『プライムニュース』「霊長類から学ぶ人間学親子の絆と教育の本質」 2010年12月23日 BSフジ
【キャスター】八木亜希子、反町理、大山奏解説委員 【ゲスト】京都大学霊長類研究所広報委員長 林美里、東京大学名誉教授 養老孟司
前編:http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d101223_0
後編:http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d101223_1
人類進化の謎 Google 検索
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人類進化の謎のひとつに、「おばあさん仮説」というものがあります 人力検索はてな
人類進化の謎のひとつに、「おばあさん仮説」というものがあります。
これは、人類だけが、閉経後のメスが生き残って、「自らの繁殖から解放されたあと、その知恵と経験を生かして自分の娘や血縁者の子育てを援助することにより、結局は繁殖成功度を上昇させることができた」(長谷川真理子「ヒトという不思議な生物」、長谷川編「ヒト、この不思議な生き物はどこから来たのか」(ウェッジ選書、2002年) 所収)というものです。
http://q.hatena.ne.jp/1234102045
『人間を科学する事典―心と身体のエンサイクロペディア』 佐藤方彦/編集 東京堂出版 2005年発行
・おばあちゃんのいない社会が「キレる」子を生む? (一部抜粋しています)
「切れる」は「切る」を無意志動詞として扱う場合にも用いられますが、糸が切れる、電池が切れるなど、モノが勝手に切れる状態を指すのではなく、意思をもった人間に対して理性が勝手に切れる状態を指すように使われはじめたのは最近のことでしょう。
子どもがキレやすくなった。近頃とみにマスコミを賑わせている話題ではあります。ところが『犯罪白書』をあたると、日本人の殺人率は20代が加害者になる割合が戦後一貫して減り続けています。また青少年の検挙人数も昭和58年をピークに減少傾向です。マスコミの注目とはあい反して、現代の若者の闘争心の欠如を示しているのかもしれません。「キレる」という言葉が用いられる場合で問題になるのは、一貫した攻撃行動ではなく、劇場にまかせた怒髪(どはつ)天を衝(つ)くコントロールの効かない攻撃行動を指しているのでしょう。
逆上するとは、情動によるものです。脳の古い皮質の大脳辺縁系で生起される情動は理性ではコントロールできないからこそ情動であるといえます。しかし本能におもむくまま行動することが一概に悪であるとするのは早計です。食欲、性欲が生存、繁殖にとって必要不可欠であるように、攻撃性もまた縄張りを守ったり、母親がわが子を外敵から守るときに必要な本能であり、長い進化の過程で獲得されたものです。
しかしながら、脳の古い皮質の大脳辺縁系で生起される情動も、実際の行動にいたるまでにはなんらかのコントロールの余地があります。サルの社会では上下関係をきめる戦いでも、相手が負けたという姿勢をとった場合、いわゆる服従のサインをみせることで、相手の攻撃行動を抑制させることが知られています。モイヤーが1968年に発表した論文では、攻撃行動は単一の現象ではなくいくつかに分類されるとしています。そのうち、縄張りを守るとき、メスをめぐってオスどうしが戦うときなど、生態学的に意味のある攻撃性には男性ホルモンであるテストステロンが関わっていることを示しています。人間も思春期をむかえると男の子はけんかっぱやくなったりします。『犯罪白書』のデータは、このオスのひとつの特徴である攻撃性が弱くなってきていることを示しているのかもしれません。一方で、キレるという場合には、コントロールの効かない衝動的ともいうべき異常な攻撃性を指しているのでしょう。
最近、この異常な攻撃性に対してセロトニンという神経伝達物質が注目されています。セロトニンを合成し伝達物質として用いる神経をセロトニン神経と呼びます。セロトニン神経は脳幹のほぼ真ん中の縫線核(ほうせんかく)というところにあって、そこから脳全体に神経を伸ばしています。脳幹は大脳辺縁系よりもさらに古い脳で最も原始的な脳です。セロトニン神経の活動は寝ているときは抑制されて起きているときは活発に活動しています。脳全体の活動を指揮している神経です。この縫線核を破壊したラッドは非常に凶暴になり歯止めの効かない行動をとることが知られています。
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なぜキレる子どもが増えたのか、いろいろな論究が必要なことは確かです。ひとついえることとして、家庭環境をあげておきましょう。
人間は他の動物と比べ、おばあちゃんが存在する珍しい生き物です。生殖能力がなくなってもまだ次の世代が生まれるまで生存する動物は他にありません。人間の場合、おばあちゃんが、子を産む能力がなくなってなお、それまでの経験から社会に何らかの貢献を果たし、また結果としておばあちゃんの存在が種全体の適応力をあげてきたと考えられます。そうでなければ高齢になってもなお子を産む能力がある変異をもった個体が集団のなかにもっと広まっていてもよいはずなのです。
一方で、核家族でしかも母親がこの養育に一対一で対応しがちな現代日本は、そもそも人間の適応力をあげてきたおばあちゃんという存在を無視した、いびつな社会システムであるといえるかもしれません。
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どうでもいい、じじぃの日記。
『人間を科学する事典―心と身体のエンサイクロペディア』という本に「おばあちゃんのいない社会が『キレる』子を生む?」があった。
人間が進化の過程で、おばあちゃんが子どもの面倒を見るというのはいつごろから始まったのだろうか。
閉経後のおばあちゃんが母親にかわって面倒を見るというのは子どもの知能を発達させ、人間の文化を豊かなものにしてきた。
去年の12月23日、BSフジ プライムニュース 「霊長類から学ぶ人間学親子の絆と教育の本質」を観た。
番組の後半で、檻の中でチンパンジーが出産するシーンがあった。チンパンジーは群れのなかで生活をしている。チンパンジーの子どもはその集団の中で人間のように教えられることはないが、他のチンパンジーの行動を見て育っていく。檻の中のチンパンジーはそういう群れのなかでの出産を見た経験がないので育児放棄してしまったのである。
核家族は大切な家族の絆を切ってしまった。檻の中のチンパンジーは核家族そのもののように見えた。
おばあちゃんのいる家族は人間の文化を豊かにしてきたのに、それをむざむざ放棄しようとしているのである。
あるテレビ番組で脚本家の倉本聰さんがこんなことを言っていた。
ホモ・サピエンス → ホモ・サスペンスへ
知恵の人間から恐怖・不安の人間に移行しようとしている。