じじぃの「未解決ファイル_36_プヤ・ライモンディ」

『トンデモない生き物たち』 白石拓 宝島社 2006年発行
100年に一度恋をして死ぬプヤ・ライモンディ (一部抜粋しています)
まずは左の写真(注.アンデスに生きる巨大な"草本植物"を参照のこと)を見ると、この巨大な物体を、何かのモニュメントと見紛(みまが)うことだろう。これが植物だと聞かされても、いったいどれが花で、どれが茎で、どれが葉か、見当もつかない。
イタリアの博物学者アントニオ・ライモンディ(1826-1890年)があじめてこの植物をヨーロッパに紹介したとき、驚きをもって迎えられたという。
南米のチリからアルゼンチンまで3000キロメートルにわたって続くアンデス山脈の中央部に、標高3000〜4000メートルの平坦な土地が広がっており、アルティプラーノと呼ばれている。アルティプラーノの気候はきびしく、一帯には樹木はいっさい見あたらず、ほとんどが多年草の草花、とくにイネ科の背の低い植物が生(は)えているのみ。
そのようなアルティプラーノに、突如巨大な姿を現すのが、ライモンディ博士から名をとった「プヤ・ライモンディ」である。プヤとは剣のホコ先などとがったものを意味する。
プヤ・ライモンディはパイナップル科に属する多年草だ。地上に密集している球状のものが葉で、高さは4メートルもある。もともと生えてきたころの葉はやわらかく、タンポポの葉のように、地面に放射状に広がっている。ただし、葉の縁にはかたいトゲが生えている。
それが20年たつころに、葉は半球形のかたまりになり、30年後にはウニのような球形になる。
球形になるのに30年かかることからわかるように、プヤ・ライモンディは樹木のように長生きする。およそ100年生きるので、別名センチュリー・プラントとも呼ばれている。
葉が球形に育った後のドラマをおよそ次のようだ。
球形の葉の状態のままプヤ・ライモンディは何十年も過ごし、十分に成長したあるとき、突然葉のまん中から花茎(かけい)を伸ばし始める。花茎とは花をつける茎のこと。花茎ははこれまで何十年もゆっくり過ごしてきたとは思えないほど短期間に、またたくまに伸びて10メートルを超えるほどになる。しかし、これがプヤ・ライモンディの命が最後に近づいてきた印でもある。
花茎にはあわい黄色の花が無数につく。花は蜜をたっぷり用意し、受粉を媒介してくれる動物を誘う。昆虫が少ないので、鳥類とりわけハチトリの仲間が花と花の仲を取りもつことが多いという。
こうして100年生きてきたプヤ・ライモンディは100年目に、最後に一度だけ恋の花を咲かせ、子孫を残す。そして目的を達するとすぐ枯れてしまう。
誕生した30万〜40万個もの種は、翼状の膜に包まれた状態で、新天地を求めて、風に乗って旅立っていくのである。

                                • -

プヤ・ライモンディ
アンデスに生きる巨大な"草本植物"
http://plaza.umin.ac.jp/~life-sci/fujisan/puya/puya.htm
どうでもいい、じじぃの日記。
不思議な植物もいるものだ。
アンデス山脈に生育しているプヤ・ライモンディ。
最後の茎になる前はサボテンのように見える。大きくなったプヤ・ライモンディは巨大なオチンチンのように見える。
100年に一度、花が咲いて、すぐ枯れてしまう。
人生の目的が最後の生殖のためだけにあるかのように、川に遡上してくるサケのようでもある。
「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に」 (小野小町
人生は短い。桜の花のように、わたしの美貌も崩れていくわ。
このプヤ・ライモンディを人生にたとえれば、どんな表現になるのであろうか。
もし、小野小町がプヤ・ライモンディであったら。
人生は長い。もっとエッチしたかった。この恨みは100年で一気にはらしてみせようぞ。
と、いったかどうか、定かでない。