じじぃの「未解決ファイル_98_クローン」

How to Clone Animals 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=dV2OxSGhwjY
クローン ウィキペディアWikipedia)より
クローンは、同一の起源を持ち、尚かつ均一な遺伝情報を持つ核酸、細胞、個体の集団。もとはギリシア語で植物の小枝の集まりを意味するκλων から。1903年、ウェッバー (H. J. Webber) が、栄養生殖によって増殖した個体集団を指す生物学用語として定義した。また、本来の意味は挿し木である。
【ヒトクローン】
ヒトのクローンは未だ成功していないとする考えが一般的ではあるが、公にされることなくすでに作成されている可能性を完全に否定することはできない。しかし、それは、悪魔の証明という例の一つでもある。2009年現在、ほぼすべての動物のクローン体には何らかの欠陥(エラー)が報告されており、この技術を人間に適用するのは、倫理的な問題以前に技術的な問題があるとされている。たとえば、細胞の分裂に必要なテロメアの長さが短いことがわかってきている。そのため、クローン体は通常より寿命が短い可能性も否定できない。
「クローン人間」というと、「自分と姿・形が全く同じ人間」というイメージが一般にあるが、仮に自分のクローンを作る場合、誕生した時点ではクローンは赤ん坊であるため、現在の自分とは年齢のギャップが生じる。
また発生生物学的にも血管のパターン(配置構造)や指紋などは後天的な影響によるものと考えられており、生体認証の上で利用される血管パターンや指紋の同一な個体の発生率は遺伝的に異なる他の個体と同程度であると考えられている(ただし認証手法によって技術的に同一と判定される率は変化する)ことから、クローン体を用いて生体認証のコンピュータセキュリティを突破しようとすることは現実的ではない。ウシクローン体では鼻紋が、ネコクローン体では毛色が元個体と違うことが確認されている。
なお、個体全身を作製するクローンではなく、体細胞クローン技術やその途中経過である移植者自身の体細胞より発生した幹細胞を利用することで、臓器を複製し機能の損なわれた臓器と置き換えたり、あるいは幹細胞移植による再生医療も研究されたりしている。
【クローンの規制】
また、日本におけるクローン技術規制法のように、世界各国でヒトクローンを禁止する枠組みができつつある。理由としては、先ほど出たような寿命が短いというような問題の他に、「外見の全く一緒の人達が何人もいると社会制度上大変なことになる」「優秀な人間のクローンをたくさん作り優秀な人間だけの軍隊を作る」「独裁者がクローンで影武者を立てる」「クローン人間の殺し合いなどを娯楽に供する」などといった人道上許されないことが起こるから、ということが挙げられるが、上記のように根本的に不可能なものがある。また、「優秀な人間だけの軍隊・野球チーム・サッカーチーム」などという存在は、生まれてきたクローン人間に強制的に軍人やスポーツ選手の道を歩ませない限り不可能であるため、「クローン人間に普通の人間並みの人権を認めない」ということになり人権上問題があるばかりか、ある意味奴隷制度にもつながりかねないものである。なお、研究上ネアンデルタール人等といった古人類のクローンについては規定が明確ではなくグレーの部分がある。絶滅した古人類をヒトとして扱うか動物として扱うかは本来法的に問題にならないが、クローン技術で復活させて研究する等といった、技術的な進歩次第では人類進化のための研究を認めるか等を考慮する必要性が発生することも考えられる。
このような禁止措置はES細胞、iPS細胞などの生命科学の発展の障害となる可能性があり、考え方の対立が問題となっている。

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『不死を売る人びと―「夢の医療」とアメリカの挑戦』 スティーヴン・S. ホール/著 松浦俊輔/翻訳 阪急コミュニケーションズ 2004年発行
エピローグ 有限 (一部抜粋しています)
ある朝目覚めると、ニュースでセヴェリノ・アンティノリ医師でも誰でもクローンに「いかれた輩」がヒト・クローンで赤ん坊を作ることに成功したと言っているのを聞いたとする。どう感じるだろう。レオン・カスは、そのようなテクノロジーの介入があれば、「人間の本質、基本的な人間関係、人間であることの意味の根本的な(そしておそらく取り返しのつかない)変化をもたらすことになるだろう」と書いたことがある。国民がそんな情緒的反応を感じるよう相図を送るキャスターにはこと欠かないだろう。しかし自分の日常で家族的な状況の中で、こんな展開をどうして感じるだろう。カスの嫌悪感を共有する人がいることはわかるが、自分の生活にとって、ヒト・クローンの誕生が、私のでも他の誰のでも、人間の尊厳の感覚を取り返しのつかないほど変えてしまうことを想像することはできない。科学者が成功する見込みが低かったことを考えれば、おそらく驚きはするだろうし、今の段階でこんな実験に進むような人間の絶望や妄想のせいで悲しくなりもするだろう。しかしそれで人間的でなくなったと感じるだろうか。そんなことはない。家族への愛情が減るだろうか。まずそんなことはない。むしろ、家族への愛情はよけいに大事に見えてくるだろう。世代どうしの関係が崩れ始めるだろうか。それもまずない。私はやはり毎週身内に電話して、母には芝居のことを話し(芝居もまだ続いているだろう)、父とは好きな野球チームの調子がよくないと嘆いているだろう(野球もまだ続いているだろう)。その一方で、クローンの研究上の可能性がもっと探求できて、こうした会話がもっと長く続きようになることを心の中で願っているだろう。クローンがあたりまえの営みになり、胚農場ができるのは「避けられない」と思ったら、心配するかもしれない。しかしクローンが広がるとは思わない。自分の人生や人間性の変わり方が一通りだとは想像できないし、ましてやヒト・クローンの誕生でそれが衰えるとも思わない。きっと、この出来音を取り巻くオズのような予測好きの心配の大騒ぎは、それほど怖くない現実に向かえば、そのときに雲散霧消してしまうと予測される。もっとも生物学者のジョージ・デーリーは、面白い予測を出している。「科学界はこのかわいい新生児を見に行って、『クローンであることを証明せよ』と言うだろう。O・J・シンプソン裁判は冗談だったと思うだろうか。クローンのときもきっと大騒ぎになるだろう」
動物のクローンを作っている人の経験に基づけば、そのような子が生まれたとして、その場合は発達が異常になった子ができる可能性が非常に高い。そういう異常児が生まれれば、たぶん悲劇的な形で人間の生殖クローンに内在するリスクに社会の注目を集めることになるだろう。しかし、人間のクローン血r等から得られる可能性がある多くの利益を、危険を最小にするようにして追い求めることはありうると思う。批判派が馬鹿にして言うような、クローン治療の「治療」の部分は純然たる憶測だとしても、生殖クローンの人間の尊厳や本質に対する脅威もやはり純然たる憶測だろう。
こうした関連する哲学的な問題について考えるのは大事だが、この論争とその解決には、最終的に非常に実務的な−−実際、厚かましくも実利的な−−面があり、それを私が納得したのは、ブッシュ生命倫理委員会のある会合のときの、なるほどと思えるやりとりのときのことだった。元ジョンズ・ポプキンズ大の精神科医ポール・マクヒューは、ハンチントン病アルツハイマー病、パーキンソン病の患者であふれる待合室というのがどういうものかを述べていた−−重度の神経障害で、理論的でない意味で人間の尊厳や人間の本心を奪う病気である。これらもまたクローン研究から利益をえられるかもしれない病気であり、マクヒューは、深刻な理由もなしに新しい治療の可能性を見過ごすだけというのはできないと言った。レオン・カスは、いかなる形のクローンにも反対することで知られる高名な生命倫理学者ギルバート・メイレンダーの方を向いて、「先生が掲げておられる道徳的議論の方が優勢だとしたら、ポール・マクヒューの患者さんに何とおっしゃいますか」と尋ねた。それは見事な質問だった。たぶん、カス本人が思っていたことよりも見事だろう。倫理学者に−−あるいは政治家や哲学者に−−医者になって、医学とは別のことに基づいて医学的な判断をするよう求めるという社会的危険をあからさまにしていたからだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
先日、東金図書館から、『不死を売る人びと―「夢の医療」とアメリカの挑戦』を借りてきた。
この本を一通り読んだ。
この本は「がん」、「テロメア」、「クローン」と人の不死に関するものについて書かれている。
この本が書かれたのは2003年である。その後、医学の進歩もあって「がん」、「テロメア」は2003年当時と比べて随分身近に感じられるようになった。
著者ホールは「人のクローン」について多くのページを使って書いている。
彼は哲学や宗教的判断が社会にとって必要な「クローン」による治療を不当に抑制しているようなことを書いている。
倫理的な問題から「人のクローン」はいけないと決めつけている。本当にいけないのかという問題提起の本だ。
きちんとした監督のもとで「クローン」による研究は不治の病といわれるハンチントン病アルツハイマー病、パーキンソン病の治療を可能にするかもしれないというのだ。
「クローン人間」というとヒトラーのような人間を大量生産するというようなイメージがある。
しかし、人間の脳は他の臓器とは異なり、生まれたときからの学習によって記憶とかが形成されていくので、脳の「クローン」ということはありえないのである。
われわれは「人のクローン」は悪という固定観念を持ってしまっているのではないか。
「人のクローン」問題は謎のひとつなのだ。