じじぃの「人の死にざま_1342_ウィルヘルム・キューネ」

酵素 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=vnhgn8ls95c
体の基本は酵素にあった! part2 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=OHEeCy49v4Y
ウィルヘルム・キューネ

科学の歩みところどころ 第10回 酵素とは何か
そもそも“酵素”という言葉は,いつ,どのようにして作られたのだろうか。『生物学辞典』(岩波書店)で,「コーソ」という項目をひくと,英語・フランス語で enzyme,フランス語で ferment,diastase,ドイツ語でEnzym,Ferment と書かれている。ここで注目していただきたいのは enzyme と ferment という二つの言葉が同じ「コーソ」に当てはめられていることである。逆に英和辞典でこの二つの単語をそれぞれ調べてみると,いずれも“酵素”という訳語が登場する。実は,ここに酵素概念が成立してくる歴史が秘められている。
この二つの言葉のうち,古いのは ferment の方である。もともと ferment には“発酵”という意味もあるように,古くから人々が関心をもってきた発酵現象に関連して登場した言葉であり,ときには“発酵素”と訳したり,“酵母”そのものを意味させることがある。17世紀に活躍したファン・ヘルモント(Helmont, Jan Baptista van, 1577―1644, ベルギー)は“生命作用あるいは化学作用を行なう活力”という意味で ferment という言葉を用いているが,この場合でも“発酵素”と邦訳するのが一般的である。
これに対して enzyme は19世紀も後半に登場した言葉である。すなわち,1876年(文献によっては1878年とするものもある)にドイツの生理学者キューネ(Kuhne, Willy, 1837―1900)がはじめて提唱したものである。
http://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/kori/science/ayumi/ayumi10.html
ウィルヘルム・キューネ ウィキペディアWikipedia)より
ウィルヘルム・キューネ(Wilhelm Kuhne、1837年3月28日 - 1900年6月10日)は、ドイツのハンブルク生まれの生理学者
彼の研究分野は2つの分野に大別され、初期には筋肉 と 神経の生理学、後期にはベルリンのウィルヒョーの下で研究を開始した消化作用の化学である。また光の影響下における視覚と網膜の化学的変化に関する研究でも知られている。1876年にフランツ・クリスチャン・ボールが発見したロドプシンで視覚における光化学の基礎理論を確立しようと試みた。しかし光の強度が弱い場合での視覚の結合の重要な点は明らかにしたものの、網膜での視覚の識別については理論は完璧とは言えず学会の支持は得られなかった。
彼は"enzyme"〈酵素〉という用語の命名者でもある(Kuhne、1876年)。

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『カラー図解EURO版 バイオテクノロジーの教科書・上巻』 インハート・レンネバーグ/著、小林達彦/監修、田中暉夫・奥原正國/訳 ブルーバックス 2014年発行
バイオの歴史:酵素の発見 (一部抜粋しています)
人類の夜明け以来、酵素反応は認識され利用されてきた。古代ギリシャ人の詩人ホーマー(ホメロスとも呼ぶ)はイチジクの汁を添加するとミルクが凝固することを記している。人類は子牛の胃から取れる”レンネット”をチーズ製造に使い、また射止めた獲物はしばらく吊るしておくとおいしくなることを学んだ。しかし、酵素の本格的な研究は18世紀末にようやく始まった。
1つの化合物が別の化合物によって分解を受ける現象は一般に”発酵”と言われ、19世紀初頭には、発酵素(ferment)という特定の化合物による化学変化と考えられた。1814年、ゴットリーブ・キルヒホッフ(Gottlieb Sigismund Constantin Kirchhoff, 1764―1833)は、発芽中の穀粒はでんぷんを糖に変える物質を含んでいることを見つけた。
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細胞学の共同創始者であるドイツのテオドール・シュワン(Theodor Schwann, 1810 - 1882年)は、動物の消化酵素ペプシン”(pepsin)を純粋に単離することに成功している。
スウェーデンの偉大な科学者イェンス・ベルセルリウス(Jons Jacob Berzelius, 1779 - 1848年)は、時代を先取りして、発酵には触媒によるプロセスが関与しているにちがいないと述べている。そして触媒を「存在するだけで化学反応を誘発する実体と定義している。
しかし、彼の発見と”発酵素”という言葉が少々混乱を招いた。それはシュワンが、有機物が朽ちていく過程、つまり発酵や腐敗は微生物によって引きおこされるという説を唱えたからである。これによって発酵のカテゴリーは2つに分かれた。1つは酵母や他の微生物のような”真の組織化した発酵素”で、もう1つは”組織化されていないジアスターゼのような可溶性の発酵素”である。組織化されていない可溶性の発酵は生命活動から切り離すことができると考え、ウィルヘルム・キューネ(Wilhelm Kuhne、1837 - 1900年)は、この方の発酵素に対する誤解を避けるため”酵素”(enzyme)とう名前を1878年に提案した。