じじぃの「ソシオメーター・自閉症・ミクログリアは心を操る細胞か?共感の雑学」

【ソシオメーター理論】主観的な自尊心とは、他者からの受容の程度を示す計器(メーター)である!?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=nHELjNBeY48


ソシオメーター理論

ウィキペディアWikipedia) より
ソシオメーター理論(Sociometer theory)は、自尊心についての進化心理学的視点からの理論であり、自尊心は対人関係の尺度(またはソシオメーター)であるとする理論である。

この理論は、社会的感情、対人および内人的行動、自己奉仕バイアス、拒絶への反応といった心理的現象への反応として作り出された。この理論に基づき、自尊心は他者からの受容や拒絶を監視する社会関係、そして対人交流の有効性の尺度である。このため、ソシオメーター理論では人間関係の価値に重点が置かれている。これは、ある人が他の人との関係をどの程度重視しているか、そしてそれが日々の生活にどのように影響するかということである。
様々な研究や調査によって確認されているように、人間関係の価値が高いと見なされる人は、より高い自尊心を持つ可能性が高い。

                  • -

『世界はなぜ地獄になるのか』

橘玲/著 小学館 2023年発行

PART4 評判格差社会のステイタスゲーム より

ストレスが脳の自己免疫疾患を引き起こす

サイバーボールというコンピュータゲームを使った実験では、脳画像撮影装置に入った被験者は、他の2人とディスプレイ上で仮想のキャッチボールをする。だがしばらくすると、2人は被験者を除け者にして自分たちだけでボールを回すようになる。

じつはこれはコンピュータのプログラムなのだが、被験者は理由もなく仲間外れにされたように感じる。このときの脳の容姿を観察すると、具体的な痛みと関係している部位の活動が高まっていた。仲間外れにされるとソシオメーターの針が大きく下がり、脳はそれを殴られたり蹴られたりするのと同じように感じるのだ。

ここから、なぜステイタスが低いと健康を害するのかが理解できる。脳は、突き詰めていうならば、一定の刺激に対して一定の反応を返す器官で、精神的な痛みと肉体的な痛みと肉体的な痛みを区別することができない。

毎日、殴る蹴るの暴力にさらされていたら、とうてい健康に過ごすことはできないだろう。周囲から批判されたり、仲間外れにされたりして、ステイタスが低いことを意識させられるのは、脳のレベルではこれと同じ体験なのだ。

近年の医学研究は、職場や家庭などでのストレスが慢性的な軽度の炎症を引き起こし、それが動脈、筋肉、肝臓などの組織を蝕むことで、心臓病、2型糖尿病、大腸がん、関節炎にいたるまで、多くの慢性疾患(生活習慣病)の原因になっていることを明らかにした。

さらには、これまで免疫とは無関係とされていた脳でも、ニューロン以外の部分を構成するグリア細胞のなかで、「ミクログリア」と呼ばれる細胞が免疫系に関与していることがわかってきた。この新しい説によれば、うつ病や不安障害、アルツハイマー認知症などは、多くの場合、ミクログリアの過活動が原因の脳の自己免疫疾患ということになる。

人類が進化の大半を過ごした旧石器時代では、ステイタスが下がる(共同体から排除される)ことは文字通り死を意味した。こうして脳は、そうして脳波、ステイタスが下がると「このままでは死んでしまう」という警報を全力で鳴らすようになった。

その結果わたしたちは、ささいな批判や噂を過剰に意識して動揺し、ストレスホルモンを立ち量に分泌させ、交感神経がつねに亢進している状態になってしまう。現代社会では、この不都合な仕組みが、身体的・精神的なさまざまな不調を引き起こしているのだ。

                  • -

じじぃの日記。

橘玲著『世界はなぜ地獄になるのか』という本に、「ストレスが脳の自己免疫疾患を引き起こす」があった。

「さらには、これまで免疫とは無関係とされていた脳でも、ニューロン以外の部分を構成するグリア細胞のなかで、『ミクログリア』と呼ばれる細胞が免疫系に関与していることがわかってきた。この新しい説によれば、うつ病や不安障害、アルツハイマー認知症などは、多くの場合、ミクログリアの過活動が原因の脳の自己免疫疾患ということになる」

ネットで「ミクログリア 自閉症」をキーにして検索してみた。

著者らが紹介した研究は,神経細胞そのものではなく,ミクログリアの機能制御を介した神経細胞変性の改善に着目している。同研究の結果から,ミクログリアの機能制御がASDの治療標的となる可能性が示された。これは,従来の神経細胞を標的とした創薬研究から,グリア細胞を標的とした創薬研究へのパラダイムシフトを起こす。
また,同研究は,運動という非侵襲的刺激を用いた点が独創的であり,運動が自閉症の治療法として有効である可能性を,細胞生物学的観点から示した。そして,自閉症発症後であってもその病態に介入し,治療につながる方法として運動の可能性を示した点は,臨床応用性の観点からも意義深いと考える。
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930248/data/index.html

やっぱしなあ、ミクログリア自閉症は密接に関係しているんだ。

自閉スペクトラム症ASD)者は、健常者と比べて共感が乏しいことが言われている。

じじぃの「カオス・地球_293_日本がウクライナになる日・第2章・ブダペスト覚書書」

ロシアによるウクライナ侵攻 1994年ブダペスト覚書で核兵器を放棄したウクライナの結末

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AHTBWcWO1Qw

「存在しなかった安全」ブダペスト覚書署


「存在しなかった安全」ブダペスト覚書署名から24年

2024年4月8日 ウクルインフォルム
ウクルインフォルムは、この機能しなかった悲惨な文書に関するいくつかの事実を喚起する。
なお、ブダペスト覚書の一つの肯定的な点は、19世紀のドイツ帝国首相、オットー・フォン・ビスマルクの格言「ロシアと結ぶ合意には、そこに書かれていることに価値がない」に現代的なイメージを与えた点であろう。

・1994年12月5日、ブダペストにおいて、ウクライナアメリカ、ロシア、イギリスが安全の保証に関する覚書、いわゆる「ブダペスト覚書」に署名した。同時に、フランスと中国が、声明を出し、同様の保証を与えると発表したが、この2国は覚書に署名はしなかった。
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/2595290-cun-zaishinakatta-an-quanbudapesuto-jue-shu-shu-mingkaranian.html

『日本がウクライナになる日』

河東哲夫/著 CCCメディアハウス 2022年発行

プロパガンダにだまされるな。「プーチン=悪、ゼレンスキー=善」という単純な見方でウクライナ危機の深層は分かりません。外交官・作家としてソ連・ロシア観察50年の実感から書いた、歴史・軍事・地政学に基づくロシア・ウクライナ関係の多角的分析。

第2章 どうしてこんな戦争に?――ウクライナとは、何があったのか より

プーチンウクライナを嫌う理由

プーチンウクライナを見る目には、醒めた歴史観を超えて、何か感情的なものが見られる。実はロシアとウクライナの関係は、ウクライナの独立後、まるで夫婦離婚の後さながら、どちらがいくら取るかをめぐっての、脅し合い、化かし合いの繰り返しだったのだ。それもそのはず、ウクライナソ連の中ではロシアに次いで第2位のGDPを誇り、長年中央の財政い貢献してきた。ウクライナにしてみれば、「ロシアの石油もガスも、その開発、そしてパイプラインの建設にウクライナの税金が使われている。だから……」という思いがある。

しかもウクライナ軍需産業の中心地で、ロシアが保有する最大の長距離核ミサイルSS-18を製造したのはウクライナのユジマシ社、中国の航空母艦遼寧(りょうねい)」も、もとはウクライナで建造されたソ連海軍の「ヴァリャーグ」だ。ソ連軍のヘリコプターや軍艦のエンジンもウクライナに依存し、今回の戦争であえなく燃えてしまった世界最大の輸送機「ムリーヤ」も、ウクライナの航空機メーカー「アントノフ」製造したものだ。

それもあり、ソ連時代のウクライナには多数の核ミサイルが配備されていた。だからソ連崩壊後、アメリカとロシアはしゃかりきになってウクライナなどに散らばっていた核兵器をロシア一国に集中しようとする。ウクライナはこれに散々ごねた。そのうえで、1994年12月、核兵器撤去後のウクライナの安全を保障するという趣旨の「ブダペスト覚書書」をロシア、アメリカ、イギリス、中国、フランスに署名さえ、核兵器をやっとロシアに引き渡した。今回のロシアのウクライナ攻撃は、この合意への違反である。

アメリカのネオコンに脅されて――「カラー革命」の恐怖

このヤスコ―ヴィチ(親ロシア路線をとり、2014年の政変でロシアに逃亡した元大統領)の裏切りに、ヨーロッパ並みの生活、ヨーロッパ並みの近代社会を明日にでも手に入れられるとの幻想を抱いていた、ウクライナの中間層は反発する。彼らは反ヤスコ―ヴィチ運動で立ち上がった。

もともと彼らは2005年、反政府デモでリベラル・親西側のユシェンコ大統領[第3代大統領]を政権の座につけた経験がある。これを「オレンジ革命」と言って、アメリカのネオコン連中が世界中であおった民主化運動の先駆け。その後、政権の内紛、腐敗のために、保守・親露のヤスコ―ヴィチに政権を取られていたのだが、それを親西側に取り返すチャンスというわけだ。

キエフのインテリ・中間層は2013年11月末から、連日、キエフ中心のマイダン広場で、ヤスコ―ヴィチ糾弾の集会を続けたのである。それだけならまあいいのだが、プーチン・ロシアが神経質になったのは、これにアメリカや欧州の「民主化運動」団体たちが関わっていたことだ。
    ・
2003年にはジョージア、2004年いはウクライナ等で、選挙の開票に不正があったとして、抗議運動が盛り上がる。その力で政権交代が実現する。これを動かした野党勢力は、アメリカや欧州の「民主化支援」団体から、運動のノウハウを教わっていたし、資金面での援助も得ていたのである。

ジョージアでのレジーム・チェンジは「バラ(桃色)革命」ウクライナでのものは「オレンジ革命」と名付けられ、それゆえにロシアはこうした政権交代の策動を「カラー革命」と呼んで、毛虫のように恐れ、嫌うようになったのである。それだけ、ロシアの社会の中には不満が抱え込まれていて、外国からの策動で簡単に倒れてしまうからである。

じじぃの「アリ・狩猟採集・平等な社会・戦争はなぜ生れたのか!共感の雑学」

Vol.4 恐怖!サムライアリの奴隷狩り【アリのひみつ大図鑑】/BS11

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=K1JgF_-Frp8

えげつない寄生生物 サムライアリ


他国の女王を殺し家臣を奴隷化するサムライアリの極悪非道な国盗り物語【えげつない寄生生物】

2019年06月21日 デイリー新潮
ゴキブリを奴隷のように支配したり、泳げないカマキリを入水自殺させたり、アリの脳を支配し最適な場所に誘って殺したり――、あなたはそんな恐ろしい生物をご存じだろうか。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/06210700/?all=1#goog_rewarded

地球ドラマチック 「アリの王国 命をつなぐ物語」

2024年4月6日 NHK Eテレ
【語り】今井朋彦
ヤマアリのコロニーの春から夏の物語。
春、ヤマアリたちは女王の産卵に備え、食料探しに大忙し。初夏には女王が産卵。そして真夏の日照りや嵐の危機を乗り越え、幼虫はさなぎへと成長した。しかし、そこへヤマアリの赤ちゃんを狙う、サムライアリの脅威が迫っていた…!
恐竜の時代から絶滅することなく繁栄してきたアリたち。死と誕生を繰り返しながら、1億年以上も続いてきたアリたちの命の営みを見つめる(フランス2022年)。

働きアリは餌を発見すると腹端から道しるベフェロモンを分泌し、これを地面につけながら巣に帰っていく。この道しるベフェロモンによりアリの行列ができる。
https://www.nhk.jp/p/dramatic/ts/QJ6V6KJ3VZ/

『共感革命』

山極壽一/著 河出新書 2023年発行
人類は約700万年前にチンパンジーとの共通祖先から分かれ、独自の進化を遂げた。やがて言葉を獲得したことによって「認知革命」が起きたとされている。しかし、実はその前に、もっと大きな革命があった。それが「共感革命」だ。

巨大文明が築かれ、世界宗教が誕生した

現代の社会では、これまで想像もしなかった形で不平等が生まれている。情報通信機器が様々な文化のあいだをフラットにつなぐことで、そこに見えない権力が生じ、階層ができる。世界は見事に、情報文明による中央集権的な社会となったのである。

これまで人類は、対面で付き合い、目の前にいる他者に配慮することによって平等性をつくってきた。土地の特性に合わせ不平等が生じないよう工夫してきた。

ところが情報の大流通によって、文化は消滅した。これまで不平等をなくすためには権力を倒せばよかったが、現代ではその権力が見えにくくなった。これが今、直面している大きな危機なのだ。

人類は共感力を誤ったがゆえに、闘争と暴力が支配する社会を助走している。

哺乳類と霊長類と人間の死亡率を比較し、集団間の暴力によって死亡した1000人あたりの人数を計算したところ、哺乳類に対し霊長類は数倍高い死亡率だったという論文が、2018年に「ネイチャー」誌に発表された。その理由は、霊長類が集団でなわばりを構えて敵対する傾向が強いからと見なされている。

人類の祖先も、今から5000年前までは他の霊長類と同様の比率だった。それが5000年から3000年前、巨大な文明が現れた時代に一気に変動し、死亡率は10倍以上に急上昇している。
    ・
繰り返しになるが、暴力や戦争は、人間の本性ではない。言葉によって人間がつくりあげてしまった虚構なのだ。人間の共感力はその虚構を強固なものにしてしまった。虚構が敵対意識をつくり出し、暴力を正当化してしまったのだ。

戦争は人間の本性ではない

今、世界中の政治家は、人間の本性が悪だと思い込んでいるように見える。

だからこそ人間の本性を抑えつける必要があり、人々が平和に暮らせるよう、秩序をもたらすためには管理するための権力が必要で、それが政治家の役割だと考えている。

しかし、オランダの若き歴史家でジャーナリストのルトガー・ブレグマンが著わした『Humankind 希望の歴史』は、人間の性悪説を見事に覆してくれる。

彼は有名なスタンフォード大学の囚人実験や、ミルグラムの電気ショック実験などの欺瞞(ぎまん)を暴いた。人間の本性を悪だと考える人たちが信じている歴史的なエピソードのウソを豊富に紹介しており、人間は本来助け合う心に満ちていると実感できる。
この本は、人間の本性を性善説として解釈したら、世界はどう見えるだろうかと問いかけているのだ。

人間は共感力をもって他人同士が助け合うことに喜びを見出し、社会をつくってきた。
この本ではホッブズの「万人の万人による闘争」も、ダーウィンの「自然淘汰」の社会進化も懐疑的に見られている。まさにその通りなのではないかと私も思う。

しかし、いまだに、戦争は避けられない、戦争は人間の本能だ、と考える人々は多い。この「戦争は人間の本性だ」という考えには、ある背景がある。
    ・
人間が狩猟によって社会をつくったという説もあったが、これも間違っている。人間は狩猟される側として、いかに安全を確保するか、安全のためにいかに仲間と協力するかが集団生活の主な動機だった。肉食動物の脅威から逃れるために仲間同士で助け合い、安全確保を最優先することによって、社会がつくられてきたと考えるほうが自然だろう。

人間が狩猟者になったのは、進化の過程においてまだ新しいことなのだ。

人間の本性は善であり、共感力を発揮して互いに助け合う社会をつい最近までつくってきたというのが私の考えで、その本質に従えば、もっとその方向性を伸ばせるのではないだろうか。
歴史の見方を誤り、戦争を本能だと肯定してしまう人たちがいるが、間違いであることは広く知られるべくだろう。

                  • -

じじぃの日記。

山極壽一著『共感革命』に、「戦争は人間の本性ではない」があった。

「人間は共感力をもって他人同士が助け合うことに喜びを見出し、社会をつくってきた。この本ではホッブズの『万人の万人による闘争』も、ダーウィンの『自然淘汰』の社会進化も懐疑的に見られている。まさにその通りなのではないかと私も思う」

4月6日、NHK Eテレ 地球ドラマチック 「アリの王国 命をつなぐ物語」を観た。

別種のアリを奴隷のように働かせる習性を持つアリがいる。
サムライアリによるヤマアリの『奴隷狩り』だ。

話変わって、
ネアンデルタール人は、なぜ絶滅したのか。
仮説の1つに、アフリカから世界に広がったホモ・サピエンスとの交雑で、ネアンデルタール人の間でアフリカ由来の深刻な感染症が広がり、人口を減らしたという「疫病仮説」がある。

一方で、効率よく安全に獲物を仕留められたホモ・サピエンスが、生存競争で優位に立ったとの説。

また、ホモ・サピエンスによって殺されたという説がある。
   
アリの番組の中に、大きなナメクジをアリが襲うシーンがある。

ナメクジはアリに襲われると、体皮にネバネバした粘液を出し、食べられないようにする。

すると、アリはナメクジに滑らないように砂をかけ、体をよじ登って、ナメクジを食いちぎる。

アリさんって、賢いなあ。 (^^::

アリさんの仲間とのコミュニケーションはフェロモンの反応で行われる。

フェロモンは、仲間との共感を感じる際に出ているようだ。

じじぃの「カオス・地球_292_日本がウクライナになる日・第2章・スラブの本流はウクライナ」

東方正教会を国教としたキエフ大公のウラジーミル1世


プーチンの異常なウクライナ「執着」の源...1000年に及ぶ歴史から完全解説

2022年3月10日 ニューズウィーク日本版
ウクライナとロシアの対立の原因は、文化や宗教をめぐって起こったキエフ大公国にまでさかのぼるあまりにも古い軋轢にある>

キエフの君主は、古代ルス(ロシア)において支配的な地位にあった。これは9世紀後半からの慣例である。『原初年代記』には、オレグ公がキエフについて語った『ロシアの全ての都市の母になれ』という言葉が残されている」

プーチンも示しているが、ロシアとウクライナの密接な関係を示す説の裏付けの大半は宗教に絡んでいる。始まりは、988年に東方正教会を国教としたことで知られるキエフ大公のウラジーミル1世だ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/post-98252_1.php

『日本がウクライナになる日』

河東哲夫/著 CCCメディアハウス 2022年発行

プロパガンダにだまされるな。「プーチン=悪、ゼレンスキー=善」という単純な見方でウクライナ危機の深層は分かりません。外交官・作家としてソ連・ロシア観察50年の実感から書いた、歴史・軍事・地政学に基づくロシア・ウクライナ関係の多角的分析。

第2章 どうしてこんな戦争に?―ウクライナとは、何があったのか より

「スラブの本流はロシア」という歴史の誤認

プーチンは法学部出身だから、日本との北方領土問題でも法的な知識(ロシアに都合のいいように脚色して)をずいぶん披露した。そして今度の宇露戦争では歴史を入念に勉強している。そういうことは学者の仕業なのだが、プーチン北朝鮮ばりに、歴史の解釈も「国営化」したいようだ。既に言ったように、彼は2021年7月、「ロシア人とウクライナ人の歴史的同一性について」という論文を発表した。同じくエセ論文の手法を取ったスターリンは、役人たちにそれを徹底的に学習させては実際の政策とした。批判すると、密告され、逮捕され、職と地位は奪われた。

プーチンは同じようなことをやろうとしているのだろうか。僕の知っているプーチンはもう少しリベラルだった。部下たちの官僚性をからかうようなことをよく口にした。ところが、このごろはスターリンに先祖返りだ。気持ち悪い。

僕も歴史の専門家ではないが、これまで読んだ本を総合すると、プーチンの言い分とは違う図が見えてくる。ウクライナ人とロシア人は確かに同根なのだが、本家はむしろウクライナ人なのだ。

『ロシア原初年代記』などによれば、9世紀、今のロシア西部の豪族たちに招き寄せられた北方のヴァリャーグ人=ヴァイキングが、ノヴゴロドキエフなどに根拠地を作り、現地の住人と通婚してウクライナ人、ロシア人の原型を作っているからだ。

つまり今の「スラブ人」の故地はキエフの方、スラブ人統合の”権利”があるとすれば、ウクライナ人の方なのだ。

それにもし、人種的に近ければ統合の”権利”があるなどと言ったら、中国は喜び勇んで極東ロシアの黄色人種を「統合」してしまうだろう。

「植民地」が必要なロシアの経済力

ついでに言っておくと、10世紀のキエフノヴゴロドは商業で繁栄し、ドイツの中世都市にも似て大商人たちがいちおう民主的な統治をしていた地域なのだ。彼らはヴォルガ川水系からドニエブル川と黒海を通ってビザンチン帝国の首都コンスタンチノーブル(シルクロードの産品が集積される商業のハブ)とバルト海地域を結ぶ貿易ルートを作る。

キエフは1240年、モンゴルに制圧される。モンゴル統治を免れたノヴゴロドも、1478年にはモスクワ大公国に併合され、のちに、イワン雷帝によって市民を虐殺され、その自由を奪わる。一方でモスクワはモンゴル来襲以後、モンゴル人支配者のための税金集めを請け負い、これを着服することで急に伸びた侵攻勢力だ。やがてモンゴル勢力を駆遂すると、ウラル山脈を越えて征服を開始。1860年の北京条約では、ウラジオストク周辺の沿海地方清朝から奪い、300年かけて今のロシアのもとを作った。

だから、プーチンの、「ロシア人とウクライナ人はもともと根が1つ。だから1つの国でいるのが自然なのだ」という理屈には呆れるばかり。先のエリツィンが自分の都合で放り出した地に、今さら戻ってこいというのも自分勝手だ。まるで、自分の都合で離婚した相手に、同じ日本人だから戻ってこい、そして自分のために働いてくれ、というのと同じ。ウクライナの方がスラブの本流なのだから、失礼な話でもある。

2つの世界大戦を経てオスマン・トルコ、オーストラリア・ハンガリー大英帝国、フランス、そして大日本帝国と、植民地帝国は軒並みなくなった。残っていたのはソ連だけで、それが分裂したのは先刻述べたように1991年のこと。

しかもロシアは、英仏日のように帝国なしでもやっていける経済力を持たない。ロシアには「植民地」が必要なのだ。

そこから多くの紛争が起きる。今回の宇露戦争はその典型。ソ連から独立した諸国は、そういうロシアを知っているから怖くて仕方がない。だからNATOアメリカに保護を求める。するとロシアが怒り狂って軍備を強化する。すると米軍が乗り出してロシアを威嚇する。するとロシアが怒り狂ってますます……というエスカレーションが起きるのだ。

じじぃの「毛沢東・悪魔に魅入られた男・共感の恐るべき不在!共感の雑学」

毛沢東】史上最恐の独裁者の生き様とは?名言&迷言の数々!生い立ちから政策まで分かりやすく解説!

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zUB94Dl4Jws


F.ディケーター著『毛沢東の大飢饉』の衝撃

2011年09月11日 野口和彦(県女)のブログへようこそ
毛沢東の大飢饉―史上最も悲惨で破壊的な人災1958-1962』草思社、2011年)は、衝撃的な内容の書物です。
何が衝撃的かと言えば、中国の「大躍進」で犠牲になった、おびただしい死者数とむごい死因が、手堅い実証研究により明らかにされているからです。ユートピアを建設するはずの「大躍進」は、この世の「地獄」を創りだしたといっても過言ではありません。
https://blog.goo.ne.jp/kazzubc/e/0edde0a6c277b975b66d96d0ebc74791

『悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか』

バーバラ・オークレイ/著、酒井武志/訳 イースト・プレス 2009年発行

7章 悪魔に魅入られた男 より

主治医の証言
毛沢東の力を弱めようとする彼らの試みは失敗した。最後には毛沢東によって拷問の末に殺された。
のちに中国の「偉大なる指導者」になると、毛沢東の部下に対する朝の挨拶はいつも「何かニュースはあるか?」であった。主治医の李志綏の意見では、それは毛沢東が情報を集め、つねに各人の重要度をチェックするための手段であった。「われわれをコントロールする手段でもあった」と李は洞察に富む彼の回顧録に書いている。「彼はすべての会話と行動をそっくり報告することを求め、互いに批判し合うように促した。部下を操って互いに争わせることを好んだ」

毛沢東はまた、つねに側近、随行員、ボディガードを入れ替え、李医師も主治医としての最初の22年間はそうだったように、全員が彼を崇拝していた。李は毛沢東のもとにいた数少ない古参のスタッフらが一様に苦痛を味わぅていることに気づいた。「毛沢東を知れば知るほど、彼を尊敬できなくなる。内輪のサークルを入れ逢え、新たな崇拝者の一群を入れることで、こびへつらう人間を確保していたのだ」。こうした状況での情事は、親密な仲間として選ばれ、どうしようもなく傲慢になった多くの女性たちにはとくに悲劇的な結果をもたらした。

共感の恐るべき不在
毛沢東はそのような人間であるにもかかわらず、あるいはそれだからこそ、しばしば孤独を感じもしたのである。絶対的な権力を握った後は孤独な人生であった。友人はおらず、妻と過ごす時間はほとんどなく、子供たちと過ごす時間はさらに少なかった。主に李医師を話し相手とし、眠れないときには彼を呼んだ。どのように遅い時間であろうと、何をしていようとおかまいなしにである。しかし、李医師はこう書いている。「わたしが知る限り、最初に会ったころの親しげな態度とはうらはらに、毛沢東は人間的な感情を持っておらず、愛することができず、友情、温かみといったものを持っていなかったのだ」

李医師は次のようなエピソードを伝えている。「かつて上海で観劇中、わたしは主席の隣に座っていた。アクロバットの若者、というより子供が、突然足を滑らせて大けがをした。観客は仰天し、惨事に凍りつき、その子供の母親の嘆きは慰めようもないほどだった。しかし毛沢東は気にも留めず、何事もなかったかのように談笑を続けた。わたしの知る限り、その子がどうなったかを尋ねもしなかったはずだ」

李医師はこうも書いている。

  1957年、モスクワでのスピーチで、毛沢東は、自分には3億人を犠牲にする用意があると述べた。中国の人口の半分である。中国は半数を失ってもたいした損失ではない、さらに人口を増やせるというのだ。
  「大躍進」が始まり、数百万人の中国人が飢餓で死ぬと、毛沢東が、彼があれほど尊敬していた無慈悲な皇帝にいかに似ているか、わたしはようやく気づいた。毛沢東は人民が何百万人も死んでいることを知っていた。気にしていなかった。

認知と知覚の欠陥
境界性パーソナリティー障害の多元的な診断における3つの特徴の1つは、認知と知覚の欠陥である。毛沢東の症状はこの点で際だっている。1958年から1960年の大躍進で、毛沢東はすべての労働者を農業から工業へ振り向けさせた。工業化された西側諸国に追いつこうという、見当違いで破滅的な試みであった。大躍進政策において、数千万人の労働者の労働者にただ1つの製品、つまり鉄を、民家の裏庭に作った非効率的な生産施設で作らせようとしたのだ。その後の飢饉によっておよそ3000万人が死んだと推定されている。
一部の農民は追いつめられ、わが子を食べるに忍びず、他人と子どもを交換して食べた。この政策の悲惨な結果に対する毛沢東の反応は、概して、「そのようなことは起きていないかのようにふるまう」ことだった。部下たちは、真実を明らかにすればどうなるかはわかりきっていたため、彼を社会から隔離することにつとめた。しかし状況は急激に悪化し、真実を隠しきれなくなった。李医師は毛沢東の反応について語っている。

  毛沢東は……飢饉のもたらした結果を直視する勇気がないようだった。水腫と肝炎がいたるところに拡がっていると言うわたしを、それはでっちあげだと非難した。「きみたち医者は、人を怖がらせるしか能がないのだ」。彼ははねつけるように言った。「きみたちは病気を探しているだけだ。誰も病気でなければ、きみたちはみな職を失うからだ」……わたしは、毛沢東は周囲のいたるところに広まっている疫病に非常にも目をつぶっているのだと思った。しかし、幻想を見る彼をそのままにし、この話題には二度と触れず、彼の前では飢えと疫病が奇跡的に消え失せたかのようにふるまっていた。
  毛沢東は誤りを認めることを拒んだ。彼の人生は後悔のない人生でなければならなかったのだ……わたしは、毛沢東は自分が何か誤りを犯したなどとはけっして信じないのだと確信した。

                  • -

じじぃの日記。

少し古い本だが、バーバラ・オークレイ著『悪の遺伝子』の7章「悪魔に魅入られた男」に、「共感の恐るべき不在」があった。

悪魔に魅入られた男とは、毛沢東のことである。

「境界性パーソナリティー障害の多元的な診断における3つの特徴の1つは、認知と知覚の欠陥である。毛沢東の症状はこの点で際だっている」

毛沢東は、サイコパス境界性パーソナリティ障害を同時に持つ人物だったようだ。

「1957年、モスクワでのスピーチで、毛沢東は、自分には3億人を犠牲にする用意があると述べた。中国の人口の半分である。中国は半数を失ってもたいした損失ではない、さらに人口を増やせるというのだ」

   
黒井文太郎著『プーチンの正体』という本にこんなことが書かれていた。

プーチンは1999年以来、殺戮を続けている。ウクライナ侵攻以前に、すでにヒトラースターリン毛沢東ポル・ポトといったカテゴリーの人間だったのである」

プーチンに関してはこんなことも書かれていた。

「ところが、プーチンは最初から『羊の皮を被った狼』だった。プーチンが首相に就任するとすぐに、モスクワのショッピングモールや高層アパートなどで連続爆破テロが発生する。それをチェチェン独立派のテロだとして、プーチンチェチェンへの攻撃を命令し、第2次チェチェン紛争を開始した。なお、これらのテロについては、前述したようにFSBの自作自演、いわゆる偽旗作戦だったことがほぼ明らかにされている。さすがにそこまでのことをFSBが勝手にやることは考えられない。その後のプーチンの素早い対応からしても、この謀略はプーチンの承認の下で実行されたとみていいだろう」

じじぃの「科学・芸術_1014_日本の企業・JSR(半導体)」

【衝撃】日本が開発する「半導体材料」に世界が震えた!【フォトレジスト】【3400億円】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=8paYExxjkgM


JSR、革新機構買収受け入れ 「国策半導体」強化加速

2023/6/27 毎日新聞
半導体素材大手のJSRが26日、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)による株式の公開買い付け(TOB)を受け入れることを決めた。
非上場化で経営の自由度を高めて世界市場での競争力を強化するとともに、半導体素材業界の再編の呼び水とするのが狙い。
https://mainichi.jp/articles/20230627/ddm/002/020/043000c

ワールドビジネスサテライトWBS

2024年4月1日 テレビ東京
【キャスター】相内優香、豊島晋作氏

WBS X 日本の生きる道「半導体
三重県四日市市に工場を構えるのがJSR
ある半導体関連製品で世界トップクラスのシェアをもつ。工場では瓶詰めされた液体が製造ラインを流れていた。フォトレジストを生産しているラインでここで作られた製品が世界の半導体工場に出荷されるという。フォトレジストは半導体の土台となるシリコンウエハーに塗って使うもの。JSRはフォトレジストの世界シェアがトップクラスだ。
その理由として、紫外線などをカットした厳しい環境で実施されている性能検査がある。品質へのこだわりが評価され、シェアを拡大した。半導体そのものの製造で日本メーカーは1988年には世界の半分のシェアを握っていたが、失われた30年とともに衰退した。それでも回路形成などの前工程からICチップ切り出しといった後工程まで幅広い半導体産業で技術のある日本企業は今も重要な役割を担っている。
    ・
半導体で縁の下の力持ちになっていた日本勢。2022年転機となるかもしれない出来事が。
本丸の半導体製造であるラピダスが設立された。トヨタやNTTなどが出資し、経済産業省も設立を後押しした。ラピダスは北海道に工場を建設中。総投資額は5兆円規模にのぼる。回路の幅2ナノメートルという世界最先端の半導体を量産計画。この動きに注目している日本の半導体関連の最重要企業が東京エレクトロン。売り上げ高2兆円超えの巨大企業。半導体の様々な製造装置を作っていて、累積販売台数は世界最多。東京エレクトロンの河合社長はラピダスが工場を建設中の北海道に新拠点を設ける考えを明かした。
https://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/

『ケミストリー世界史 その時、化学が時代を変えた!』

大宮理/著 PHP文庫 2022年発行

第12章 資本主義から帝国主義へ より

1827年 写真の発明――半導体の製造にも活かされている写真技術

フェルメールも利用していたカメラオブスキュラ
いまや、デジタルカメラを搭載したスマートフォン全盛の時代で、誰もがカメラマンになれるすごい時代になりました。人類の歴史のなかで特筆すべき発明としてあげられる1つが、写真の発明だといえるでしょう。
フランス人発明家のジョゼフ・ニセフォール・ニエプスが、カメラオブスキュラ(小さい穴の開いた暗箱)でつくった像を記録する技術に挑みました。カメラオブスキュラは貴族のあいだなどではやっていた遊びの装置で、小さい穴を通った像が反対側に映るものでした。

半導体生産の化学技術
現在のシリコン(ケイ素)半導体集積回路やメモリー製造のテクノロジーは、これと同じような原理を利用します。
たとえば、ケイ素の基盤の上に微細なケイ素(半導体)の部分と二酸化ケイ素(絶縁層)の部分をつくる場合は、ケイ素の基盤上に光と反応して硬化する感光性樹脂(フォトレジストといいます)を塗り、髪の毛の断面を20等分できるような細さのレーザー光線を当てて、ケイ素として残したい部分の樹脂を硬化させて保護した状態にします。
その後、硬化していない樹脂を薬品で溶かして流し、むき出しのケイ素の部分を酸化して二酸化ケイ素にします。保護していた樹脂を溶かして洗い流せば、ケイ素の露出した部分がつくれます。ちょうど窓ガラスに文字のシールを貼って、泡の窓ガラスクリーナー洗剤をスプレーで吹き付け、あとからシールを剥がすと文字が浮かぶ上がるという感じです。

こういった手法をくりかえして、切手より小さいシリコンに100万個のダイオード(微細な電気のスイッチになります)などのデバイスを刻んで半導体などをつくることができるのです。このような手法を、フォトリソグラフィといいます。ギリシャ語の「リソス」(「石」という意味)+「グラフィア」(「書く」という意味)=石版印刷に由来します。

1829年からルイ・ジャック・マンデ・ダゲールと共同で研究を始め、ニエプスの死後、残されたダゲールは1837年、ダゲレオタイプ銀板写真)という本格的な写真技術を誕生させました。

じじぃの「カメレオン・対人関係が不安定な人・境界性パーソナリティ障害!共感の雑学」

What is Borderline Personality Disorder?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=oH9u9mshdJg

Borderline personality disorder (BPD)


Borderline personality disorder is a hurtful label for real suffering - time we changed it

July 20, 2015 THE CONVERSATION
●A bad cycle
Between 2% to 10% of the population have some degree of borderline personality disorder, which puts them at high risk of suicide.
While it’s poorly understood, we know that it predominantly impacts women.
https://theconversation.com/borderline-personality-disorder-is-a-hurtful-label-for-real-suffering-time-we-changed-it-41760

境界性パーソナリティー障害(BPD)とは

NHKハートネット
境界性パーソナリティー障害は、青年期までに発症することが多い精神疾患の一つで、英語ではBorderline Personality Disorder、略してBPDとも呼ばれます。
気分の不安定さや著しい衝動性などを特徴としていて、症状は多種多様ですが、代表的なのは次のようなものです。

・見捨てられるのが不安で、必死にしがみつき相手を困らせる
・自殺企図や自傷行為を繰り返す
・めまぐるしく気分が変動する
・対人関係が両極端(理想化と過小評価)を揺れ動き、不安定

こうした症状は周囲の人にとって負担になりがちですが、多くの場合、本人も「感情のコントロールができなくて苦しい」「見捨てられるのが怖い」「自分には価値がない」といった思いを抱えて苦しんでいます。そのため、うつ病や不安障害、摂食障害、依存症など、他の疾患を発症してしまうことも少なくありません。
https://heart-net.nhk.or.jp/heart/contents/5/index.html

『悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか』

バーバラ・オークレイ/著、酒井武志/訳 イースト・プレス 2009年発行

6章 脳が私に嘘をつかせる より

もう1つのキーワード「境界性パーソナリティ障害
長いあいだ、境界性パーソナリティ障害という病名はなんでも放り込むごみ箱のような診断として低く評価されてきた。ある文献はこのように書いている。「医者が患者をまったく理解できないか、理解しやすい他の障害に症状をあてはめられない場合に使われたレッテルである」

しかし、ニューロイメージングやその他のデータによる最近の多くのブレークスルーは、境界性パーソナリティ障害という病気が実際に存在するという強力な証拠を示している――さらに、患者本人にも周囲の人々にとっても破滅的であることも。

境界性パーソナリティ障害に関する古典『Stop Walking on Eggshells(境界性パーソナリティ障害=BPD――はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ)』の著者ポール・メイソンと ランディ・クリーガーは書いている。

「よく知らされていることだが、境界性パーソナリティ障害の患者と近しい関係にある人は、しばしば彼らに操作されたりだまされたりすることがあると感じている。言いかえれば、コントロールされ利用されていると感じているのだ。脅す、どうしようもない状況に追いつめる、無視する、激怒する、あるいはその他、不当と感じられるさまざまな手段によって」

精神科医のラリー・J・シーヴァーは別の説明をする。

「一見、他者操作的であるように思えるが、本人はそうは考えておらず、知っている唯一の方法で欲求を満たそうとしている……自分を落ち着かせてくれる、安心できるような反応を引き出そうとしているのだ」

急激に気分が変化し、不安やうつ状態に陥りやすい。また、しばしば衝動的で自分を傷つける行動を示し、つねに退屈と孤立感に苦しんでいる。また、対人関係が不安定で激しく、しばしばそれに不満をいだき、操作しようとする。さらにはドラッグやアルコールを「自己投薬」する傾向があるほか、食事行動にも問題があって、ときに過食症や拒食症が見られる。

ある奇妙な症状
スプリッティングは、境界性パーソナリティ障害によく見られるような、感情の抑制のきかない状態に関連があるとされてきた。一説によると、記憶が脳に格納される方法に関連しているのかかもしれないということだ。記憶は、それが形成されたときと同じ気分のときに思い出しやすくなる。気分が不安定だと他人と自分自身につての記憶が断片化し、それが認識の変化をもたらし、スプリッティングにつながるのだろう。さらに、スプリッティングでは感情的なプロセス(腹内側前頭葉皮質)が過剰に活性化され、理性的なプロセス(背側部前頭葉皮質)に逆らっているとも考えられる。

境界性パーソナリティ障害はしばしば自己同一性に重大な問題をかかえている。彼らに共通な特徴の1つは、カメレオンのように人格が変わることである。ある女性患者が書いている。

「わたしには”カメレオンのような能力”があって、周りにいる人の色をまねることができる。しかしそれは他人よりむしろ自分をだますことになる。ある人物になるとは、ほんとうの自分が外套のように何かを被っているということではない。しばらくのあいだ、なりたい人間になっているのだ……わたしは”他人を操作する邪悪な成功者”のように他人を破滅させる以外やることのない人間ではない。こうしたプロセスは意識することさえない」

自分は邪悪な成功者ではないとつけ加えずにいられなかった点に注意してもらいたい。他人を操作し破滅させるだけの人間でないと。それはもちろん、たいていの人間には彼女が他人を操作しているように思えるということだ。そう思われるのを避けようとするほど、なおさら邪悪な成功者だと示すことになるのかもしれないのだが。

                  • -

じじぃの日記。

少し古い本だが、バーバラ・オークレイ著『悪の遺伝子』の6章「脳が私に嘘をつかせる」に、「境界性パーソナリティ障害」が書かれていた。

「急激に気分が変化し、不安やうつ状態に陥りやすい。また、しばしば衝動的で自分を傷つける行動を示し、つねに退屈と孤立感に苦しんでいる」

境界性パーソナリティ障害者の特徴の1つに、衝動的で自分を傷つける行動がある。

また、カメレオンのように気分や感情が変わるのだとか。

「長いあいだ、境界性パーソナリティ障害という病名はなんでも放り込むごみ箱のような診断として低く評価されてきた」

医学的には、脳内のセロトニンの活動に関係しているのだとか。

境界性パーソナリティ障害者は「うつ」の症状も合わせ持つらしい。

私なんかは、ちょっとした言葉の言い方で相手を傷つけているかもしれない。