ルスティカーナ>のモジリなのだ。<カヴァレリア〜>のラストで、女を取り合う2人の男がした行為のコピーなのだ。
<カヴァレリア・ルスティカーナ>という題名は「田舎の騎士道」という意味。マフィアの故郷シチリアを舞台にして、血のしたたるような三角関係が描かれる。庶民の日常生活を題材にし、19世紀の末に全盛を極めたヴェリズモ(写実)・オペラの傑作である。
撮影のマイケルの息子は、オペラ歌手になって、シチリアのオペラ・ハウスでデビューを飾る(撮影はパレルモのテアトロ・マッシモで行われた)。その時の出し物が<カヴァレリア〜>だった。オペラが終わり、玄関の前でマイケルの愛妻の娘メアリー(ソフィア・コッポラ)が撃たれる。その衝撃的ラストシーンを待っていたかのように<カヴァレリア〜>の間奏曲が奏される。この名曲は、実際のオペラでは、来るべき悲劇を暗示する美しさも哀しい曲として演奏されるが、それをファミリー崩壊というシリーズの大詰で流すうまさ。それに加えて、無視眼を演じるのがコッポラの実娘。本来はウィノラ・ライダーが演じる予定だったが、彼女が急病になったため、親ばかコッポラは愛娘を指名した。