じじぃの「人の死にざま_839_山田・わか」

山田わか - あのひと検索 SPYSEE
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世界と出会った日本人「どん底生活から女性解放運動へ 山田わか」 動画 YouTube
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からゆきさんの小部屋
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山田わか フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』 (一部抜粋しています)
山田わか(1879年(明治12年)12月1日 - 1957年(昭和32年)9月6日)は婦人運動家、社会思想家。神奈川県出身。
【略歴】
神奈川県三浦郡久里浜村(現在の横須賀市)の貧農、浅葉弥平治とミヱの4女として生まれる。18歳の時に上京先の横浜で女衒にかどわかされ、1897年(明治30年)渡米、シアトルの娼館に売られ「アラビアお八重」の名で過ごす。1900年(明治33年)に新聞記者・立井信三郎に助けられ、サンフランシスコに脱出。娼婦救済施設キャメロンハウスに身を寄せ、キリスト教に入信し通訳として働く。1903年明治36年)に、社会学者山田嘉吉の英語塾へ入り翌年結婚。1906年明治39年)に帰国、東京四谷区に居住。
嘉吉の下でスウェーデンの社会思想家エレン・ケイ(1849-1926)の母性主義の思想にふれ、以後、妊娠・出産・育児にあたる母親を国家により保護する、すなわち国による母性の保護を思想信条とした。嘉吉の外国語塾の塾生、大杉栄を通じて知った、平塚らいてうの『青鞜』誌上にエレン・ケイ、オリーブ・シュライナーなどの翻訳や、小説、随筆を寄稿、新婦人協会の設立時には評議員の一人として参加。また1934年(昭和9年)5月、母性保護法制定促進婦人連盟(翌年4月、母性保護連盟と改称)が結成されると初代委員長に就任。運動の成果は、1937年(昭和12年)3月に「母子保護法」の成立として結実する。
なお、国家による母性保護を「奴隷道徳」「依頼主義」と難じ「女子の徹底した独立」を唱える与謝野晶子社会主義者山川菊栄らの批判に対し、平塚らいてうと共に激しく反駁、母性保護論争と呼ばれる論戦を展開した。
【その他の活動】
1931年(昭和6年)5月から東京朝日新聞家庭面の女性相談欄を担当。評論活動を開始。1932年(昭和7年)3月30日付紙面に掲載された「家に押し入ってきた強盗によって妊娠させられてしまった女性」からの相談に対して、「子供を生んで育てるように」と回答し、大きな反響を呼び起こした。

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プロジェクトJAPAN 「どん底生活から女性解放運動へ 山田 わか」 NHK
明治半ばの1890年代、アメリカ・シアトルでだまされて売られてきた日本人女性たちが、男性相手の仕事をしていた。「アラビアお八重」もその一人で、本名を「わか」といった。7年後、わかはサンフランシスコへ逃亡、教会施設「キャメロンハウス」に助けを求めた。のちに夫となる山田嘉吉との出会いで、女性解放思想に目覚め、帰国後、女性評論家として、家庭の大切さや母性を賦与された女性の役割を強調し、「母性保護法」の制定運動で中心的な役割を果たしていく。
http://cgi4.nhk.or.jp/japan/moviegreatpersons/index.cgi?das_id=D0003200007_00000
『あめゆきさんの歌』 山崎朋子/著 文藝春秋 1978年発行 (一部抜粋しています)
16歳の花嫁
先祖伝来の田畑を失い尽そうとしている浅葉家を救うには「かなり大きな額の金」が必要であり、その金をわかは、兄に代わって自分が作り出そうと決心した――というのである。彼女のこの決意の背後に、妻たる者の切ない願いに一顧(いっこ)もあたえてくれない七治良への憎しみを見たら、間違っているだろうか。
それは兎に角として、その「かなり大きな額の金」を、わかが一体どのようにして作りだしたかと言えば、それはアメリカへ行くことによってであった。小学校4年を卒業しただけの彼女にできた仕事は肉体労働だけであっと思われるが、しかしそれで得られる賃金はたかが知れており、そこで窮極、海外へ出て<女の性>を売る仕事に就くよりほかはなかったのである。
もっとも、彼女が最初から海外売春婦になるつもりでアメリカへ渡ったかといえば、おそらくそうではないだろう。『恋愛の社会的意義』におさめられた「亜米利加(アメリカ)の夫人へ」という一文には、彼女とアメリカ社会の関係が一側面だけ語られているのだが、これによるなら、彼女にアメリカ行きをすすめたのは、「もう15、6年も米国に居て確実に地位を固めた日本人成功者」の「夫人」と称する女性であり、その場所とは横浜であった。
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雪のシアトル
けれどわたしは、トランクの底のほうから出て来た雑誌「青踏」の第六巻第一号(昭和3年1月)に載っているわかの小さな感想「自分と周囲」に目を走らせるに至って、思わず粛然としないではいられなかった。すなわち彼女は、そのなかで次のように書いていたのである――
 <私が暗黒街をぬけ出た当時、私はその世界の人間(それは殊に男性)が憎くて憎くて、私の心身はその憎しみの焔で燃えて居た。「おのれ、どうして呉れよう。人の弱みにつけこんで、思ふ存分人の血を吸はうとする悪魔、頭から石油をぶっかけて裾(すそ)から火をつけて焼いてやるから見て居れ」。こんな風に男性を睨(にら)んで居た。
 そして可笑しい事には、自分が男性征伐の旗を掲げてまっさきに立つと、男に苦しめられたありとあらゆる女が、開闢(かいびゃく)以来のやはり男に苦しめられた女の亡者迄もが、皆墓の下から白い経帷子(きょうかたびら)のままで出て来て私のうしろに立つ。と、こんな幻を見て、私は一人で勇んで居た。だから、一寸でも自分に接近する機会のあった婦人が、男に虐待されたの利用されたのといふと、私はすぐ自分の生命を投げ出して所謂(いわゆる)その悪魔征伐に取りかかるのであった。>
山田わかの前半生を知らなければ、ずいぶん大袈裟な身振りの文章だと感じて読みすごしてしまうだろうが、彼女に娼婦時代のあったことを知って読むなら、その迫力はまるで違ったものとなって来る。男性を「人の血を吸はうとする悪魔」と感じ、「頭から石油をぶっかけて裾から火をつけて焼いてやりたい」とまで思うからには、彼女は男たちから、シアトルはチャイナ=タウンのピンク=カーテンの一室でおよそこの世における<女として>の虐げの限りを受けたのである。そしてその虐げによって受けた心の傷が深ければ深いだけ、彼女は、窓ごとにピンク=カーテンのかかっていたホテルの名前はもちろん、その町のそれも、たやすく口にすることができなかったのだ。そうだ、それに違いない――
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強姦の子、生んで育てよ
売春という職業ならざる職業に身をさらした女性たちは、むかしも今も、その過半が、<みごもらぬ女>である。いや。<みごもらぬ女>だと言っては正しくないのでr、正確には、<みごもれぬ女>になってしまうのだ――と言うべきだろう。妊娠しては困るので娼館主が不妊の手だてを講ずるのだとも聞けば、また、不特定多数の男性との限度を越えた接触でさまざまな病菌をうつされ、その結果そうなってしまうのだとも聞くけれど、いずれにせよ売春は、それにたずさわった女性たちの多くを<生むことのできぬ女>としてしまうのである。そして山田わかも、また、そうした女性たちのひとりであったのだ!
遠く太平洋を東へ渡って雪のシアトルにいた7年の歳月。わかは、言ってみれば夜ごと強姦のされつづけだった。そういう彼女だからして、心ならず盗賊に姦されてしまった娘の重たい悩みを理解できなかったわけではない。いや、そのような体験を心身に刻んでいたまさにその故に、その娘の苦しみを、世の一般の人よりもはるかに深く諒解したにちがいないと思われる。
また彼女は、その良識によって、盗賊の強姦によりみごもった子どもを生んで育てるということがどのような事態を結果するかについても、むろん想像しなかったわけではないだろう。愛人だという青年はこの娘との結婚を取り止めることが予想されるし、よしんば彼女への信愛を変えず結婚に踏み切ったとしても、人間はそれほど強いものではないから、青年が、わが子ならぬわが子をみずから愛し、またその子が慈(いつく)しむ妻を心底から受け容れられるものかどうかも危ぶまれる。そして、娘と青年がよくその煉獄に耐えたとしても、口さがない世間のうわさなどから万一子どもがその出生の秘密を知ってしまったような場合、そこに新たな悲劇が惹起されないという保証はない――
このようにわかは、哀れな娘の胸の裡(うち)を人一倍深く理解し、生んで育てた場合の不幸についても、けっして盲目だったのではない。が、しかし彼女は、それにもかかわらずなお、生んで育てよ――と娘に答えた。<みごもらぬ女>であり遂に<生むことのできぬ女>とされてしまった女の魂の声が、その女の底知れぬ深い嘆きが、どのような者の子であれ生んで育てよ――と絶叫せさしめたのであった。

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