じじぃの「笑いのある人生」ぱーと2

『ヒトは今も進化している 最新生物学でたどる「人間の一生」』 ローワン・フーパー著 新潮社
6章 老化と死 (一部抜粋しています)
老化を笑え
十代の若者がパートタイムの仕事の面接試験をうけていた。「キミはまず、週給1万円からスタートする。1ヵ月したら、週給1万5000円にあげてやる」とボスがいうと、若者は「そいつはすごい。1ヵ月後にまた来ます」。
カナダの研究者たちはこうしたジョークをつかってユーモアを研究した成果を1999年に発表した。ほとんどの被験者はたジョークの決めの文句(パンチライン)をおかしいと感じることができたけれど、脳の右側の前頭葉に損傷のある人間にはそれが理解できなかった。脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷などで脳に損傷をうけた人びとは、ちがった種類のパンチラインを好むのだ。たとえば−−「ねえボス、アンタの鼻はアンタの顔には大きすぎるぜ!」(もしかするとビートたけしは、こっちのパンチラインを選ぶかもしれないが、それは彼がスラップステップ・ギャグが好きだというだけで、実際に脳にイメージを受けたせいではない。もっとも、ときおりそんなふうに思えることもないではないが)。
ともあれ、この研究は脳の前頭部が、ユーモアや感情といった高度な認識機能に決定的な役割をはたすことを明らかにした。研究を手がけたのはトロント大学の心理学者プラシバ・シャミとロットマン研究所(トロント大学ベイクレスト老年疾患センター)の所長ドナルド・スタッスだったが、この2人は2003年に、老人たちを対象にしたユーモア研究のつづきを行った。その結果わかったのは、ユーモアの受容(ユーモラスな刺激に対する微笑みや笑いといった感情的な反応で、ユーモアがきちんと処理されることによって、はじめて実現される)が、老化によって変化しないことだった。高齢になっても人びとは、良い笑いを楽しむことができるのだ。
しかし、知的でより複雑なタイプのユーモアを理解する能力は、年齢とともに失われていく。この発見は、「ジャーナル・オブ・ザ・インターナショナル・ニューロサイコロジカル・ソサイエティ」の2003年9月号に発表された。
研究に参加したのは20人の健康なお年寄り(平均年齢73歳)と17人の若者(同28歳)。全員が右利きで流暢な英会話ができる。被験者は、(1)言葉によるユーモラスな発言の受容、(2)ジョークの物語を完成させる、(3)言語要素を含まないマンガによる受容、の3種類のユーモア・テストをうけた。最初のテストでは、参加者は、ユーモラスな文章(21本)と中立的な文章(7本)のなかから、面白いものを選択する。ユーモラスな文章というのはたとえばこういうものだ。<ホテルの表示−−お客様には、ルームメイドをほしいままにしていただいて結構です> 中立的な文章は、<ホテルの表示−−お出かけのさいは、室内灯を消してください> 驚くことではないだろうが、お年寄りたちも、この最初のテストでは若者たちと同じように正解することができた。
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こうした一連の神経心理学のテストは、精神の柔軟さなどの認知能力を査定するテストとしてもつかわれる。研究者たちが見いだしたのは、高齢の被験者たちは、認知能力が衰えるにしたがって、正しいパンチラインの選択でより多くの誤りをおこすことだった。
しかしユーモアの理解力が減退するにもかかわらず、お年寄りたちは感情的な反応では若者たちと変わりがなかった。すなわち、ユーモアが理解できたときには彼らは微笑んだり笑ったりしたのである。これが示唆するのはこういうことだ。脳の前頭前野の背外側部がつかさどる認知能力はユーモアの理解とも深く関係しているが、加齢とともにその能力は衰えていくらしい。しかし眼窩野と内側前頭前野がかかわる感情的な処理については、以前と変わりなく作動する。
「グッドニュースは、老化がユーモアに対する感情的な反応には影響をあたえないこと。われわれは年老いても、ジョークが理解できれば、楽しく笑うことができる」とシャミはいう。「感情的な敏感さが失われないということが重要ね。なぜなら、感情的な敏感さは社会的な相互関係に欠くことができないものであり、そうしてユーモアは人生の質を高めると長いこと考えられてきたから。それはストレス・マネージメントを補佐し、人間が老化にともなうさまざまなストレスとうまくやっていくのを助けてくれるの」
シャミがここで示唆しているのは、古くからある問いかけだ。この問いには、これまで多くの仮説が答えをだそうとしてきたが、まだ科学者たちの完全な合意を得るにはいたっていない。なぜ笑いは進化したのは。それは何のためだったのか?
一部の研究者たちは、くすぐりと関係があると考えている。チンパンジーやゴリラは、くすぐられるとハーハーいいだす。それが彼らにとっての笑いであり、くすぐることは相互関係を確かなものにし、そして信頼を伝える方法なのだ。人類が言語を進化させたのちは、笑いを誘いだす方法はほとんど無限になった。おそらくそれは、私たちがこれまでのところ最も複雑な社会的関係を結ぶ動物になることを助けてくれた。人類の脳の右前頭葉の皮質から生み出された「笑い」は、人類を特徴づける形質のひとつなのである。

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どうでもいい、じじぃの日記。
『ヒトは今も進化している 最新生物学でたどる「人間の一生」』の本の「老化を笑え」の中に
「私たちがこれまでのところ最も複雑な社会的関係を結ぶ動物になることを助けてくれた。人類の脳の右前頭葉の皮質から生み出された「笑い」は、人類を特徴づける形質のひとつなのである」
がある。
年寄りにとっても「笑い」は良薬であるらしい。
パンチライン」をキーにして検索してみた。
パンチライン - punch line。 映画や舞台のセリフで一番の聞かせどころ。決め台詞。
パンチライン Yahoo!映画
 スタンダップ・コメディアンを目指し、毎夜のようにコメディ・クラブで漫談を披露する落ちこぼれの医大生(ハンクス)と、やはり漫談好きが講じて舞台に立つようになった主婦(フィールド)。環境も年齢も異なるこの二人は、やがてほのかな恋心を抱き合うようになるが……。
 http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id18813/
「パンティライン」をキーにして検索したら「マリリン・モンロー」が出てきた。