じじぃの「人の死にざま_1479_ニーノ・ロータ」

Nino Rota 映画「道」 La Strada 〜 Gelsomina 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Mc3y7hLuKpc
8 1/2 theme - Nino Rota 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nWqC6kRCLjI
ニーノ・ロータ ウィキペディアWikipedia)より
ニーノ・ロータ(Nino Rota、1911年12月3日 - 1979年4月10日)は、イタリアの作曲家。クラシック音楽と映画音楽で活躍した。ロータ自身は「本業はあくまでクラシックの作曲であり、映画音楽は趣味にすぎない」と言っていたが、映画音楽の分野で多大な業績を上げており、死後クラシックの作品も注目を集めるようになった。
【生涯】
フェリーニ監督以外の映画音楽も多数手がけ、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』の音楽はロータの代表作となり、『愛のテーマ』は日本でも尾崎紀世彦によってカヴァーされ、多くの人々に親しまれた。
心臓発作によりローマで死去、67歳。生涯独身だった。
【主な作品】
・道(1954年)
太陽がいっぱい(1960年)
ロミオとジュリエット(1968年)
ゴッドファーザー<愛のテーマ>(1972年)

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『人は道草を食って生きる』 赤瀬川隼/著 主婦の友社 2001年発行
映画ー道ー人生 (一部抜粋しています)
映画では僕はロードムービーが好きだ。道行き、すなわち旅の情景を織込んだ映画である。
古来からの演劇の舞台は、空間が制約されているから、長い道程を表現するには大胆な省略と、観客の想像力に訴える約束事が必要になる。もっとも、その制約ゆえの工夫にも見応えのあるものは少ないが。
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ロードムービーには入らない映画でも、印象的な道の場面はいくつも思い出せる。とっさに脳裡に浮かぶのは、キャロル・リード監督、オーソン・ウェルズ主演の『第三の男』のラストシーンだ。アリダ・ヴァリ扮するアンナ、死せるハリー・ライムのかつての愛人が、ウィーンの墓地の横の、冬枯れの並木道を歩いてくる。カメラは一本道を正面から写している。女の姿はしだいに大きくなり、手前で待ち受ける男には眼もくれずに通り過ぎて画面から消える。
その他、昔の映画だろうと最近の映画だろうと、室内に終始する数少ない作品を除けば、画面に道の出ない映画はまずあるまい。そして街路であれハイウェイであれ森の中の細い道であれ、優れた映画は道の写し方がさりげなくうまい。その中でも優れたロードムービーが胸を打つのは、その道行き、旅の苦楽や冒険、真っ直な道や曲がりくねった道の映像が、人生という旅そのものの隠喩となっているからである。
そうしたロードムービーの名画中の名画は、題名からしてそのものずばり、『道』であろう。フェデリコ・フェリーニ監督、アンソニー・クインジュリエッタ・マシーナ主演のこの映画では、イタリアの寒村や街外れの1つ1つもまた主役といってよい。粗暴で欲深い大道芸人ザンパノと、彼に買われた、無垢な心を持つ白痴に近い女ジェルソミーナの旅。ザンパノがジェルソミーナを棄てた幾年か後、年老いたザンパノは、ジェルソミーナが口ずさんでいた歌を耳にし、それはこの近くで野たれ死にした女が子供たちに教えた歌だと聞く。暗い夜の海辺に倒れ伏し野獣のように号泣するザンパノの姿にニーノ・ロータ作曲の哀切なメロディがかぶさるラストシーンは、何回見ても心の奥からじんとくる。それは道――人生の終りに外ならない。