じじぃの「未解決ファイル_27_イブ仮説」

Who Was Mitochondrial Eve? 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=OjdZ5GmU61o
日本人 フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』 (一部抜粋しています)
ミトコンドリアDNAによる系統分析】
1980年代からのミトコンドリアDNA研究の進展により、ヒトの母系の先祖を推定できるようになった(ミトコンドリア・イブ参照)。これにより、アフリカ単一起源説がほぼ証明され、また民族集団の系統も推定できるようになった。ミトコンドリアDNAやY染色体のようなゲノムの組換えしない部分を用いた系統樹の作成は、集団の移動とルーツを辿るのに用いられる。例えば日本人のミトコンドリアDNAのハプロタイプの割合と、周辺の集団(韓国や中国、台湾、シベリア先住民など)つまり各ハプログループを比較することで、祖先がどのようなルートを辿って日本列島にたどり着いたかを推定できる。分析に用いられるのは、ミトコンドリアDNAの塩基配列のうち、遺伝子の発現に影響しない中立的な部分である。形態の生成等に関与せず、選択圧を受けないため、分析に用いることができる。
人類集団の遺伝的系統図によれば、最初にアフリカ人とその他の集団が分岐し、次にヨーロッパ人とその他の集団が分岐したこと、その次に東・東南アジア人とオーストラリア人が分岐し、最後の大きな分岐として東・東南アジア人とアメリカ先住民が分岐したということである。この系統樹で見られた主要な特徴は、従来のタンパク質多型や最近の核DNAの多型によって明らかにされた人類集団間の系統関係と大筋において一致する。

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生物を科学する辞典 市石博、早山明彦、その他著 東京堂出版 2007年発行
ミトコンドリア・イブ
ミトコンドリアは、細胞質にうかぶエネルギー生産工場である。ヒトの場合、ひとつの細胞に平均約2000個のミトコンドリアが存在するといわれる。ネコからカブトムシやイソギンチャク、サクラ、コケ、キノコにいたるまで、地球上のすべての真核生物がミトコンドリアをもっている。およそ20億年前に単細胞生物に入り込んで住みついてしまった好気呼吸をおこなう細菌がその祖先であると考えられている。ミトコンドリアは自身のDNAをもっているが、分裂や増殖は細胞核内のDNAから作られるタンパク質でコントロールされている。このミトコンドリアのDNAの違いを調べることによって、どれくらい前にその生物が共通の祖先から分岐したか推測できる。
ミトコンドリアは卵細胞にも精子にも存在するのだが、不思議なことに受精して子どもに引き継がれるのは母親由来のミトコンドリアだけである。なぜなら、精子から卵細胞にわたされるのはDNAだけで、精子にあったミトコンドリアは、早々と分解されてしまうからである。受精卵が母親由来のミトコンドリアしか受け継がない現象は、多くの生物で確認されている。受精卵は父親由来のDNAと母親由来のDNAから核をつくり、細胞質とミトコンドリアなどの細胞小器官は、すべて母親ゆずりということになる。男子は、母親ゆずりのミトコンドリアを一生使い、そしてそれは、息子にも娘にも伝わることはない。母親のミトコンドリアは祖母からもらったもの、祖母のミトコンドリアは會祖母からもらったものである。こうしてミトコンドリアを過去にたどっていくと行き着く先は何であろうか。
カリフォルニア大学バークレー校のレベッカ・キャン、アラン・ウィルソンらの分子人類学グループはヒト147人分の胎盤からミトコンドリアDNAを抽出し、近縁関係を調べてみた。過去にさかのぼるにしたがって、人種間の違いが小さくなり、およそ20万年さかのぼったところで、ただ1人のアフリカ人女性にたどりついた。彼女をミトコンドリアからたどった私たち人類共通の祖先とみなし、「ミトコンドリア・イブ」と名付けたのである。1987年のことであった。
当時アフリカのこの地域には1万人程度の祖先がいたと考えられているが、この調査から見る限りでは、他の女性のミトコンドリアは20万年の途中ですべて途絶したということになる。子どもをつくらなかったか、生まれた子が男子でミトコンドリアDNAが受け継がれなかったのであろう。もちろん、他の女性の細胞核DNAは子々孫々、いろいろな人々に受け継がれているはずである。
現在生きている人々がもっているミトコンドリアDNAの違いの幅は、チンパンジーのそれの10分の1程度とされる。この事実は、わたしたちの遺伝的バラエティは、まだチンパンジーほどではないことを示している。またアフリカ人集団の遺伝的な多様性が他の地域の人々に比べて大きいことは、他の地域に比べてアフリカの集団の起源が古いことを示している。つまり、人類は早い時期に世界各地に散らばって、それぞれの地域で進化したのではなく、アフリカで進化した後、世界各地に進出したと考えられるのである。
さて、ネコの仲間の「イブ」はいつごろ誕生したのだろう。イヌの仲間の「イブ」は・・・? ミトコンドリアのDNAを比較するするだけでは、充分とはいえないが、このようにたどっていくと、生命のイブにとどりつくのだろうか。はたまた、あなたのミトコンドリアが未来のイブとなるのだろうか。

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『科学の謎』未解決ファイル 日本博学倶楽部 PHP文庫 2008年発行 (一部抜粋しています)
揺らぐミトコンドリア・イブ説
ミトコンドリア・イブ説の登場で、一躍有力視されるようになった「単一起源説」だが、まだ確定しているわけではない。
発掘された化石を調べると、オーストラリアやアジアで生きてきた原人は、そのままホモ・サピエンスに進化した可能性が高い。つまり、アジアやオーストラリアの地域では、独自にホモ・サピエンスが誕生したと考えられる。「他地域進化説」を主張する人たちはこのことを根拠に、「単一起源説」に反論している。
また、21世紀になってから、イブ仮説を根底から覆す事実が明らかになった。
近年、母親からしか受け継がれないと思われていたミトコンドリアDNAに父親から遺伝するケースがあることが判明した。そのため、女性遺伝という前提の上にたっていたイブ仮説は揺らぎ始めたのだ。
このミトコンドリア・イブの仮説は間違いだったのか。ホモ・サピエンスはアフリカからではなく、各地で派生していったのか。両説、どちらもいまだ決定打を得ないまま、議論が続いている。

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どうでもいい、じじぃの日記。
2002年、テレビ東京 「サイエンス・スペシャル 日本人は9人の母から生まれた!? 天海祐希ユーラシアにルーツを追う」を観た。
女優の天海祐希が共通のミトコンドリア遺伝子を持つ女性を中国、シベリアに訪ねるという番組だった。番組の最後に中国の奥地で1人の同じミトコンドリア遺伝子を持つ女性に出会うシーンは印象的だった。
ヨーロッパ人は7人の母系先祖がいて、日本人は9人の母系先祖がいるという。
このミトコンドリアとは細菌なんだ。学問的には好気性細菌の一種なんだそうだ。それがエッチして、受精した子どもは母親からしか受け継がないのだという。
『科学の謎』の本には「ミトコンドリアDNAに父親から遺伝するケースがあることが判明した」があるが。一応、無視する。
「およそ20万年さかのぼったところで、ただ1人のアフリカ人女性にたどりついた。彼女をミトコンドリアからたどった私たち人類共通の祖先とみなし、「ミトコンドリア・イブ」と名付けたのである」
この文章は、なんか感動的である。
ジェームズ・ワトソンはDNAの二重らせん構造の発見で、1962年にノーベル医学生理学賞を受賞した。このワトソンが黒人の知性の高さについての発言が人種差別だったとのことで問題になった。彼はこの「ミトコンドリア・イブ」をどう思っているのだろうか。
日本人にもいるのか知らないが、目の色が緑の人をテレビで見ることがある。緑色の目のネコもいるが、神秘的である。肌の色、鼻の高さは気候の関係ということで納得がいくのだが。
金髪の髪、緑色の目なんかはメラニン色素が関係しているというが、どこでそうなったのか不思議である。『雑学全書』エンサイクロネット編(2000年発行)によれば「メラニン色素は、肌や髪にも同じようにあり、だから瞳と髪の色は同じにあるわけだ」がある。この説?によれば、緑色の瞳の人はあそこの髪(毛)も緑色になるのだが・・・
まあ。目の色が茶色でも、黒目でもいい。白目でなければ。