じじぃの「未解決ファイル_30_カモノハシ」

Platypus (Ornithorhynchus Anatinus) 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=NlrAgcZE3K4
生物を科学する辞典 市石博、早山明彦、降幡高志、その他著 東京堂出版 2007年発行
変わる生き物のの分類法
よく知られているように、クジラはヒトと同じ哺乳類で、マグロはこれとは異なる魚類である。しかし生活の場を中心に考えると、ヒトと異なり海の動物であるクジラとマグロが共通で、世の中には同じ水産物として扱う立場もある。このように人間の都合や主観によって分ける分類を「人為分類」という。そもそも分類は目的により分かりやすければよく、そのときの立場によって適切な分類は異なる。しかしこれでは共通性がなくなり、学問としては困ってしまう。クジラを哺乳類に入れるのは、進化の過程で海中の生活に適応したのがより後だと判っているからである。さまざまな生きものを生物の進化の歴史にしたがって整理する分類を「系統分類」といい、「人為分類」に対して、自然を反映した学問としての分類(「自然分類」)として扱われている。
クジラの祖先はゾウなどと共通で4本の足で陸上を歩いていた。これが水中での生活に適応して、水の抵抗を受けにくく、ひれを使って泳ぐという魚と同じ形になった。クジラとゾウのように生物は同じ祖先から出発しても進化の過程でさまざまな種類に分かれて多様化してきた。これを「放散(ほうさん)」という。逆にクジラとマグロのように祖先がまったく異なる生きものでも、同じような生活環境で適応し生き残っていった結果、来たような形質をもつようになる。このような現象を「収斂(しゅうれん)」という。
現在いきている生物の形質は、放散と収斂の結果ともいえ、そせんから受け継いだものと、進化の過程で適応し変化させてきたものとが入り混じっている。このマカで
どのような形質を基準にすれば系統分類が可能か、多くの研究者によりさまざまな努力がなされてきた。しかし形質による分類は、たとえば生活の場や体の形と赤ちゃんを生む(胎生)という形質のどちらを重視するかなど、人間が判断する必要がある。進化の過程が明らかでない場合、しばしば、どの形質を選べば祖先を反映しているか、人為的に判断しなければならないのである。
分子生物学の発展により、DNAの塩基配列などの分子の違いを比較する分類方法が確立してきた。DNAの塩基は生物の進化の過程で少しずつ置き換わってきたものなので、これを現生の生物どうしで比較すると、お互いの系統関係が判明する。このような分子の変化は、通常、どう変わったかと、環境からどんな影響を受けたかということに因果関係がない。環境への適応に影響されないので、放散はあっても収斂はない。今、生きている生物どうしを比較しても生物の進化の過程を直接的に示すことのなるので、分子に基づく分類は進化の過程を最も反映した自然分類と考えられている。
分子の違いがどの程度、生物の種の類縁関係を示しているかは、その遺伝子の種類によって異なる。一般に生存にまったく影響のない遺伝子では塩基が置き換わる速度が大きく、現生の生きものでも差が大きい。より生存に重要な部分ほどたまたまの変化が生存に影響なく生き残る確率が低いため、置き換わる速度が小さいという傾向にある。もっとも置換速度が大きい遺伝子でのDNAの違いは、ヒトの個体識別などのDNA鑑定に用いられる。もっとも置換速度が小さく、何億年という単位で比較できる遺伝子の違いは、生物の大きな分類に用いることができることになる。
この分子による分類と形質による古典的な形質による分類の比較検討も行われている。たとえば最近の研究では、恐竜は今の鳥類の直接の祖先にかなり近いことが示されており、これに近いワニの遺伝子はトカゲなどの他のは虫類よりも鳥類に近く、は虫類という分類をどう考えるかが問題になりつつある。しかしむしろ、古典的な分類がかなりDNAによる分類に沿う場合も多く、自然分類を目指してきた先人の慧眼の鋭さを感じる。

                              • -

探検!進化の木〜ヒトの起源に迫る〜 2009年3月18日 NHK HI
ダーウィンの進化論が生まれてから150年。生物の進化はどこまで解明されたのか?
現在、地球上で確認されている180万種の生物たち。古くから人間は、さまざまな方法で生物を分類し、自然の仕組みを解明してきた。19世紀なかば、それまで形だけ似た生物の分類に、進化という時間の概念から生物の分類を考えたのがダーウィンだった。「種の起源(進化論)」の発表は、それまでの通説を覆し大きな反発も受けたが、次第にその真理に気づいた科学者たちは以後、進化をたどりすべての生物を網羅した系統的な分類を「生命の樹」という形で発展させるようになった。
「ヒトはどこからきたのか?」番組は、最先端の研究をもとに私たちホモ・サピエンスの起源へ迫る物語。ヒトの体の特徴はどこから来たのか?手のひらから飛び出した親指や下向きの鼻孔、左右対称の体など、ほかの動物や昆虫、植物からのつながりを織り交ぜながら、驚くべき進化の歴史をたどり、ヒトは何から進化したのかを解き明かす。
1. 新たな生物の分類図「進化の木」
生物の分類図は、科学の進歩とともに大きく変化してきた。はしごの形をした単純なものにはじまり、ダーウィンを経て進化(時間)の概念を取り入れた「生命の樹」。
そして最新のDNAや細胞レベルの研究によって新たな分類図「進化の木」が生まれた。分類の歴史を振り返る。
2. 生物界の親戚たち
番組は主人公のヒト(ホモ・サピエンス)が「進化の木」の枝をさかのぼることで、そのルーツを探っていく。つぎつぎと合流する枝で出会うのは、進化の過程で分かれていったほかの生物たちだ。サルはもちろん、昆虫、植物、バクテリアまで、フランスならではのエスプリの効いたスタイリッシュな映像を使って、ヒトとの共通点を明らかにしながら、ヒトは生物界ではどの仲間なのかを紹介していく。
3. 全生物の祖先「ルカ」
「進化の木」をたどって行くと、中心にいたのはたった1つの細胞「ルカ(LUCA)」。地球上のすべての生物は「ルカ」からはじまり、それぞれが生き残りをかけて時間とともにその形を変えながら進化を遂げてきた。ヒトは本当に特別で高等な生物なのか?そもそも進化とは何か?地球上のすべての生物の先祖が1つということに私たちに根源的な問いを投げかける。
http://www.nhk.or.jp/frontier/archives/20090318.html
どうでもいい、じじぃの日記。
7/5、再放送だったがNHK 「探検!進化の木〜ヒトの起源に迫る〜」を観た。
コンピュータCGを駆使して進化の過程を説明しようという番組だった。丸い円が進化を表わし、中心に行くに従って進化のルーツになっている。われわれ人類もすべて進化している生物の一つにしか過ぎない。
それでは、円の縁にある人類から進化のルーツへ遡っていこう。
「人類」(ネット検索)
 600万年前から500万年前くらいになると、より人間に近い、ヒト亜科として区分される動物が現れます。これは、より大きな脳を持ち、楽々と二足歩行できるようになった霊長類です。これらが人類の直接の祖先と目されています。
●われわれ人類は「霊長類」の仲間だ。「霊長類」をどこで他の「哺乳類」と分類するのか。「霊長類」とは「親指」が共通するものを集めたものなのだ。
「親指」(ネット検索)
 これらの原始的な「霊長類」は、木の枝や食べ物をつかみやすいように、親指と他の指とが向かい合うように体を進化させ、尻尾も木に巻き付けられるようにしたんだよ。
 また、「霊長類」は、モノをつかみやすいだけではなく、肩の関節の動く範囲を大きくしたので、枝から枝へとぶら下がって木から木へ渡ることができたんだ。
 さらに、「食虫類」との大きな違いは、目のつき方だね。木から木へ安全に飛び移ったり、虫を正確にとらえるために、大きな目を顔の前に並ぶように進化させたんだ。そのために、距離を正確に測ることができるようになったし、モノが立体的に見えるようになったんだ。
 こうして、木の上での生活に体を適応させていったんだ。最初は、ネズミのような動物だった「霊長類」が、少しずつ「サル」らしい体つきになっていったんだよ。
●それでは、「哺乳類」をどこで他の「両生類」、「爬虫類」、「鳥類」などの「四足動物」と分類するのか。「哺乳類」とは「肩胛骨」が共通するものを集めたものなのだ。
「肩胛骨」(ネット検索)
 哺乳類は両生類や爬虫類の歩行上の欠点を失くすように進化しました。肩の構造で起きた大きな変化は肩甲骨の位置の移動です。お腹側にあった肩甲骨が体の側面へと移動しました。真横を向いてた腕は真下を向くようになり、地面に対して直立しています。骨格で体が支えられるようになり、いつも腕立て伏せをしているような両生類や爬虫類の余分なエネルギーが必要なく、はるかに速く、歩き、走れるようになりました。
 四足動物と違って、頭の上まで腕を上げることが出来ます。
●それでは、「四足動物」は「両生類」、「爬虫類」、「鳥類」、「哺乳類」でいいのか。
進化の過程で「四足動物」から長い時間をかけて「哺乳類」が出てきた。「哺乳類」に進化する前に「カモノハシ」が別れた。
「カモノハシ」(ネット検索)
 爬虫類+鳥類+哺乳類=カモノハシ?
 オーストラリアに生息する哺乳(ほにゅう)類のカモノハシは、アヒルのようなくちばしをもち、卵を産むが、体は毛で覆われ、母乳で子どもを育てる。この「世界で最も奇妙な哺乳類」のゲノム(全遺伝情報)を英米豪や日本の理化学研究所の研究員らでつくる国際チームが調べたところ、遺伝子も哺乳類、爬虫(はちゅう)類、鳥類の「パッチワーク」のようになっていたことがわかった。  http://clip.nifty.com/entry/ab02f3d80c2ace121012616515c70ef07f076f4c/332927/?nextLink=on&offset=1949
「カモノハシ」は不思議な動物なのだ。