じじぃの「シャガールを追え!」

ムンクを追え!』 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日 エドワード・ドルニック著 光文社 (一部抜粋しています)
この犯罪が行われた当日は、いつもの冬の土曜日ではなかった。1994年2月12日は冬季オリンピックリレハンメル大会の開催初日だったのである。
それはノルウェー国民にとって、とりわけ国を代表する政治家や文化人たちにとって、ノルウェーが世界の注目を浴びる、めったにない機会だった。
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ノルウェーから遠く離れた場所で、この事件をじっと注視している男たちがいた。ロンドン警視庁美術骨董課、通称<美術特捜班>に所属する精鋭たちである。
『叫び』盗難のニュースがもたらされたのは、週末だった。そして1994年2月14日、月曜日の朝に、早くも特捜班は動きだした。課長が真っ先に電話を入れた相手は、囮捜査の第一人者、チャーリー・ヒルだった。
「チャーリー、聞いたか。『叫び』が盗まれた」
「昨夜、ニュースで見ましたよ」
「われわれが力になれると思うか」
公式には、外国で発生した絵画盗難事件であるから、ロンドン警視庁はいっさい関知しない。それに『叫び』の行方を追うとなれば、一筋縄ではいきそうもない。捜査費用もかさむだろうし、危険もともなうだろう。お偉方たちはきっとこう言うにちがいない。「いったいどうして、外国の事件に関わる必要があるのかね」
たしかにそのとおり。オスロで起きた事件は、オスロの警察に任せておけばいい。
チャーリー・ヒルの言葉を借りれば、"ロンドンの警察にとっては知ったこっちゃない事件"だった。がしかし、"関わらずにはいられない魅力的な事件"でもあったのである。

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どうっでもいい、じじぃの日記。
東金図書館から『ムンクを追え!』という本と赤瀬川源平著『日本にある世界の名画入門』を借りてきた。
ムンクを追え!』を参考にして「日本にある世界の名画」を盗む意図は今は、99.9%、持っていない。
このブログが「日本にある世界の名画」の盗難防止に役立つことを願っている次第である。
だけど、XXだシャガールの絵なんか、どれぐらいで買ってもらえるんだろう。
じじぃの好きな画家の絵の解説を『日本にある世界の名画入門』から抜粋してみた。
名古屋市美術館蔵 モディリアーニ【おさげ髪の少女】
着古したセーターを豊かに見せるモディリアーニの天才
この少女には会ったことがある、ような気がする。ぼくは極東の日本人だけど、この少女もアジアのどこか、山並みをちょっと登ったところの生まれでは、という気さえする。
とにかく子供のころ近所にいたような少女で、いつも見ていた感じがある。見ていてもとくに意識はしないのだけれども、目の端のほうにこびりついていた少女の感じ。
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ずいぶん着古されたセーターである、この少女だけで着古したというより、お姉さんの着古したお下がりか、あるいはお兄さんのか、いずれにしろ2代か3代にわたって着古されたような感触がある。見たとうりモディリアーニの筆が絵具を塗っただけなのに、そういう感触がどうしてあらわされているのだろうか。
ブリヂストン美術館蔵 ドガ【浴後】
ドガの絵の、けちけちしない、惜しげもない上手さ
ドガの絵はいつも上手いなあと思う。
よいなあ、と思うのと、上手いなあ、と思うのと、どちらがよいのだろうか。
もちろんよいなあと思っているんだけれど、その前に上手いなあと思っているような気がする。
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テーマはあくまでこの入浴後の裸婦で、でもその存在をあらわすために浴槽を描き、手前にソファ状のものを描き、その上に何か布状のものをもやもやっと描いている。そのもやもやしさ加減というのが、じつにさっぱりとして、ざっくりとして、気持ちいいのだ。何も描かないわけにもいかないけど、でもしっこく描くこともない、まあこんなもんでいいだろうと、ざらざらっと引かれた線、その具合がじつにいい。
ひろしま美術館蔵 シャガール【ヴィテブルクの眺め】
絵画の方法論を無視したシャガールの私的な「自分勝手」
地面がふわふわと白く、空もふわふわと白い。雪景色なのかな、と思うが、屋根は白くない。
でも右の家の屋根瓦は白い線が波打っている。真ん中や左の家も、屋根の軒先はちょっと白い。家の入口前の階段も、ちょっと白いものが載っている。やっぱり少し雪が降ったのだろうか。全面的な雪景色じゃなくても、ちょっとした雪景色なのかもしれない。
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シャガールの絵は家庭で揚げる天麩羅
シャガールの絵というのは、アウトラインが何となく天麩羅みたいだ。素材そのままの活き造りとか、包丁をスパッと入れたお刺身というのとは違って、犬でも馬でも人物でも、メリケン粉を溶かしたのにたっぷりつけて、油で揚げて天麩羅にしている。馬車も家も、屋根も空も、衣のついた天麩羅みたいだ。それも高い上等の料理屋でかりっと揚げた、角の立つような天麩羅というよりも、ふつうの家庭で揚げる天麩羅みたいに、衣がけっこうたっぷりめについて卓袱台に並んでいる。
その他
ブリヂストン美術館には、モネ【睡蓮】があります。
虹の美術館には、アンディ・ウォーホルマリリン・モンロー】があります。
じじぃはシャガールの絵が大好きです。