じじぃの「未解決ファイル_23_超伝導物質」

superconductivity 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=0IkiEQTpqgU
超伝導 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』 (一部抜粋しています)
超伝導(Superconductivity)とは、特定の金属や化合物などの物質を超低温に冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象。同時にマイスナー効果により外部からの磁力線が遮断されることから、電気抵抗の測定によらずとも超伝導状態が判別できる。1911年、オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オンネスにより発見された。電気工学分野では「超電導」と表記されることもある。この現象が現れるときの温度は超伝導転移温度と呼ばれ、この温度を室温程度に上昇させること(室温超伝導)は、現代物理学の重要な研究目標の一つ。
【概要】
液体窒素の沸点である-196℃(77 K)以上で超伝導現象を起こすものは高温超伝導物質(Cuprate superconductor)と呼ばれる。
物質が超伝導状態になるということは、水が氷になるように、まったく新しい相へ移行すること(相転移)を意味する。このため超伝導相に移り変わる温度を、(超伝導)転移温度という。超伝導に転移する前の相は常伝導という。
超伝導物質】
超伝導現象の発見以降、多くの超伝導を示す元素や化合物が発見されている。アルカリ金属、金、銀、銅などの電気伝導性の高い金属は超伝導にならない。単体の元素で最も超伝導転移温度が高いものは、ニオブの 9.2 K(常圧下)である。常圧下において超伝導を示す金属は多いが、そうでない金属、あるいは非金属元素でも高圧下で金属化と同時に超伝導を示すものがある。また、重い電子系における超伝導や、高温超伝導強磁性超伝導が共存する物質など従来の超伝導物質と性格の異なるものも発見されている。
【利用例】
超伝導現象は、超高感度の磁気測定装置(SQUID)や医療用核磁気共鳴画像撮影(MRI)装置など、測定用に超伝導電磁石を使用する用途では既に重要な応用分野を持っているが、今でもこれらの冷却には高価格な液体ヘリウムが用いられており、大規模な利用への障害になっている。
産業用途では実用化の技術開発が進んでいる超伝導モーターが最も期待されており、送電線や電力貯蔵の用途でも超伝導での実用化の目処が立たないが、将来実用化出来れば社会や産業への影響は大きいと期待されている。以下に利用例を示す。
超伝導電磁石
超伝導加速器空洞
超電導電力線
 ・超伝導モーター (開発中)
 ・核磁気共鳴 - 核磁気共鳴画像法(MRI) (実用中)
 ・磁気浮上式鉄道(ジェイアール式マグレブ)(実証実験段階)
 ・核融合炉(計画中)
超伝導量子干渉計(SQUID
・磁気シールド装置
超伝導送電線(小規模の実証実験段階)
・磁気推進船 - 実験船 ヤマト1
超伝導電力貯蔵装置(構想)

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新・物理学事典 大槻義彦、大場一郎編 講談社 2009年発行
第4章 物性物理学 (一部抜粋しています)
超伝導
電子はフェルミ粒子であるが、2個ずつのペアを作るとボース粒子の性質を持つ。超伝導は、その集団がボース凝縮したものと考えることができる。2電子のペアを「クーパー対」と呼ぶ。クーパー対は-2eの電荷をもっているから、クーパー対の超流動は"電荷超流動" つまりゼロ抵抗の電流をもたらし、「永久電流」も流れる。しかしながら、超伝導では電荷と電流が登場するので、磁場との相互作用などにおいて、ヘリウムの超電流には見られなかった多彩な性質が現れる。
超伝導は、1911年にオランダのカマリング・オネス(Kamerlingh Onnes)によって発見された。その物質は水銀で、超伝導になる温度(超伝導臨界温度という)は4.19Kであった。その後1985年までに、数多くの単体元素、合金、化合物で超伝導が発見され、1980年には有機結晶での超伝導が発見されたが、臨界温度はいずれも25K以下にとどまっていた。1986年、ドイツのベドノルツ(J.G.Bednorz)とスイスのミューラー(K.A.Muller)が、La2CuO4のLaを一部Baで置換した物質で30Kを超える超伝導を発見した。これが高温超伝導の幕開けであった。さらに、超高圧を加えることによって、すべての物質を超伝導にしようという壮大なもくろみも着実に進展しており、高圧下のFe、O2、Li、S、Ca、Br、Iなどでも超伝導は発見されている。

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プロフェッショナル 仕事の流儀 石ころだって、宝になる〜科学者・細野秀雄〜 5月26日 NHK
【主な出演者】細野秀雄、茂木健一郎住吉美紀橋本さとし
夢の素材、「超伝導物質」発見など、画期的な新素材を次々に生み出す東京工業大学教授の細野秀雄(55)。世界が注目する最先端の研究者の現場に密着する。
未来を支える、画期的な新素材を次々に生み出す凄腕(すごうで)の科学者がいる。東京工業大学教授の細野秀雄だ。2008年2月、夢の素材「超伝導物質」を発見し、科学界のドギモを抜いた。2009年春、細野の研究室では、半導体にとってかわる新素材の開発が大詰めを迎えていた。度重なる失敗、起死回生をねらう細野の決断、そして開発の行方は…? 20人の若き研究員を率い、日々世界に挑む研究者の流儀に迫る。
http://www.nhk.or.jp/professional/2009/0526/index.html
どうでもいい、じじぃの日記。
リニアモーターカーによって「超伝導」が身近になってきた。現在の鉄道車両はレールの上を走るため、摩擦が生じる。リニアモーターカーでは「超伝導」を利用するので車両を空中に浮かせ、摩擦がない状態で進めることができる。人間ドッグなどで使われているMRIにも「超伝導」が使われている。
超伝導の世界では、超電導物質が超伝導を起こす温度を臨界温度と呼ぶ。絶対零度−273℃または0K)から何度上で超伝導が起こせるかは、そこまで低温を造るコストを考えると重要なことである。「超伝導」の競争は、いまや臨界温度を上げる競争なのである。液体窒素の沸点は-196℃(77 K)である。これ以上の温度で超電導になる物質はないか。
一般に酸化物は電気の絶縁体だと考えられており、金属がさびると電流が流れない。しかし、La2CuO4のLaを一部Baで置換した物質で30Kを超える超伝導になったのだ。
それ以降、超伝導フィーバー」とも呼ばれる世界的な超伝導研究開発競争が続き、1994年に発見された銅水銀系酸化物において高圧条件下での164Kが最高記録となった。
5/26、NHKテレビ 「仕事の流儀 石ころだって、宝になる〜科学者・細野秀雄〜」を観た。
東京工業大学教授の細野秀雄さんは銅を主成分とする酸化物系とは全く異なる鉄系超伝導体、「第3の超伝導物質」を発見した。
こんなに身近にある鉄の酸化物が「超伝導」になるとは驚きである。
細野さんのモットーは「身近にあるもので超伝導」だそうだ。
そして、細野さんの言葉は「勝てる科学者であれ」だった。
固体物理はまだまだ、未開拓の分野なのである。