じじぃの「未解決ファイル_44_干潟」

泡瀬干潟に訪れる沈黙の春 多くの絶滅危惧種が 年明けにも生き埋めに / SAFETY JAPAN [すぐそこにある危機] 2008年10月16日 日経BP
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/z/34/
『椰子(やし)の実』 島崎藤村作詞/大中寅二作曲
名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ
故郷(ふるさと)の岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)
旧(もと)の木は 生(お)いや茂れる
枝はなお 影をやなせる
われもまた 渚(なぎさ)を枕
孤身(ひとりみ)の 浮寝(うきね)の旅ぞ
実をとりて 胸にあつれば
新(あらた)なり 流離(りゅうり)の憂(うれい)
海の日の 沈むを見れば
激(たぎ)り落つ 異郷(いきょう)の涙
思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお)
いずれの日にか 国に帰らん

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『生物を科学する辞典』 市石博、早崎博之、早山明彦、降幡高志、その他著 東京堂出版 2007年発行 (一部抜粋しています)
下水処理場に匹敵する干潟の力
昔から潮干狩りを行ってきた遠浅に海を「干潟(ひがた)」という。干潟は、東京湾有明海のような内湾に流れ込む川の河口付近に、上流から運ばれてきた土砂が堆積してつくられる。干潟は、潮が引くと、砂や泥でできた広々とした海底が水面の上に姿を現わす。この干潟には、下水処理場も顔負けの水をきれいにする力があるという。そのしくみは、どうなっているのだろうか。
潮が引いたときに、干潟を歩いてみよう。砂(泥)浜には、小さな穴がたくさん開いている。この穴から小さなカニが出入りし、砂の中の「デトリタス」と呼ばれる動植物の遺体からできた有機物をより分けて食べている。砂浜には、カニの穴よりもっと小さな穴がたくさんある。この穴の奥には、ゴカイがすんでいる。これは、魚釣りのエサになる。東京湾三番瀬の干潟では、タマシキゴカイが、巣穴の入り口にうどん玉のような糞(ふん)の山をつくっている。アサリやシオフキガイなどの二枚貝も出てくる。アサリのような貝は、海水中の懸濁物(けんだくぶつ)を入水管から吸い込み、これを粘液でくっつけ出水管から排出している。これは海底に沈むので、海水の濁(にご)りが取り除かれる。1匹のアサリが1時間にろ過する海水の量は1リットルにもなる。魚などが死ぬと、多数のアラムシロガイがやってきて食べつくしてしまう。季節によっては、海水のあるところで、ハゼ、ボラ、カレイなどの稚魚が泳ぎまわっている。また、シギやチドリ、カモなどの渡り鳥が立ち寄り、ゴカイや貝類などを食べている。
干潟には、生活排水や下水処理水が流れ込む。この中には有機物や、これが分解されてできた窒素やリンが含まれている。植物プランクトンには、窒素やリンを肥料分として増える。干潟の砂や泥の表面には、顕微鏡で見なければわからないような微小なケイ藻類が付着している。一般に、植物プランクトンは、動物プランクトンに食べられ、動物プランクトンは小魚に食べられる。干潟の表面のケイ藻類はゴカイに食べられ、干潟の砂や泥の中の有機物はゴカイやカニなどに食べられる。これらの動物がシギやチドリなどの渡り鳥に食べられ、鳥たちが飛び去ることで海水中の有機物は取り除かれる。また、人間がアサリなどの魚介類を食べることで、同じように有機物は取り除かれる。このように干潟では、食物連鎖によって有機物や窒素・リンなどが取り除かれる。
干潟には、下水処理場に匹敵する水質浄化の能力があるといわれている。東京湾三番瀬干潟には、13万人分の下水処理に匹敵する水質浄化の能力があるという。愛知県の一色干潟で行われた調査によると、干潟の生物は、流れ込む窒素とリンの約半分を取りこんでいることがわかった。このように、干潟が水質浄化の力を発揮できるのは、干潮時に、干潟の砂(泥)浜が空気中の酸素に触れ、ゴカイ、カニ、貝類が掘る巣穴には酸素を多く含んだ海水が入り込んで、有機物を分解する好気性微生物の繁殖を助けるからである。
干潟は埋め立てやすく、戦後50年間で、日本の干潟の半分近くが姿を消した。21世紀に入った現在、身近な干潟の役割を見直す必要があるのではないだろうか。

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どうでもいい、じじぃの日記。
そんなに、昔でない日本の記憶。
春になって、新緑のころ、ゆっくりと流れる小川にはメダカやタナゴやドジョウがいた。
夏になると、橋のたもとで、ホタルが乱舞していた。
秋になると、夕焼けの空を渡り鳥が飛んでいる景色があった。
それは、そんなに昔でない日本の記憶であった。