ゲルハルト・エルトル
ゲルハルト・エルトル ウィキペディア(Wikipedia) より
ルハルト・エルトル(Gerhard Ertl, 1936年10月10日 - )はシュトゥットガルト生まれのドイツの化学者。ベルリン・フリッツ・ハーバー研究所物理化学科の名誉教授である。2007年度のノーベル化学賞を受賞した。Handbook of Heterogeneous Catalysis(『不均一触媒ハンドブック』)の著者の一人である。
鉄を用いたアンモニアの触媒的合成(ハーバー・ボッシュ法)における詳細な分子機構の解明、パラジウム触媒による一酸化炭素の酸化(触媒コンバータ)で知られる。エルトルは研究の過程で白金触媒の表面上で起こる振動反応を発見し、さらに光電子分光法を用いることにより、その現象について、振動の範囲ならびに表面構造による変化を観測することに初めて成功した。
エルトルは常に最新の観測方法を用いていた。研究を開始したころには低速電子線回折 (low energy electron diffraction, LEED)、のちには紫外線光電子分光 (ultraviolet photoelectron spectroscopy, UPS) や走査型トンネル顕微鏡 (scanning tunneling microscope, STM) によって、革新的な成果を得ている。
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『すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議』 日本表面科学会/編 ブルーバックス 2015年発行
【ノーベル賞】 ゲルハルト・エルトル――固体表面の化学反応過程の研究 (一部抜粋しています)
ゲルハルト・エルトル(画像参照)はドイツのマックスプランク協会フリッツ・ハーバー研究所の教授でした(現在名誉教授)。ハーバーとは鉄を用いたアンモニアの触媒的合成を実現したハーバー・ボッシュ法のハーバーです。この手法は、窒素の人工的固定を実現し、人類の食料問題の解決に大きな貢献をしましたが、その詳細な反応メカニズムを解明したのがエルトルです。彼はまた、パラジウム触媒による一酸化炭素の酸化の研究でもよく知られています。エルトルの有名な実験は、白金触媒の表面上で起こる振動反応を発見したことで、さらに、紫外線を照射して固体表面から飛び出した電子を結像させる光電子顕微鏡を用いて、その振動現象がソリトン波(津波のように減衰しない波)であることを初めて明らかにしました。
このように、自動車の排ガスをきれいにする触媒中の白金が一酸化炭素を酸化する現象の奥には、複雑な一酸化炭素の酸化反応機構があったわけです。彼は「固体表面の化学反応過程の研究」の功績により、2007年ノーベル化学賞を受賞しました。