じじぃの「未解決ファイル_24_マツタケ」

菌根・菌根菌とは何か
http://www.agr.hokudai.ac.jp/fres/fbio/field%20kinkon.htm
『絵でわかる生物の不思議』 太田次郎 監修 講談社サイエンティフィク 2003年発行
キノコは森の中で何をしているの?
キノコは他の生物が利用できない物質を食べる
森の中を歩くと、いろいろな姿のキノコに出会います。キノコが生えている枯れ木や落ち葉の中には、糸状の菌糸が伸びています。この糸状の菌糸こそが、キノコのふだんの姿ですが、やがて菌糸が集まってキノコをつくり、たくさんの胞子を飛ばします(正確にいうと、キノコとは一部の菌類が胞子をつけるために形成する器官の俗称で、学問的には子実体といいます)。
キノコ(菌類)は、動物と同じく、栄養分を外から取り入れる生物です。生態系の中では、光合成有機物をつくる植物が「生産者」で、その有機物を利用する動物が「消費者」であるのに対して、キノコは生物の遺体や排泄物などの有機物に分解する「分解者」といわれます。
キノコは、落ち葉や枯れ木の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンなど、他の生物が栄養源として利用しにくい高分子化合物を分解することができます。これらの中でもリグニンは、特に分解されにくい物質です。キノコの進化の過程では、最初にセルロースを分解するキノコが登場し、その後にリグニンも分解するキノコが出現したといわれています。
生きている木と助け合うキノコ
キノコの仲間には、いきている植物の根に共生して「菌根」をつくるキノコ(菌根菌)があります。
菌根菌は、菌根を通して、植物から栄養分(主として糖分)をもらいます。一方で菌根菌は、土の中に含まれる水、リン、カリウムなどの無機塩類を植物の根に与えたり、植物の根を乾燥や病原菌から守ったりしています。アカマツが山の尾根のやせた土地でも生育し、クロマツが海岸のやせた砂地でも生育するのは、菌根菌と共生していりからです。
実はマツタケも、アカマツの根につく菌根菌の一種です。マツタケは、落ち葉などがたまって他のキノコが生えてくると、競争に負けてしまう弱いキノコです。したがって、マツタケが生えるようにするには、アカマツ林の落ち葉や枯れ枝を取り除いてやる必要があります。かっての日本でマツタケがたくさんとれたのは、人々が燃料や肥料を得るために落ち葉を採集していたからです。
地球上で繁栄している樹木の多くは、菌根をつくることがわかっています(ただし、スギやヒノキはつくりません)。木々をたくましく育てるには、菌根を上手につくってやる必要があります。なお、キノコには、サルノコシカケのように、生きている木に寄生して栄養分を得るものもあります。このように見てくると、キノコは単なる分解者ではないことがわかります。

                          • -

マツタケ生産の現状、栽培について (一部抜粋しています)
1.マツタケ生産の現状
マツタケは、秋の味覚を代表する特用林産物であり、香り、味の点でまさに日本のキノコの王者として、古くから親しまれている。
しかし、全国のマツタケの生産量は、昭和16年に12,222t のピークを迎えた後、昭和30年代3,500t、昭和40年代1,000t、昭和50〜60年代500tと急激に減少、平成3年には267tと昭和16年の45分の1になっている。
その減少の原因については、第1にアカマツ林が減少したことである。戦時中の強制伐採に始まって、戦後の山村復興のため、さらに昭和30年代に入るとパルプ用材としてマツタケ山も含めてアカマツ林は伐採され続けた。その後もアカマツ受難の時代は続き、昭和40年代に入ると宅地やゴルフ場造成のため失われた近郊のアカマツ林も多く、さらに松くい虫被害の大発生は残された山に決定的な打撃を与えた。
第2に、残されたマツタケ山もしだいに老齢化が進み、年々発生量が落ちてきたことである。言い換えると適齢のマツタケ山が少なくなっていると言うことである。第3には、アカマツ林に対する手入れが行われなくなったことである。とくに戦後の伐採跡地に更新した二代目の若い林が放置されている。昔なら30年もすれば発生が見られた山も、環境が整っていないため現状ではほとんどマツタケの顔を見ることができない。新しいマツタケ山もほとんど出来なくなっている。かつてアカマツ林は農山村の生活の一部になっていたが、昭和30年代に入ると山村の生活様式や社会的変化の影響をまともに受け、これまでアカマツ林から採っていた燃料や肥料が石油・プロパンガスや化学肥料へ、アカマツ用材やチップ材は輸入外材へと変わった。山を育てていた労働力も都市部へ流れ、人の暮らしとのつながりを完全に失ってしまったことが、マツ林の手入れがなされなくなった大きな原因といえる。
つぎに、愛媛県の生産量については、確かな統計資料がなくはっきりしないが、昭和25年562tあったものが昭和56年1.8t、平成元年1.0tと減少し、平成3年には統計上0になっている。また、この減少の原因については、全国的な減少と同じと考えられる。
このように、秋の味覚の王様であるマツタケがほとんど生産されなくなったことは、たいへん残念なことである。
2.マツタケ栽培について
マツタケ栽培の考え方には3つの方向がある。一つは林地でシロを作らせ栽培する林地栽培、一つは畑または施設を使って、アカマツを育て、シロを作らせる施設栽培であり、さらに純粋培養によってキノコを発生させる人工栽培もしくは菌床栽培という考え方である。
現在、国や各県の林業試験場などで主に研究されているのが林地栽培で、マツタケ山の造り方やシロの形成促進方法などで、適地にある若齢林を選んで、下木草、堆積落葉などを調整してマツタケの好む環境を作る方法である。
施設栽培は林地に似た状態を作り出し、そこに菌を植えてシロを作らせる方法で、このためには種菌をつくり、植菌方法、土壌や奇主となるアカマツなどの植物を調節する方法など前提となる段階がまだ未解決である。
菌床栽培については、菌糸の大量純粋培養が必要でまだ未解決のものが多く、施設栽培、菌床栽培は共に現在研究段階にある。
http://www.pref.ehime.jp/060nourinsuisan/080ringyou/00001461021016/5_guide/matsutake1.pdf
『雑学全書』エンサイクロネット 光文社 2000年発行
今、マツタケは世界中からやってくる
秋になると、居酒屋のメニューにも、マツタケの土瓶蒸しやお吸い物が加わる。そのマツタケを見て、「韓国産だよ」と訳知り顔で言う人もいるだろうが、その正答率は今では10%以下になっている。現在は、マツタケは世界中から輸入されているのだ。
もっとも輸入量が多いのは、100トン以上を輸入している中国である。2位はカナダ産、3番目はようよく韓国産で、4番目がアメリカ産となっている。
日本が、マツタケを大量に輸入しはじめた1980年代は、この4ヵ国に、北朝鮮を加えた5ヵ国から輸入していた。ところが、採してみると、マツタケは世界中に自生していた。現在では、台湾、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、トルコに、アフリカのモロッコアルジェリアなどからも輸入されている。
という話を聞けば、「世界中からマツタケをかき集めると、クジラやマグロのように国際摩擦を起こすぞ」と心配になる人もいるだろう。しかし、現在のところ、マツタケを珍重するのは、世界の中で日本だけ。世界中から、買ってくれてありがとうと、大歓迎されている。

                          • -

急変!マツタケ事情 北欧やメキシコからもやってくる 2007/9/12 J-CAST テレビウォッチ
http://www.j-cast.com/tv/2007/09/12011206.html
どうでもいい、じじぃの日記。
9月に入ったら、急に秋らしくなってきた。ここ千葉の銚子ではサンマが豊漁とニュースでやっていた。
ネットで「秋の味覚」を検索したら、秋を感じる「秋の味覚」ランキングで1位は栗で、2位がサンマで、3位がマツタケ、4位が柿、5位が梨だった。
『雑学全書』によると、マツタケを珍重するのは、世界の中で日本人だけなんだそうだ。
「お寿司」なんかを食べると、日本人に生まれてきてよかったと思うが、「マツタケ」ではそんな気持ちにならないのは、あまり口にしたことが無いからだ。
『絵でわかる生物の不思議』に「マツタケ」のことが載っている。
昔は日本でも「マツタケ」がたくさん採れたのだそうだ。
マツタケが生えるようにするには、アカマツ林の落ち葉や枯れ枝を取り除いてやる必要があります。かっての日本でマツタケがたくさんとれたのは、人々が燃料や肥料を得るために落ち葉を採集していたからです」
なんでも、手入れが大切なんだ。まぁ、賞味期限の切れた「ぐったりマツタケ」はどうしようもないが。 (^^!
マツタケ」が何で「椎茸」のようにならないのだろうと、調べたが「マツタケ」の菌糸の大量純粋培養で未解決の問題があるのだそうだ。
「貧乏人は麦を食え」という名言?がある。この秋、「貧乏人はサンマを食え」。