じじぃの「人の死にざま_1164_G・ブドケル」

The LHC - The Large Hadron Collider (L.H.C) 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=qQNpucos9wc
Gersh Itskovich Budker  画像
http://www.starnostar.com/data/images/who-is-Gersh-Budker-is-star-or-no-star-Gersh-Itskovich-Budker-celebrity-vote.jpg
小柴昌俊 - 代表的な卒業生 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
1962年に日本に戻られてから1963年には理学部物理学科の助教授になられ、宇宙線のμ粒子の束を神岡鉱山での実験をはじめられ、このときから神岡鉱山との付き合いが始まりました。この頃、電子陽電子衝突加速器(e+e-コライダー)をシベリアのノボシビルスクで建設している有名なブドケル教授にモスクワの学会であい、この加速器での実験を共同で行うことに成りました。この実験の準備を始めて間もなくブドケル教授が倒れて計画が頓挫しましたが、ヨーロッパを回って、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)で建設されるe+e-コライダーでの実験DASPに参加することを企画しました。この実験が始まって間もなく、1974年11月に米国のブルックヘブン研究所とスタンフォード線形加速器センターでJ/ψという新粒子がほぼ同時に発見され、現在の素粒子の標準理論への方向が定まりました。
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/research/alumni/koshiba.html
Gersh Budker Wikipediaより
Gersh Itskovich Budker, also named Andrey Mikhailovich Budker, (May 1, 1918 - July 4, 1977) was a Soviet physicist, specialized in nuclear physics and accelerator physics.

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ヒッグス粒子とはなにか? 素粒子物理とヒッグス粒子の世界を追う』 ハインツ・ホライス、矢沢潔/著 サイエンス・アイ新書 2013年発行
”正面衝突”型加速器のアイディア (一部抜粋しています)
シベリア(ソ連)のノヴォシビルスクにある核物理学研究所の才能あふれる物理学者ゲルシュ・ブドケル(アンドレミハイロヴィッチ・バドカーとも)がある提案を行った。
彼は、固定した標的に粒子を衝突させるのではなく、粒子を2本のビーム状にして互いに逆方向に走らせ、それらを正面衝突させるという原理を考えだしたのだ。現在の世界に存在するほとんどの大型加速器は、ブドケルのこのアイデアの上につくられた”コライダー(衝突器)”と呼ばれる方式を用いている。
この加速器の原理がもつ特徴は一見して明らかである。2本の粒子ビームがそれぞれ30GeVのエネルギーをもっていれば、それらが正面衝突したときには双方を単純合計した60GeVのエネルギーが生じる。つまり正面衝突ではエネルギーの損失が小さい。他方、固定標的に高エネルギーの粒子を衝突させる場合には、標的に粒子を押し返すことに多くのエネルギーが消費されるので損失が大きい。
高エネルギーの粒子が互いに真正面から衝突した場合、それらはきわめて高効率に完全停止し、内在させるエネルギーの大半を新しい粒子に変えるというかたちで放出する。
こう書くと話は簡単そうに聞こえるかもしれない。だがちょっと待ってほしい。ではそれだけのためになぜ、全周27キロメートルもの加速リングを2本も建造する必要があるのか? そしてもしその答えがイエスなら、いったいこの方式の加速器のどこがコストダウンにつながるというのか?
そこにブドケルの天才があった。彼は「反物質」を用いることを提案したのだ。反物質反粒子)は生物質つまりふつうの粒子とまったく同じ質量を持ち、電荷が逆である以外、両者は完全に同一である。
ということは、2本の粒子ビーム――たとえば陽子ビームと反陽子ビーム――は、同一の加速器の中を逆方向に走ることができるということだ。この方式の加速器で実験するには、2本の粒子ビームが加速器の途中に設けられた検出器の中で正面衝突するように、それぞれの軌道を交差させればよい。
セルンは、このコライダー方式の加速器のアイデアを用いて初めてW粒子の探索を行うことにした。そして、世界の素粒子物理学界に勇名を馳せていたイタリアのカルロ・ルビアに率いられたチームが、陽子・反陽子の衝突を可能にするため、セルンの「スーパープロトン・シンクロトロン(SPS)」を設計し直した。
完成したSPSは、それぞれの陽子ビームに270GeV、合計540GeVのエネルギーを与える性能を備えていた。このエネルギーなら、100GeV前後の”重さ(質量)”をもつとみられているWおよびZ粒子を十分につくりだせるように思われた。そして2年後の1983年1月、ルビアはW粒子を発見したと発表した。物理学者たちは5つの明瞭な”イヴェント”を確認したが、それらはW粒子の生成とそれに続く崩壊とのみ解釈されるものだった。4ヵ月後、Z粒子も発見された。
これらの発見は物理学者たちに電弱統一理論の正しさの証拠を提供しただけでなく、ヒッグス機構の理論にも信憑性を付与するものとなった。