じじぃの「未解決ファイル_177_触媒の劣化」

Dobereiner's lighter 白金の触媒反応熱で自然着火! 動画 YuTube
http://www.youtube.com/watch?v=DBm2WPQUnT0
Pt触媒によるアンモニアの酸化 動画 YuTube
http://www.youtube.com/watch?v=DX5fdzr6txk
燃料電池の白金触媒の分布・化学状態を初めて4次元可視化 -膜・電極接合体の劣化メカニズム解明に道 2012年9月14日 SPring-8 Web Site
世界最先端の大型放射光施設SPring-8で、燃料電池膜・電極接合体(MEA)内部の白金触媒の分布やその化学状態を4次元的(空間軸:3次元+エネルギー軸:1次元)に可視化することに世界で初めて成功しました。
電子顕微鏡像の測定では、白金触媒粒子の分布は各触媒粒子の酸化状態を判断することが出来ません。X線ラミノグラフィーXAFS法は、3次元構造解析と分光を同時に行うことが可能な画期的な方法であり、これまで困難であった燃料電池MEA内部の白金触媒の分布および、その化学状態を、試料を破壊することなく3次元空間的に描写することができます。これにより、MEA内部の電極触媒の劣化挙動について、より詳細な解析が可能になり、燃料電池MEAの劣化抑制のための基盤情報の取得につながると考えられます。
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2012/120914
触媒 ウィキペディアWikipedia)より
1823年にドイツの化学者であるヨハン・デーベライナーは、白金のかけらに水素を吹き付けると点火することに気がついた。白金は消耗せず、その存在によって水素と空気中の酸素とを反応させることを明確にした。
【機構】
触媒は反応物と反応中間体を形成することで、反応に必要とされる活性化エネルギーの低い別の反応経路を生み出す。例えば水素分子 H2 は強い H-H 結合を持つため反応性に乏しいが、水素化や燃料電池の触媒となる白金の表面では水素分子よりも遥かに反応性の高い H・種を形成する。これにより、触媒が存在しない場合よりも著しく高速に反応が進行する。
また、反応を早くするだけではなく、複数の反応が起こりうる状態において、目的とする物質を選択的に得るために触媒を用いる場合も多い。触媒は特定の反応のみ高速化させるためである。例えば一酸化炭素(CO)を水素化する場合、用いる触媒により主生成物をメタン(ルテニウム触媒)、エタンなどの直鎖アルカン(コバルト触媒(FT合成))、メタノール(銅触媒)など変化させることができる。また、光学活性体の合成を行う場合には、不斉源となる BINAP やサレン錯体などの触媒を用いることにより立体選択性を発現させる。2001年のノーベル化学賞が金属錯体触媒を用いた不斉合成に授与されたように、その重要性はきわめて高く評価されている。
燃料電池 ウィキペディアWikipedia)より
燃料電池は、電気化学反応によって電力を取り出す装置(電池)のひとつである。
【りん酸形燃料電池
りん酸形燃料電池は、電解質としてリン酸(H3PO4)水溶液をセパレーターに含浸させて用いる。動作温度は200℃程度で、発電効率は、約40%LHV。固体高分子形燃料電池と同様に白金を触媒としているため、燃料中に一酸化炭素が存在すると触媒の白金が劣化する。従って、天然ガスなどを燃料とする場合は、あらかじめ水蒸気改質・一酸化炭素変成反応により一酸化炭素濃度が1%程度の水素をつくり、電池本体に供給する必要がある。
工場、ビルなどの需要設備に設置するオンサイト型コジェネレーションシステムとして100/200kW級パッケージの市場投入がなされ、すでに商用機にて4万時間以上の運転寿命(スタック・改質器無交換)を達成している。

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『放射光が解き明かす驚異のナノ世界』 日本放射光学会/編者 ブルーバックス 2011年発行 (一部抜粋しています)
化学反応しているとき触媒は形を変えていた?!
一酸化炭素は猛毒で、少量の一酸化炭素の吸引で死に至ります。以前は、一酸化炭素を使った研究を行っている研究室では、ドアを開けて部屋に入る前に部屋の内部で一酸化炭素が漏れてないかを確認するため、ドアから見えるところにカナリアを置いていることがありました。実はこの猛毒の一酸化炭素も、白金を使えば簡単に無害な二酸化炭素に変えることができます。2007年のノーベル化学賞は、この白金の表面で一酸化炭素の反応が起こる様子を可視化したドイツのエルトゥル博士が受賞しました。
一般に、ある化学反応を促進する物質で、それ自身は反応の前後で変化しないものを「触媒」と呼びます。実際には触媒は反応中に全く変化しないわけではなく、反応によって一旦変化しても、反応の完了と同時に元の構造に再生され、一見変化していないように見えるのです。一酸化炭素と酸素を反応させて、二酸化炭素に変換する反応は、白金などの金属の表面を触媒として進行します。一酸化炭素が触媒の表面に吸着し、一方で酸素分子が触媒の表面で酸素原子に解離して、両者が触媒の表面で出会うと反応し、二酸化炭素に変換されます。さまざまな化学工業プロセスに組み込まれている大事な反応であることから、長い間、多くの研究者によってそのメカニズムを明らかにする研究が行われてきました。単純な反応ですが、実際に触媒の表面に起きている現象は複雑で、そう簡単には説明できません。
エルトゥル博士は、光電子顕微鏡(PEEM)と呼ばれる新しい装置を開発し、白金触媒の表面で起こる反応の様子を世界で初めて画像化することに成功しました。光電子顕微鏡は、紫外光照射により表面から放出される光電子と呼ばれる電子の空間的な分布を画像化するもので、表面で一酸化炭素や酸素がどのように反応して表面の構造が変わっていくかを目で見ることができます。
表面に酸素が来る前は、白金の表面の原子は六方格子と呼ばれる正六角形に並んだ構造をとっています。ここに酸素原子が吸着すると、白金の表面の原子が、別の構造である正方格子という正方形に並んだ構造に変化します。酸素が表面に吸着している領域と一酸化炭素が吸着している領域の境界から化学反応が始まって、二酸化炭素だ生成します。このときの様子を連続的に観察すると、2つの構造が変化しながら表面を伝播する現象が起きます。
一酸化炭素と酸素が反応して二酸化炭素ができる一見シンプルな反応ですが、触媒の表面で起こる反応は非常に複雑です。表面を注意深く観察してみると、あたかも波が内から外へと広がるように、表面の構造が変わっていく様子がこの研究によって初めて明らかになり、世界中に大きな衝撃を与えました。
世界初 白金触媒が劣化する様子を捉えた!
触媒の働きを理解するために、放射光はなくてはならない測定手段になっています。触媒反応は、反応物である様々な反応ガスや溶液が存在する条件で起こります。このため、様々な分子がたくさんある条件でも触媒の構造を捉えることができる透過力の高い放射光の硬X線が有効で、触媒が働いている状態の構造をリアルタイムに観察するために役だっています。触媒の構造を調べるためには、放射光X線を用いたX線回折法やX線吸収微細構造法という方法があり、それぞれ結晶構造や金属まわりの結合の構造を調べることができます。放射光を使ったこれらの方法を使うことで、触媒がどのような結合をしているのか、反応が起こっているときに触媒がどのように働いているのか、を調べることができます。
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自動車を停止させるには、燃料電池のオン・オフを何万回と繰り返して車体を減速させていきます。この操作を行ったとき燃料電池の白金触媒の構造がどう変化するのかを、放射光を使って調べたのが、図8-6です。[図8-6.白金触媒がだんだんと酸化していく図がある。説明:発電中の燃料電池に放射光X線を入射して調べた結果、まず白金触媒が溶け出し、酸素が白金の内部に進入して酸化が進み、触媒が劣化する] 白金の触媒粒子が少しずつ酸化されていき、粒子の表面からはがれおちるように白金が溶け出していく様子が観察されました。また、燃料電池が発電する際に白金触媒がどのように働くのか、そのメカニズムも初めて明らかにされました。このような放射光を使った触媒の研究は、これからの新しい化学プロセスの開発やエネルギー問題解決のために大きな役割を果たしています。

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どうでもいい、じじぃの日記。
ネットで「燃料電池 世界初」をキーにして検索したら、下記のような記事がヒットした。
燃料電池膜・電極接合体(MEA)内部の白金触媒の分布やその化学状態を4次元的(空間軸:3次元+エネルギー軸:1次元)に可視化することに世界で初めて成功しました」
触媒とは交通整理のお巡りさんみたいな役で、自分は車を運転しないが車の通行をスムーズにして、全体として車の流れを速くしてくれるものらしい。
その交通整理のお巡りさんが劣化するというのがよくわからない。そもそも触媒がどんなメカニズムで「交通整理」みたいなことをするのか、よくわかっていないらしい。
触媒の白金が劣化していく様子を世界で初めて可視化できたのだとか。
21世紀は燃料電池の時代だといわれている。これから、本当の日本の逆襲が始まるのかもしれない。