じじぃの「21世紀の技術・光触媒・植物パワーが未来を変える!日本発世界技術」

[120624]サイエンスZERO 「植物パワーが未来を変える!夢の人工光合成 動画 Youku
http://www.pideo.net/video/youku/be1345b35c1fff2c/
Science 23 Dec 2011
●Plant Life's Boxy Heart
http://www.vub.ac.be/e-brief/data/File/Science%20-%2010%20top%20breakthroughs%20of%20the%20year%202011.pdf
サイエンスZERO 「原子の動きが見える!? 究極の“顕微鏡”SACLA (サクラ)」 (追加) 2014年4月13日 NHK Eテレ
【ナビゲーター】南沢奈央(女優)、竹内薫(サイエンス作家)、江崎史恵キャスター 【ゲスト】矢橋牧名 (理化学研究所 グループ・ディレクター)
「原子の動きまで見える」という究極の“顕微鏡”が兵庫県に誕生した。その名もX線分析施設「SACLA」。
太陽光の1億倍のそのまた1億倍という強烈な光を発生させ、生きた細胞などを原子レベルで観察できるという。これまで想像で描くしかなかったミクロレベルの生命の営みなどが実写で捉えられるとあって、科学界の熱い注目を集めている。全長7百メートルに達する世界最高レベルの“顕微鏡”を実現した、日本の驚くべき最新技術に迫る。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp462.html
サイエンスZERO 「植物パワーが未来を変える! 夢の人工光合成 2012年6月24日 NHK Eテレ
【ナビゲーター】南沢奈央(女優)、竹内薫(サイエンス作家)、中村慶子アナウンサー 【ゲスト】井上晴夫(首都大学東京教授)
太陽光、水、二酸化炭素。簡単に手に入る3つの資源だけで新しいエネルギーや食糧が作れたら・・・。こんな夢のような話が、今、実現に向けて大きく前進しています。植物が行う光合成を人工的に再現し、水素や炭水化物を得る研究が行われ、昨年4月には日本の研究チームが、光合成を起こす酵素の構造を解明。9月には大手自動車メーカーの研究機関が、世界で初めて酵素半導体や金属錯体で再現することに成功しています。人類の未来を変える人工光合成技術の最前線に迫ります!
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp390.html
日本発「コンパクトXFEL」SACLAの有用性、世界が認識 2012年6月25日 理化学研究所
−これからのXFEL施設開発のガイドラインに−
日本発のXFEL施設「SACLA(さくら)」の優れた性能と、コンパクトな施設を実現したユニークな設計(思想)が高く評価され、英国の科学雑誌「Nature Photonics」8月号に掲載されることになりました。世界がSACLAの有用性を科学的に認めたことになります。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2012/120625/index.html
インタビュー 沈建仁氏(岡山大学教授)、神谷信夫氏(大阪市立大学教授) 「光合成、残された最大のナゾを解明 -第2回 光合成と、その反応中心の解明」 2012年2月14日 SciencePortal
約200年にわたって世界の科学者が追い続けてきた植物の光合成研究で、最後に残された最大のナゾを、沈(しん)建仁岡山大学教授と神谷信夫・大阪市立大学教授のグループが突き止めた。太陽光と水から酸素を作り出すための要となるタンパク質「光化学系Ⅱ複合体」の結晶構造を解明したもので、米科学誌「サイエンス」は昨年の画期的な10大成果として、日本の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還などとともにこの成果を取り上げ、高く評価した。今後の人工光合成の実現にも大きな弾みがつくとみられる。この成果の意味や、研究の苦労、裏話などを2人に聞いた。
- 得られた構造が、異質な「歪んだイス」の形状と知ったときは、どのように感じましたか。
神谷 まさしく酸素発生の触媒の中心になる設計図そのものだと直感しました。一般的にマンガン・酸素の集合体の多くはサイコロのような対称形になって、原子間の自由さがなく反応がしにくいのです。上図で、左中間にある「O5」周りの赤い腕に注目すると、標準より長く、カルシウムやマンガンとともにイスを歪める原因となっています。これは「O」の結合力が弱くて切れやすく、高い反応性を持っていると考えられます。つまり歪みが構造の柔軟性であると考えれば、水分解の触媒として働く可能性があるので、最も注目しているポイントです。
- このあと、どんな実験を予定していますか。
神谷 これで光合成の酸素発生に関わる基本的な化学構造は解明したのですが、全てが分かったわけではありません。沈先生とも話しているのですが、自然界の光合成反応では分子は活発に動き、変化しているので、その時々のダイナミックな構造を捕まえ、仕組みを解明する必要があります。ですから次は『Spring-8』に隣接して完成し、今年3月から動き出す理研のエックス線自由電子レーザー施設『SACLA(さくら)』を使って、刻々と動く光化学反応の様子を原子レベルで直接観察しようと意気込んでいます。
http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview72/03.html
豊田中央研究所、水とCO2のみを原料とした人工光合成の実証に世界初成功 2011-09-20 財経新聞
トヨタグループの豊田中央研究所20日、太陽光エネルギーを利用し、水とCO2のみを原料にして有機物を合成する人工光合成の実証に、世界で初めて成功したと発表した。
http://www.zaikei.co.jp/article/20110920/81352.html
『日本発!世界技術―この会社が経済再生の原動力になる』 溝口敦/著 小学館 2003年発行
防汚、防菌、防臭・・・2005年には1兆円産業 光触媒 豊田中央研究所 (一部抜粋しています)
車の左右に突き出ているミラーは雨の日には雨ざらしになるが、どういうわけか鏡面に水滴がつかず、晴天時と同様、後方の様子をハッキリと見せてくれる。
なぜなのか、そういえば風呂で経験することだが、鏡面に不定型な水滴がつくと、鏡が鏡にならない。しかたなく鏡に湯を引っ掛け、水滴を流してからヒゲを剃ったりする。
「車の場合、ミラーの表面を酸化チタンの光触媒で加工しています。光触媒は紫外線で水を酸素と水素に分解し、酸化還元反応で汚れを壊す(セルフクリーニング)ほか、抗菌、防臭などの効果がある。光触媒にはまた親水機能があり、それが鏡面に水滴をつくらせない、つまり鏡の曇り止めに働くんです。
こう説明するのは、豊田中央研究所の多賀康訓・第一特別研究室長である。研究所は、米『サイエンス』誌(01年13日号)に、紫外線はもちろん、それより波長の長い可視光でも反応する光触媒の研究を発表した。光触媒はこの研究・開発で、ついにブレークスル―をく変えたと評判が高い。
光触媒の研究は72年、本多−藤嶋効果の公表で始まってます。両氏は酸化チタンの電極を使って、太陽光で水を酸素と水素に分解できると英『ネイチャー』誌に発表した。その後、90年に入ってようやく本格的に取り組みが始まり、97年酸化チタン光触媒に超親水性が認められたと『ネイチャー』に発表されます。そして我田引水かもしれませんが、01年可視光で反応する光触媒ということで、我々の研究が『サイエンス』に発表される。これまで光触媒でピークをなす研究はすべて日本人の手になり、一貫して日本が、研究では一番進んでいます」(多賀室長)
酸化チタンによる光触媒は車のミラーなど、すでに応用化、実用化されている。酸化チタンは薄膜か粉末に加工される。粉末は白く、顔料(白色)にも使われる。安全性が高い物質で、一部食品添加物にも使われているほど、年間500万tもの需要があるが、値段は1㎏辺り約500円、高い物質ではない。
対して光触媒に使われる酸化チタンは顔料用に比べ1ケタ高いが、年間需要は約100tにすぎない。製品の国内総売上げは年約200億円とも400億円ともいわれる。光触媒による水素の生成や親水性はともかく、抗菌や防汚、防臭、脱臭などと聞くと、どうしても二次的な技術といったイメージになるが、三菱総研などは05年、1兆円産業に成長すると予測している。
わずか2年後、50倍にも急成長する計算になる。そこまで成長するか危ぶむ声もあるが、水素は実用化が間近に迫った燃料電池にも使われる。光触媒が21世紀、主流の技術の1つになることは間違いない。
そのメカニズムはどのようなものか。同研究所第一特別研究室のリームリーダー、森川健志研究員が解説しる。
「酸化チタンはチタン(Ti)と酸素(O)の化合物で、半導体になっています。下に電子の詰まった価電子帯、上に空の伝導帯があり、両者の間には電子が入れないバンドギャップ(禁制帯幅)が挟まっています。このバンドギャップを越えるのに十分なエネルギーを持つ光が当たると、触媒中の電子が価電子帯から伝導帯に上がります。 伝導帯の電子は触媒の表面に拡散し、外部の物質に移行できる。つまり外部の物質は電子を受け取って還元されることになる。また価電子帯では電子が抜けた後の穴、つまり正孔ですが、正孔が触媒の表面に広がって、外部の物質から電子を奪う。酸化反応です。
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私たちの研究は屋内で光触媒を発現できないか。つまり紫外線より波長が長く、エネルギーが低い可視光(室内照明)の下でも働く光触媒が実現できないかという研究です。実現できれば、たとえば病院内の備品や什器(じゅうき)。器具などに塗布(とふ)、設置して、院内感染菌、つまりMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRE(パンコマイシン耐性腸球菌)などに対する抗菌にも使える可能性がある。応用範囲がぐっと広がります」
豊田中央研究所はこれを実現した。再び多賀室長が説明する。
「前にもいいましたが、酸化チタンの組成は酸素とチタンです。今までチタンを何とかすればという研究が多かったのですが、私たちは発想を変え、酸素の方を何かと置き換えることで可視光型を実現できないかとかんがえたんです。とすれば、酸化チタン中の一部酸素原子を何と入れ替えるか。炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄などが候補に挙がり、ある程度計算で分かるのですが、質素をドープ(処理)するといいと分かった。で、我々は窒素ドープの酸化チタン(TiON)光触媒の薄膜と微粉末をつくったんです」
結果は今まで通り紫外線下での触媒反応を維持したまま、可視光の下でも反応する光触媒、それも薄膜と微粉末、両方の形で実現できた。これにより光触媒の応用範囲が飛躍的に広がることはいうまでもない。
光触媒は水を分解、水素がぶくぶく吹き出した程度では実用になりません。というのは水素をつくる方法は何通りもある。毎分何十リットルと発生させる装置がいっぱいあるんです。燃料等電池車などでは供給すべき水素を天然ガスから取り出す、いったんメタノールにしてそこから取り出すなど、何通りか考えられている。ガソリンや天然ガスといった化石燃料から水素を取り出すのは効率がいい。光触媒でそれに対抗するためには少なくとも現行レベルより3ケタぐらい効率を上げないといけません。(多賀室長)
だが地球上に無尽蔵といっていいほどの水から水素を取り出すのは魅力的である。化石燃料を消費することも、その消費で環境に負荷をかけることもない。
光触媒は単に存在するだけで自らを変えることなく(それが触媒だが)、光を受けただけで、いきなり水から水素を出してくれる。これをたとえば、陽光を太陽電池で受けて電気に変え、その電気を使って水を分解、酸素と水素を取り出すことに比べれば、素人目でも工程が少ない分、ロスが少なく、能率的と映る。

                                  • -

どうでもいい、じじぃの日記。
ぼけっと、『日本発!世界技術―この会社が経済再生の原動力になる』という本を見ていたら、「防汚、防菌、防臭・・・2005年には1兆円産業 光触媒 豊田中央研究所」というのがあった。
「そして我田引水かもしれませんが、01年可視光で反応する光触媒ということで、我々の研究が『サイエンス』に発表される。これまで光触媒でピークをなす研究はすべて日本人の手になり、一貫して日本が、研究では一番進んでいます」
さらに、
光触媒は単に存在するだけで自らを変えることなく(それが触媒だが)、光を受けただけで、いきなり水から水素を出してくれる。これをたとえば、陽光を太陽電池で受けて電気に変え、その電気を使って水を分解、酸素と水素を取り出すことに比べれば、素人目でも工程が少ない分、ロスが少なく、能率的と映る」
6/24、NHK EテレサイエンスZERO』の番組で「植物パワーが未来を変える! 夢の人工光合成」を観た。
200年間、謎につつまれていた光合成の秘密も日本の研究者によって、初めて解明されました。
植物パワーが未来を変える! 夢の人工光合成
去年12月に発行されたアメリカの科学雑誌『Science』。2011年の大発見という特集が組まれました。その1つとして選ばれた発見はこちら、
雑誌『Science』のページをめくると、「Plant Life's Boxy Heart」(植物を生かしているのは箱型の心臓だった)という題字のページが出て来る。
「箱型の心臓」とは光合成を起こすこの酵素のことです。箱のような酵素の形をつきとめたことこそが世紀の大発見だったのです。
岡山大学のキャンパスの映像が出てきた。
この発見をおこなった研究者が岡山大学にいます。沈建仁教授(50歳)。20年以上にわたって光合成のメカニズムを研究し続けてきました。
番組のコメンテーター 竹内薫さんがこんなことを言っていた。
「この植物の光合成の構造解析に成功したというニュースは、生物の遺伝情報DNAの発見と似たインパクトがあります」
去年、トヨタグループの豊田中央研究所は、太陽光エネルギーから水とCO2のみを原料にして、有機物を合成する人工光合成に世界で初めて成功した。
今年の3月、兵庫県にあるX線自由電子レーザー施設(SACLA)が稼働した。このSACLAの最初の実験は、植物の光合成に関するタンパク質の構造解析だった。
そのうち、太陽と水だけで夢のエネルギーが得られるのかもしれないという。そして、その夢をかなえてくれるのが、日本人なのかもしれないという。