じじぃの「未解決ファイル_165_腎臓」

【医教】人体の基礎 第2巻腎臓と尿 サンプル動画 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=VRDG37NBwoo
透析装置 オーバーホール 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=tpj-VYLDxJw&feature=related
腎臓 ウィキペディアWikipedia)より
腎臓(じんぞう)は、泌尿器系の器官の一つ。 「肝腎」の言葉の通り、非常に重要な臓器の一つで、血液からの老廃物や余分な水分の濾過及び排出(尿)、体液の恒常性の維持を主な役割とする。
【血流】
ヒトの両腎臓は体重の0.3%を占めるに過ぎないが、心拍出量の20-25%を受け入れる。腎血流量は800-1200ml/分にも及ぶ。ごくわずかな部分が腎臓自体のガス交換、栄養・老廃物交換に用いられるが、ほとんどは糸球体での濾過を目的とする。腎臓に流入するほぼすべての血液は、大動脈から直接分岐した腎動脈に由来し、流出する血液は下大静脈に到る腎静脈を経る。大動脈から腎小体を経て下大静脈に到る経路を下に示す。このうち、腎特有の機能に関係するのは、輸入細動脈、腎小体(糸球体)、輸出細動脈、尿細管周囲毛細血管、尿細管周囲静脈である。
糸球体を通過する血液の濾過に関係する力は3種類、すなわち血圧、浸透圧、糸球体嚢圧である。この中で最も強いのが血圧であり、これに血漿膠質浸透圧と糸球体嚢圧が対抗する。差し引き、10mmHgの有効濾過圧が働く。これにより、200万個の糸球体を合わせて1日当たり180L(男性)の原尿が生成される。
【尿生成と排泄】
腎動脈から送られてきた血液は、毛細血管を経由して腎小体(マルピーギ小体)に入る。 蛋白質以外の血漿成分は一度ボーマン嚢中に濾過される。その量は通過血液の10%で、濾過された液体は「原尿」と呼ばれる尿の原料となる。原尿は1日約200リットル作られるが、尿となるのは1.5リットル程で、残りは全て再吸収される。
原尿のうち有効成分(全てのグルコース、95%の水および無機塩類)は腎細管を経由、残り4%の水・無機塩類は集合管を経由し、再吸収されて腎静脈に戻り、再び身体の血流にのる。残った成分(尿)は腎細管を経て腎盂に集まり、尿管を経由して膀胱に排出される。水やナトリウムの再吸収量の調節は、遠位尿細管や集合管で行われ、抗利尿ホルモン(ADH)やアルドステロン、ANPなどのホルモンが関与する。
再生しやすい尿細管に対し、糸球体は損傷しても再生しない為、機能不全や損傷に陥った場合は塩分及びカリウムの制限、人工透析が必要となる。現代人は腎臓に負荷を与える塩分摂取量が多いため、負荷がかかりやすく、知らず知らずのうちに腎臓にダメージを与えている場合がある。
人工透析 ウィキペディアWikipedia)より
人工透析とは、医療行為のひとつで腎臓の機能を人工的に代替することである。正しくは、血液透析療法である。
腎不全に陥った患者が尿毒症になるのを防止するには、外的な手段で血液の「老廃物除去」「電解質維持」「水分量維持」を行わなければならない。 この医療行為を血液透析と呼び、人工腎、血液浄化と呼ばれることもある。

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動的平衡2 生命は自由になれるのか』 福岡伸一/著 木楽舎 2011年発行
生命は水でエントロピーを捨てている (一部抜粋しています)
なぜ、私たち生命体は水を必要とするのだろうか。私たちの身体のおよそ70パーセントは水でできており、たとえば脳はその80パーセントが水である。脳細胞は水の中に浮かんでいると言ってよい。
そして、その水は動いている。絶え間なく流れている。この流れこそが生命を支えているのである。この流れを止めないために私たち生命体は水を必要とする。
自然現象はすべてエントロピーが増大する方向へ、すなわち乱雑さが大きくなる方向へ進む。その中にあって、ひとり生命体だけが細胞を組織化し、エントロピーを産み出し、酸化されたものを還元し、傷ついたDNAを修復できる。つまりエントロピーの増大に抗して秩序を構築できる。
それは、流れる水が身体の内部に発生するエントロピー=乱雑さ常に体外に排出してくれているからだ。それゆえに、私たちが健康でいるためには、この流れを絶やさないこと、すなわち水をたくさん摂取することが何にもまして重要となる。
生命体の流れの中からエントロピーを排出してくれるのはどこか? それは腎臓である。腎臓ほど精妙にできた濾過装置もない。腎臓に比べると、水道に接続する浄水器の仕組みなど、プロペラ飛行機と無重力装置を自在に駆使できる宇宙人の空飛ぶ円盤ほどの差がある。
浄水器は基本的に、中空糸膜というバリアーを設けて水中の比較的大きな混入物が通過できないようにしたうえで、そのあと活性炭などの内部を水が通るようにして、中空糸膜を通過してしまった小さな有害成分を活性炭に吸着させて、水を浄化する。
このような仕組みは不可避的な限界がある。中空糸膜の表面や活性炭内部にゴミが徐々に蓄積し、そのキャパシティを超えると、もはや浄水器としての用をなさなくなるという点だ。
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腎臓はこのような原始的な方法を採用していない。腎臓はまず汚れた血液が太い血管を通して入ってくる。腎臓はその流れを膜で堰き止めることも、吸着剤の内部を通すこともしない。
腎臓は一度、汚れた血液を全部捨ててしまうのだ。そののちに、細い管を通過するプロセスで必要なイオンや栄養分を選択的に再回収する。ここで再回収されなかったものは尿となって排泄される。このようなシステムを用いれば、システム内部にゴミ=エントロピーが蓄積する心配がない。なんとクレバーなことだろう!
私が研究している分子の1つにタム・ホースフォール・タンパク質(略称THP)という奇妙な名前のタンパク質がある。ずっと以前に野口英世が留学していたことで知られるロックフェラー医学研究所のタム博士とホースフォール博士が発見した。以来50有余年このタンパク質が何をしているのか、誰にもわからなかった。
私たちが、このTHPの遺伝子を取り出して調べた結果、THPは腎臓が作り出すタンパク質で、血液が腎臓を通過する際、尿酸の再回収に密接に関わる分子であることが判明した。尿酸とはDNAの分解産物であり、一種のゴミである。
このゴミの血液中濃度(尿酸値)が高くなりずぎると、尿酸は血管の細い部分などで結晶化して組織を傷つける。これが痛風だ。だから尿酸はふつう、腎臓の濾過システムを通して尿中に捨てられる。
しかし、このゴミ=尿酸は、新しい分子を作るときの材料としてリサイクルすることもできる。そこで、賢い腎臓は尿酸の一部を再回収している。THPはここで働いているのである。
引き続いて、とても興味深いことがわかってきた。THPの遺伝子のほんの一ヵ所にミスがあると、THPはがんばりすぎて尿酸を必要以上に再回収してしまうのである。実際に、ヨーロッパ、米国、日本などでTHP遺伝子に変異がある患者が見つかった。その人たちは血液中の尿酸濃度が上昇しすぎて、子どものうちから痛風を発病してしまう。これが家族性若年痛風として知られる遺伝病である。
時として、このようなエラーを発生しうる腎臓だが、これはきわめて稀なことで、基本的なシステムはたいへんうまく運用されている。腎臓には1日に1700リットルもの血液が流れ込む。これは全身の血液が1日300回以上循環する計算となる。
ここからまず捨てられるのが原尿と呼ばれる部分で、およそ180リットル。しかし、このうち99パーセントが再回収される。残りの1〜2リットルが尿となる。腎臓はまさに大量の水の流れのうちにある。尿の量や回数が多いことは健康である証しと言っていい。
私たちは、尿によって水を捨てているのではなく、水の流れに乗せてエントロピーを捨てているのだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
図書館の中で新刊書コーナーを覗いてみたら、福岡伸一著 『動的平衡2 生命は自由になれるのか』という本があった。
福岡さんといえば「動的平衡」の人だ。
お釈迦さまは言った。
「この世にあるすべての存在と現象とは、移ろいゆくもので、一瞬たりとも同じ状態に留まることなく、生々流転している。永遠に継続するような実体などはない。幸福は今日という日には存在するが、明日は分からない。心(魂)というものが自我や煩悩で汚れているために、我々人間はこの地上に修業に来ているのだ」
この本に「腎臓」について書かれている。
「自然現象はすべてエントロピーが増大する方向へ、すなわち乱雑さが大きくなる方向へ進む。その中にあって、ひとり生命体だけが細胞を組織化し、エントロピーを産み出し、酸化されたものを還元し、傷ついたDNAを修復できる。つまりエントロピーの増大に抗して秩序を構築できる」
熱は高いところから低いところに流れ、その逆は自然には起こらない。
不思議だなあ。生命はエントロピーの増大に抗して秩序を構築しているのだ。
「生命体の流れの中からエントロピーを排出してくれるのはどこか? それは腎臓である。腎臓ほど精妙にできた濾過装置もない。腎臓に比べると、水道に接続する浄水器の仕組みなど、プロペラ飛行機と無重力装置を自在に駆使できる宇宙人の空飛ぶ円盤ほどの差がある」
腎臓は優れた濾過装置なのだ。
「私たちは、尿によって水を捨てているのではなく、水の流れに乗せてエントロピーを捨てているのだ」
昔から言われている言葉に「肝腎かなめ」というのがある。臓器のうちで、肝臓と腎臓が特に大切ということなのだろうか。
自然はエントロピーの増大の方向に流れていく。
生命(腎臓)はせっせとエントロピーを排出してくれているのだ。
それでもいつかは死ぬ。限りある命を大切にしなきゃ。