じじぃの「人材の逆育成にピリオドを打て・日本復興計画!東日本大震災」

東日本大震災 - ニュース特集 2011/05/01 asahi.com
http://www.asahi.com/special/10005/
震災・原発事故報道のさなか、中東で何が起こっていたか 2011/03/25 Foresight
http://www.fsight.jp/print/10351
池内恵 フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』 (一部抜粋しています)
池内恵(いけうちさとし、1973年 - )は、東京都出身のアラブ研究者、東京大学先端科学技術研究センター准教授。専門は、イスラム政治思想。
父は独文学者の池内紀、叔父は天文学者池内了
処女作である『現代アラブの社会思想』において、現代のアラブの思想家たち(及びその影響を受ける若者たち)が、当初期待をかけていたマルクス主義が破産したことからイスラム原理主義に傾斜していくさまを描写。大佛次郎論壇賞を受賞する。
続く著書『アラブ政治の今を読む』において、下記に記すように、日本のイスラーム研究学界の抱える性質に批判を行い、話題を呼んでいる。
また近年は、井筒俊彦イスラーム解釈の日本的偏向について研究している。

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週刊朝日』 オピニオン・ワイド わが日本復興計画 2011年5月6・13日号
人材の「逆育成」にピリオドを打て! 中東地域研究者 池内恵 (一部抜粋しています)
私はいま、カイロにいます。昨年12月から、私の専門であるアラブ世界が大きく揺れました。前例のない政治的な変化が次々に起ったため、3月11日にエジプト入りし、調査を始めていました。
東日本大震災によって東京の職場が研究活動に制約が出たと聞き、何よりも海外から要人や研究者が来なくなって、日本での仕事が次々とキャンセルされたため、暫定的にカイロに研究室機能を一部移しました。現地から中東の政治を分析し、ウェブ媒体などで発信を続けています。
大きな問題が起こったときは、これまでとやり方を変える必要があります。そういうときに対応できる研究者でありたい。その信念を貫いて、ここにいます。
今回の大震災ではっきりしたのは、日本の専門家たちの弱さでした。地震予知も、原発も、専門家は完全に負けた。負けた後、現場の人たちが頑張ってくれていますが、負けないためには何が足りなかったのか。余震が続く今は、そこは問わないという空気が支配しています。でも有事に対応できる専門家が育たなかったのはなぜか、根本的な議論をしないといけません。
そもそも日本の専門家って、そんなに優秀じゃないんです。みんな薄々気づいていたはずです。ある意味で優秀な面はあって、中間から末端にいる人たちは、それなりに質が粒ぞろいです。でも中間層から上がいなくて、厚みがない。トップたる判断能力というか、最先端の能力を持ってる人が少ない。なぜなら、欧米の受け売りで済ませてきたから。最先端のところは、「欧米からもらってくればいいや」という国だった。ちょっと欧米に楯ついてみせて、もてはやされる人もいるけど、欧米の掌の上で踊っているだけ。そのことを、みんな忘れていた。学問の世界で、最先端の人なんていない。私がものすごく頑張っても、たまに欧米の学者を一人倒せるぐらいで、あちらは代わりがいくらでもいます。こちらは振り返っても、後ろには誰もいない。一人で頑張るしかない。
米国はエリートや専門家を育てるために、ものすごくお金を使い、何よりも関心を払います。30、40歳代になっても、どんどん競争して、勝ったらご褒美をもらえる、社会から賞賛されるような仕組みになっている。日本はそんなの一切なしで、大学を出て一発勝負で「身分」みたいなものが決まったら、それで終わり。それぞれが身分どおりのことを、いちおうやるけど、お金と労力をかけていない。個人が頑張って大学に入った、うまく就職した、というだけの話ですからね。
今の日本で、それぞれの業界で頑張っている人というのは専門能力が高いわけじゃない。業界の細かい雑用と細かい人間関係をこなせているだけ。大多数が小役人になってしまっています。だから何かあったとき、そういう人に聞いても要領を得ないのは当然です。原子力に分野もそうだった。それがいま、恐ろしい形でわかってしまいました。
新しい分野に挑戦しようとする研究者は損をします。その現状を変えようとすると、「業界の和を乱す」と言ってつまはじきにされる。仲間内の論理を優先しさえしていれば、少しずつ給料が挙がって、研究者なら研究費をもらえて、役人はちょっとずつ権限が増えていく。その中で生きている人は、決してその外に出ない。そのために、ものすごい同質化圧力をかけて、能力が高まる可能性のある人をつぶしていく。こういった人材の「逆育成」みたいなことを、この大惨事を機に改めなければ、この国の未来はありません。
海外拠点への機能移転を進める企業も続出するでしょう。各国に拠点を分散して人材を確保しておけば、東京に電気が来なくても、放射能汚染の恐怖で日本との取引を止められてもパニックになることはありません。だが、海外に出て日本企業を動かしていける日本人は育っていません。そういう人材も育成してこなかったから。
海外との関係を重視するとき、日本の企業には人材と現地拠点という手足がないことに気づきます。これは致命的な欠陥です。過去20年は、右肩下がりの時代。お金はあるから、何とか企業として成り立っているけど、本当の意味で海外に展開できる人材を育てるためには、お金も労力も割かなかった。なのに「世界第2の経済大国」なんて言って、夢をみてきた。その間に、発展途上国に能力で抜かれていった。この脆弱さは恐ろしい。何十年かけてでも立て直すしかありません。
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どうでもいい、じじぃの日記。
週刊朝日』5月6・13日号の特集「オピニオン・ワイド わが日本復興計画」に、池内恵氏の記事「人材の『逆育成』にピリオドを打て!」が載っている。
「今の日本で、それぞれの業界で頑張っている人というのは専門能力が高いわけじゃない。業界の細かい雑用と細かい人間関係をこなせているだけ。大多数が小役人になってしまっています。だから何かあったとき、そういう人に聞いても要領を得ないのは当然です」
東京電力しかり、政界しかり、学者しかり、なんだろうなあ。
明治には後藤新平のような人がいた。
とにかく、外国から「お雇い外国人」を入れてもいいではないか。
今こそ強力なリーダーシップで、今の日本を再建できるようにしてほしい。