じじぃの「原子爆弾・アカデミー作品賞・オッペンハイマー!クローズアップ現代」

【本予告】『オッペンハイマー』3月29日(金)、全国ロードショー

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Uoctuzt2IfU

史上初の核実験が行われたトリニティの爆心地での写真


クローズアップ現代 「映画監督クリストファー・ノーランの世界 果てしなき“問い”の先へ」

2024年3月12日 NHK
【キャスター】桑子真帆 【映画監督】クリストファー・ノーラン
アカデミー賞で最多7部門を受賞した“最新作”は、日本にとって特別なテーマです。
第二次世界大戦下、原子爆弾を開発したアメリカの科学者の葛藤を描いた「オッペンハイマー」。世界屈指のヒットメーカーで“ハリウッドきっての鬼才”とも称されるクリストファー・ノーラン監督は、なぜ世界の姿を一変させた科学者に焦点を当てたのか―。
常に大きな“問い”と向き合ってきたというノーラン監督。
映画では広島県長崎県への直接的な被害が描かれていない。
オッペンハイマーは戦時下に原子爆弾の開発・製造を目的とした「マンハッタン計画」を主導した。
実際に原爆が投下された時の惨状を知り長く苦悩し続けてゆく、数十年に渡る姿を表現している。
ノーラン監督は「オッペンハイマーの経験から逸脱した物語を描きたくなかった」と話している。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4882/

オッペンハイマーはなぜ死んだか―長崎に原爆が落とされた謎を解く』

西岡昌紀/著 飛鳥新社 2021年発行

まえがき より

1.1枚の写真
ここに1枚の写真がある(写真、画像参照)。2人の男が何かを語り合っている。場所は、砂漠の一角である。その2人の前には、何か針金のような物が、地面から突き出ているのが見える。この2人は、何をしているのであろうか?

この2人の男を、紹介しよう。左の男は、ジュリアス・ロバート・オッペンハイマー(Julius Robert Oppenheimer:1904~1967)。第二次世界大戦中、広島と長崎に投下された4アメリカの原子爆弾製造の指導者だった、アメリカの物理学者である。そして、その右にいるのは、レズリー・グローヴス( Leslie Groves:1896~1970)。アメリカの原爆製造を指揮したアメリカの将軍である。皆さんは、この2人をご存知だろうか?

本書は、この写真の左側に写っている男、オッペンハイマーについての本である。広島と長崎に投下された原爆製造の中心人物であったこの物理学者については、多くの本が書かれてきた。オッペンハイマーとは何者であったのか? 彼の生い立ちから青春、物理学者としての人生、晩年の政治的苦境など、世界中の多くの歴史家やジャーナリストや科学者が、オッペンハイマーについての本や記事を書いてきた。

だが、本書は、これまで世界中で書かれてきた数多くのオッペンハイマーに関する記事とは、全く違う性質の中身である。
それは、本書が、オッペンハイマーの死についての本だからである。

オッペンハイマーはなぜ死んだのか? 後で詳しく述べるが、私は、彼の死の秘密が、この写真の中に隠されているのではないかと疑っている。それは、医師としての仮説である。

終章 オッペンハイマーの死は何を語るか? より

8.科学への裏切りという大罪
原爆を製造したこと自体は、オッペンハイマーひとりに帰せられる罪ではない。だがオッペンハイマーは、彼以外の人間にはできない罪を犯した。それは彼が、放射線の人体に対する影響について、真実について、真実を隠す役割を演じたことである。

オッペンハイマーは、広島と長崎で、被爆者が、たとえ爆風と熱傷を逃れても、急性放射線障害で次々に命を落としていると日本から伝えられた時、ニューメキシコの原爆実験場に行き、爆心地に立って見せた。

そしてその写真を使って、急性放射線障害で、原爆の被爆者が次々に命を落としている現実を世界から隠した。

これはオッペンハイマーだけができたことである。「原爆の父」が、自ら爆心地に立って見せたからこそ、世界は、原爆による被曝は、さほど恐ろしいものではない、という当時のアメリカのプロパガンダを信じた。

その結果、世界は、早い時期に原爆による急性放射線障害の恐ろしさを知ることができず、その後の核実験でアメリカ兵たちが被曝する被害にも波及した。

オッペンハイマーは、「原爆を造った」だけでなく、原爆の医学的影響に関する真実を隠したことで、医学を、科学を歪めたのである。繰り返すが、オッペンハイマーだからできたことであったと私は思うのだ。

だからこそ、オッペンハイマーの化学への裏切りの罪は、この彼だけがなしえた歪曲ゆえに、原爆を造ったことよりも大きかったと思う。

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じじぃの日記。

西岡昌紀著『オッペンハイマーはなぜ死んだか』という本に、「オッペンハイマーの死は何を語るか?」というのがあった。

マンハッタン計画を主導し、「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマーは、広島と長崎への原爆投下を見届けた後、ホワイトハウストルーマン大統領と会談した。

オッペンハイマー、「大統領、私は自分の手が血塗られているように感じます」

と言って、涙ぐんだと言われる。

オッペンハイマーはたぶん、広島と長崎への原爆投下が数十万の人を殺傷したことに懺悔の気持ちを持っていたのだろう。

「広島と長崎への原爆投下は、広島と長崎で、被爆者が、たとえ爆風と熱傷を逃れても、急性放射線障害で次々に命を落としていると日本から伝えられた時、ニューメキシコの原爆実験場に行き、爆心地に立って見せた」

「そしてその写真を使って、急性放射線障害で、原爆の被爆者が次々に命を落としている現実を世界から隠した」

3月12日 NHK クローズアップ現代 「映画監督クリストファー・ノーランの世界 果てしなき“問い”の先へ」を見た。

原子爆弾を開発したアメリカの科学者の葛藤を描いた「広島と長崎への原爆投下」。

「実際に原爆が投下された時の惨状を知り長く苦悩し続けてゆく、数十年に渡る姿を表現している」

映画では、広島と長崎への原爆投下の映像は一切出てこない。

オッペンハイマーの苦悩する姿を、観客に想像させることに主題を置いたのだそうだ。

ロシアのプーチンウクライナ侵攻で、やたらと「核」をちらつかせている。

プーチンは、この映画を見たらどう思うのだろうか。

じじぃの「カオス・地球_276_すばらしい医学・サリン・地下鉄サリン事件」

地下鉄サリン事件から29年 「風化防ぐのは私たち」

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=EW5R9YdzH2Q

被害者6000人のテロに用いられた「神経毒」の恐怖…そして、命がけで治療にあたった人々の感動秘話【書籍オンライン編集部セレクション】

2024.3.20 ダイヤモンド・オンライン
【執筆者】山本健人
●時間との戦い
地下鉄サリン事件では、駅構内で数千人がパニックに陥る中、大勢の被害者が周辺の病院に搬送された。
特に多くの患者を受け入れたのが、築地の聖路加国際病院だ。

サリンの化学構造
有機リン化合物の一つ、サリンが人体に猛毒として作用するのは、それが人体で働く神経伝達物質アセチルコリン」を分解する酵素、「アセチルコリンエステラーゼ」を阻害してしまうからである。
アセチルコリンエステラーゼの働きが阻害されると、アセチルコリンが分解されずに蓄積することになる。
これによって過剰な神経伝達が起き、全身に様々な症状を引き起こす。
神経伝達物質には、アドレナリンやセロトニンドーパミンなど多くの種類があり、それぞれ異なる機能を持つ。
アセチルコリンもその一つだ。アセチルコリンが働く場は、副交感神経や、筋肉を動かす神経である。

副交感神経とは「自律神経」というシステムの一つで、もう一方が交感神経である。「自律」という名が示す通り、状況に応じて自動的に体の機能を調節し、生命維持を担うしくみだ。
副交感神経は、ゆっくり食事をしたりリラックスしたりしているときに働く一方、交感神経は興奮状態にあるときに働く系であり、それぞれが正反対の作用を持つ。瞳孔の大きさや血圧、心拍数の上下、血管の拡張・縮小など、全身の臓器にそれぞれが対照的な作用をもたらすのだ。神経伝達物質は、必要なときに生成され、情報伝達の仕事を終えれば速やかに分解されなければならない。

だが前述の通り、サリンアセチルコリンエステラーゼに結合することで、その機能を阻害する。分解されなくなったアセチルコリンは過剰に蓄積し、筋肉が痙攣するような持続的な収縮を起こす。副交感神経が過剰に作用し、縮瞳(瞳孔が縮小する)、嘔吐、下痢、血圧低下などの多彩な症状が引き起こされる。重度の場合は呼吸停止に至り、人命を奪うのである。
https://diamond.jp/articles/-/340552?page=2

すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険

【目次】
はじめに
第1章 あなたの体のひみつ
第2章 画期的な薬、精巧な人体
第3章 驚くべき外科医たち
第4章 すごい手術

第5章 人体を脅かすもの

おわりに

                  • -

『すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険』

山本健人/著 ダイヤモンド社 2023年発行

第5章 人体を脅かすもの

テロに用いられた神経毒 より

地下鉄サリン事件
1995年3月20日、東京都内で未曽有の無差別テロ事件が起きた。化学兵器である毒ガス、サリンが地下鉄の車内に撒(ま)かれたのである。

午前8時頃の通勤ラッシュ時に、丸ノ内線日比谷線、千代田線の三路線、計5車両で同時多発的に散布された神経毒により、13人の尊い命が失われ、負債者は6000人近くに上った。事件を企てたのは、宗教団体オウム真理教であった。過去に類を見ない、大都市での化学兵器テロ事件は世界中を揺るがした。

サリン有機リン化合物の一種で、1938年にナチスドイツによって開発された化学兵器だ。「サリン(Sarin)」の名称は、当時開発に携わったナチスの化学者4人の名前から取られたものである。

有機リン化合物は、炭素とリンの結合を持つ化合物の総称で、一般には殺虫剤や農薬として広く使用されている。実際、殺虫剤や農薬の誤飲、あるいは自傷・自殺目的での接種によって中毒患者が病院に救急搬送されるケースは少なからずある。よって有機リン中毒は、救急医療の分野で重要な薬物中毒の1つである。

有機リン化合物の1つ、サリンが人体に猛毒として作用するのは、それが人体で働く神経伝達物質アセチルコリンに似た構造であるためだ。なぜ、この構造が生命の危機を引き起こすのか。それは、人体における神経系のしくもを知ると容易にわかる。

神経は全身に張り巡らされた線路のようなもので、これを通して脳は各器官に絶えず司令を送ることができる。神経を線路にたとえるのは、それが単一の長いケーブルではなく、小さなレールが無数に連なった構造であるためだ。電車に乗っていると「ガタンゴトン」と定期的な振動を感じるが、これはもちろん、電車が一定の距離ごとにレールのつなぎ目を通過するからである。

神経においてレールに相当するのが神経細胞である。人体は約37兆個の目に見えないほど小さい細胞から構成されているが、中でも情報伝達を担う神経細胞は「ニューロン」という特別な名称で呼ばれる。

一方、線路につなぎ目があるように、ニューロンニューロンの間にもつなぎ目がある。このつなぎ目を「シナプス」、ニューロンうしの隙間を「シナプス間隙(かんげき)」と呼ぶ。

想像してみよう。有線イヤホンのケーブルを途中で切ると、音楽を聞くことはできなくなる。断裂したケーブルの間隙(隙間)を、電気信号が飛び越えることはできないからだ。

では、ニューロンうしの間に存在する間隙を、信号はどのように飛び超えるのだろうか。それが、神経伝達物質の機能だ。小さな化合物である神経伝達物質が、まるで無数の飛脚のごとくこの隙間を移動するのである。進化の過程で動物が生み出した。恐るべき精巧なシステムだ。

時間との戦い

地下鉄サリン事件では、駅構内で数千人がパニックに陥る中、大勢の被害者が周辺の病院に搬送された。特に多くの患者を受け入れたのが、築地の聖路加国際病院だ。当時の日野原重明院長が、通常診療をすべて中止して患者を受け入れるよう指示したからである。結果的に、同病院は640名という前代未聞の救急搬送を引き受けた。

聖路加国際病院では、大きな礼拝堂や廊下でも診療が行われた。ここにも酸素の配管設備などが整い、非常時には病室として病室として機能するよう設計されていたからだ。

日野原がこの設計にこだわったのは理由があった。1945年、東京大空襲で大勢の患者が病院に入れず治療を受けられないまま亡くなったのを、彼は医師として目撃していた。大災害に耐えうる病院をつくることは、そのとき彼が自らに課した使命だったのだ。

他にも数多くの医療機関が緊急体制で患者を受け入れ、医療スタッフたちは懸命の治療に当たった。だが、治療は難航した。有機リン中毒の解毒剤、PAM(プラリドキシムヨウ化メチル)の在庫が足りなかったのだ。

PAMは本来、農薬中毒の治療薬だ。大都市の中心部で農薬中毒が同時多発的に起こることなど想定しようがなかった。都内のPAMをかき集めても太刀打ちできる患者数ではない。

PAMはアセチルコリンエステラーゼの活性を復活させる作用を持つが、発症早期に投与しなければ効果はない。サリンによるアセチルコリンエステラーゼの阻害作用は、時間とともに不可逆的(回復不能)になるからだ。この作用をエージングという。

まさに時間との戦いだった。
PAMを扱う薬品卸売業のスズケン社は、できる限り多くのPAMを東京にかき集める計画を立てた。名古屋の本社から新幹線「こだま」に乗り込んだ社員が、浜松、静岡、新横浜駅のホームからリレーのようにPAMを受け取り、都内に届けたのである。これにより計230人分のPAMが都内の病院に届けられた。

また当時、有機リン系農薬を製造する住友化学のグループ企業であった住友製薬(現・住友ファーマ)は、国内で唯一PAMを製造、販売していた。住友製薬はこの危機に際し、大阪の商品センターから東京へありったけのPAMを緊急空輸した。その結果、事件当日の夕に2000人分、夜には2500人分のPAMが医療機関に次々と配送された。

他にも、事件現場で救助・救命活動に当たった救急隊員たち、除染活動に当たった自衛隊員、各医療機関で対化学兵器治療マニュアルに基づいて助言を行った自衛隊医官や看護官、全日空をはじめPAMの緊急輸送に全面協力したスタッフたち。あらゆる人々の協力が、被害の拡大を食い止めたのである。

じじぃの「後期高齢者・血管系の死因・年とったら水をいっぱい飲め!夕刊フジ」

小学生向け血圧学習動画「血圧ってなに?」

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CkyvKTE-FpI

高血圧症とは


MLB 韓国開幕戦 ドジャースVSパドレス


高血圧症とはどんな病気でしょう?

|医療法人啓生会 やすだ医院
●診断のポイント
定義上は、安静時でも慢性的に血圧(血圧が140/90mmHg以上、上も下もどちらか一方でも)が高い状態が続いていることを高血圧症とします。
日本人の約4300万人が高血圧症です。この90%が、高血圧症の原因が特定されない「本態性高血圧症」です。高血圧症をもたらす素因(親が高血圧症といった家族歴など)とライフスタイル(喫煙、塩分過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、など)が関係しております。
その一方で、腎臓疾患や内分泌異常、心臓や血管の異常などが原因で起こる「二次性高血圧」があります。
https://www.keiseikai.net/medicalinformation/lifestylediseases/hypertension.php

夕刊フジ』2024年3月12日発行

【執筆者】富家孝(ふけ・たかし、ジャーナリスト、開業医)

後期高齢者のハードル越えよ 有名人の死を考える」 より

自分の家系は「がん系」か「血管系」か 大半を占める日本人の死因 心臓と脳に必要な「年とったら水をいっぱい飲め」

ここ1、2年、75歳の後期高齢者となる前に亡くなられる有名人が増えている印象があります。鳥山明さん(69歳)、八代亜紀さん(73歳)、伊集院静さん(73歳)、大橋純子さん(73歳)、坂本龍一さん(71歳)、谷村新司さん(74歳)――。
訃報に接するたびに、私は大きなショックを受けました。死ぬには若すぎます。

医者の性として、その死因にまず目が行きます。そうして、がん系か血管系かのどちらなのかを確かめます。というのは、この2つが日本人の死因の大半を占めているからです。

厚生労働省の「人口動態統計」(2021年)によると、死因のトップは「悪性新生物」で26.5%。続いて「心疾患」14.9%、「老衰」10.6%、「脳血管疾患」7.3%、「肺炎」55.1%となっています。「悪性新生物」というのは、言うまでもなく「がん」です。「心疾患」と「脳血管疾患」というのは、具体的には「心筋梗塞」や「脳卒中」などで、どちらも血管の疾患です。つまり、いま多くの日本人は、がん系か血管系のどちらかで亡くなっているのです。
    ・
前記した伊集院静さんは「肝内胆管がん」で、診断されてからわずか1ヵ月半で亡くなっています。胆管がん、胆のうがんを含めて「胆道がん」は、自覚症状がほとんどないため、診断されたときは手遅れということが多いのです。

大橋純子さんは「食道がん」でした。食道がんも初期は自覚症状がほとんどありません。そのため、発見されたときは転移していることが多いのです。このように、死に至るがんは、がんになる部位の問題で大きく異なり、その原因を家系にたどることはできません。

もちろん、死因第3位の「老衰」もありますが、これは疾患が直接の原因ではなく、「老い」(加齢)によって体の機能が衰え、言わば枯れるように亡くなることです。ある意味で、理想的な死に方と言えます。しかし、そういう死に方ができる人は少なく、「75歳」前後で、がん系か血管系のどちらかを発症する人が多いのです。

これに対し、血管系の心筋梗塞脳卒中は、それ自体に遺伝性は確認されていませんが、「家族歴」に原因を求めることが可能です。親や兄弟姉妹に心筋梗塞脳卒中などの病歴がある場合、本人が脳・心疾患を起こす確率は家族歴がない人に比べて2~4倍高いという研究報告があります。

いずれにしても、高齢者になったら、ご自身の家系から先人がどんな死に方をしたのかを知っておくべきだと思います。私の父は70歳で突発性の大動脈解離を起こし、その日のうちに逝ってしまいました。そのため、私もいずれ血管系の疾患になると思っていましたが、案の定、57歳のとき冠動脈閉塞となり、手術を受けて助かりました。以来、2度、同じ心疾患に襲われています。

この経験から、私が言いたいのは、「年をとったら水をいっぱい飲め」です。血管が問題を起こすのは心臓と脳です。いずれも、水分は十分に必要です。それからもう1つ、「十分な睡眠を取れ」です。

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じじぃの日記。

2024年3月12日『夕刊フジ』の「後期高齢者のハードル越えよ 有名人の死を考える」という記事 に「年とったら水をいっぱい飲め」というがあった。

「『75歳』前後で、がん系か血管系のどちらかを発症する人が多いのです」

私は昭和21年生まれ、77歳の後期高齢者だ。

団塊の世代は昭和22(1947)~ 昭和24(1949)年生まれの人をいうが、昭和21年生まれも含めることがある。

この『夕刊フジ』に記載された人たちは、どちらかと言えば血管系で亡くなった人が多いのではないか。

今年の3月、「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」の作者 鳥山明さんが亡くなった。

死因は、「急性硬膜下血腫」ということだった。

先日、毎月通院している糖尿病内科病院で診察を受けた。

病院内にある血圧計で血圧を測ったら、最高血圧161、最低血圧81、脈拍数100だった。

血液検査で血糖値の値ヘモグロビン(HbA1c)の値は7.1だった。

血糖値が高く、血圧が高いと、狭心症心筋梗塞など心疾患、脳卒中などの血管障害にかかりやすくなる。

病院の待合室で看護師さんに声をかけられた。

「あら、顔色が悪いわね」

ちょっと、気になります。

ついでに、

MLB 2024開幕戦韓国シリーズ第1戦

ドジャースパドレスに逆転勝利 大谷選手は2安打1打点1盗塁

03-20-2024 スポーティングニュース

米大リーグは3月20日(水)、韓国・ソウルで行われるドジャースパドレス戦で開幕し、大谷翔平選手と、山本由伸選手が加入したドジャースが5-2で逆転勝ちした。

大谷選手は5打数2安打1打点1盗塁を記録し、チームの勝利に貢献した。ダルビッシュ有選手は3回2/3、2被安打、3奪三振、1失点だった。

じじぃの「カオス・地球_275_すばらしい医学・狂犬病・致死率ほぼ100%の病気」

狂犬病の犬に噛まれるとどうなるのか?【致死率100%】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=6YJliG-tgRE


パスツール 狂犬病との闘い


【漫画】パスツール 狂犬病との闘い - 歴史人物に学ぶ!

2021-02-03 Hatena Blog
狂犬病ワクチン
現在の日本において、人が狂犬病で死ぬニュースはほとんど聞きません。
それは法律による狂犬病予防接種が徹底されているからに他なりませんが、世界では毎年約5万人もの死者が出ています。
発病すれば、必ず死に至る恐ろしい狂犬病に、パスツールは果敢に取り組みました。

実は彼が9歳の時、狂犬病のオオカミに噛まれた8人が死亡する事故を見ています。
https://cocolo.hatenadiary.jp/entry/2021/02/03/174919

すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険

【目次】
はじめに
第1章 あなたの体のひみつ
第2章 画期的な薬、精巧な人体
第3章 驚くべき外科医たち
第4章 すごい手術

第5章 人体を脅かすもの

おわりに

                  • -

『すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険』

山本健人/著 ダイヤモンド社 2023年発行

第5章 人体を脅かすもの

発症すると必ず死ぬ病気 より

狂犬病は多くの人命を奪う

致死率ほぼ100パーセント。世界でもっとも致死率が高い病気としてギネス記録にも掲載される感染症がある。狂犬病だ。

毎年、世界で5~6万人が狂犬病で死亡している。大半は狂犬病にかかったイヌに噛まれて感染したケースだが、ネコやコウモリ、キツネなどの野生動物から感染することもある。世界のほとんどの地域で狂犬病は絶えず発生し、多くの人命を奪っている。

ところが、日本でこの事実はあまり知られていない。イヌやネコに噛まれたことのある人は少なくないだろうが、日々狂犬病のリスクに怯えている日本人はいないはずだ。日本は世界でもまれに見る、狂犬病清浄地域だからである。

狂犬病清浄地域とは、狂犬病が蔓延(まんえん)していない地域のことだ。日本以外の狂犬病清浄地域は、アイスランド、オーストラリア、グアム、ニュージーランド、ハワイ、フィジー諸島の6地域しかない。つまり、ごく一部の島国や島嶼(とうしょ)地域だけである。

日本なら狂犬病にかかる心配はないという事実は、当たり前ではない。これは、1950年の狂犬病予防法の公布以後、先人たちが命の危険に晒さながら築き上げた貴重な環境だ。

1950以前は、日本でも多くの人が狂犬病で亡くなっていた。だが、狂犬病予防法によって飼い犬の登録やワクチン接種が徹底され、1957年に狂犬病が撲滅されたのだ。

それ以後、日本での狂犬病感染例はない。1970年に1人、2006年に2人、2020年に1人、いずれも海外でイヌに噛まれたのち日本で発症し、死亡した例があるのみである。

だが、この恵まれた環境を維持することは、さほど容易ではない。狂犬病に感染した動物が日本に侵入する危険性は常にあるからだ。

動物検疫所では、海外からの動物の輸入について、厳密な規則を定めている。特に狂犬病清浄地域以外からのイヌやネコを日本に連れてくる場合、まず皮下へのマイクロチップの埋め込み、2回以上のワクチン接種と抗体検査、さらには日本到着まで180日間以上の待機期間が必要となる。

こうした地道な努力があるからこそ、私たちは日本で狂犬病の心配をすることなく生活できるのである。

紀元前から知られた狂犬病
狂犬病は、狂犬病ウイルスが引き起こす人畜共通感染症である。人間を含むすべての哺乳類が狂犬病に感染しうるが、人から人に感染することはない。またワクチン接種によって予防が可能だ。

感染から発症までの潜伏機関は1~2ヵ月と長いのが特徴である。ひとたび発症すると治療法はなく、ほぼ100パーセント助からない。一方、狂犬病の蔓延地域でイヌやネコなどの野生動物に咬(か)まれ、狂犬病に感染した可能性がある場合は、発症を予防するためにワクチン接種を受けなければならない。これを暴露後ワクチン接種という。

日本から一歩外に出れば、狂犬病は日常的な病気である。海外での動物咬傷(こうしょう)のリスクを知っていることが何より大切だ。

狂犬病はさまざまな症状を引き起こす。発熱や頭痛、食欲不振、嘔吐などの感冒症状から始まり、興奮、錯乱状態になって幻覚が現れ、攻撃的になる。最終的には昏睡状態になり、呼吸停止に至って死亡する。

狂犬病の特徴的な症状に、「恐水症状」がある。その名の通り、「水を恐れる」というものだ。狂犬病ウイルスは神経に侵入し、その機能を侵す。水を飲もうとすると、神経が過敏になっているために喉の筋肉が痙攣(けいれん)し、患者が水を飲むことに過剰な恐怖を抱くのである。

こうした過敏反応は風が吹くだけでも起こり、これを「恐風症状」という。症状に対する恐怖が、こうした特異な現象につながるのである。

狂犬病は紀元前から知られた病気で、古代バビロニアハンムラビ法典にも狂犬病に関する記載があるという。また1世紀の古代ローマ医学書『医学論』で、この病気は「恐水病(hydrophobia)」と命名されている。はるか昔から、この恐ろしい症状は知られていたのだ。

だが、何千年もの間、病気の実態は知られず、予防法もないままだった。予防法もないままだった。狂犬病ワクチンが開発されたのは19世紀になってからだ。その最大の功労者は、フランスの化学者ルイ・パストゥールである。

じじぃの「科学夜話・第6講・時空・世界の仕組みを物理学で知る!宇宙の雑学」

この場で速読して本紹介 その119「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る Kindle版」松原 隆彦 著

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ahTfjrGPzLg


「"cool-hira" 科学夜話 宇宙の雑学」画像検索

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SB新書 宇宙とは何か
【目次】
第1講 宇宙像の広がり
第2講 宇宙の地平
第3講 ミクロの世界へ
第4講 マルチバース
第5講 微調整問題と人間原理
第6講 時間と空間

                    • -

『宇宙とは何か』

松原隆彦/著 SB新書 2024年発行

第6講 時間と空間 より

相対性理論量子論は相性が悪い?

宇宙には時空のゆがみ、ねじれがあるということからタイムマシンの話になりました。

ブラックホールワームホールは、時空の物理学である相対性理論から予言されているものです。相対性理論によって、時空は我々が普段思っているものとは違うということはよくわかりました。観測者によって変わる「相対的」なものだし、重力によってゆがめられてしまいます。しかし、その中身を詳しく見たいと思っても、よくわからないのです。

量子論は1つのキーになりそうですが、一般相対性理論量子論は相性が悪いと言われています。
重力という大きな世界の話と、ミクロの世界の話を矛盾なくくっつけることがなかなかできないんです。普通は別々の世界の話なのでいいんですが、宇宙の初期について考えるには組み合わせる必要が出てきます。

昔からこれは大きな問題だったのですが、量子論相対性理論を部分的にくっつけることに成功したのがホーキングです。ホーキングの「量子重力論」によれば、ブラックホールは量子効果によってわずかに光を出します。光さえ出てこられないと考えられていたブラックホールですが、量子効果でエネルギーが漏れ出てくることを計算で示したんです。まだ観測はされていないので確実ではありませんが、理論的には正しそうです。

ブラックホールが光を出すということは、ブラックホールが見えるんですか?

光が弱すぎるので、通常の手段では見えません。ただ、ブラックホールはエネルギーを放射してどんどんやせ細っていき、最後の最後になるとものすごいエネルギーを出すため、そこを観測できるのではないかという話があります。ブラックホールがなくなる瞬間にぶわっと明るくなり、そこが観測できると考えられています。

時空とは何か?

相対性理論量子論を結びつけることは、今後の課題です。
ある量子論的な仮説によれば、時間はないほうが自然にも見えます。なぜかというと、計算をしているうちに、方程式から時間の変数が消え去ってしまうことが知られているんです。不思議ですね。時間を計算に入れる必要がなくなってしまうんです。

いったい、時間とは何なのでしょうか?

本当は、物理的な時間などというものは存在せず、人間が勝手に発明したものなのかもしれません。「お金」がモノの価値を記述し、交換を簡単にする発明品であるように、「時間」も物事の相関関係を記述するための発明品であって、自然に本質的に備わっているわけではないかもしれません。

「空間」もそうです。人間がこの空間にこういう距離があると認識しているだけであって、正体はよくわかっていません。

ホィーラーの参加型人間原理によれば、時間も空間も情報処理の一環でしかありまえん。時間も空間も、我々が思っているようには存在いていないのです。

観測的宇宙論

最後の最後に、また混乱してきましたね。
いいんです。宇宙についてわかったふりをせず、混乱しながらも追及していくことが大事なんです。

あまりにも大きく未知の部分が多い宇宙に対し、無力感を感じた人もいるかもしれませんが、理論と観測によって少しでも真実を知りたいという気持ちは大事です。

私が専門にしているのは、一言で言うと「観測的宇宙論の理論研究」です。
これは、観測に基づいて宇宙の全体構造を知ろうとする研究です。本来、物理学は実験測定に基づいて研究するものですから、わざわざ「観測的」なんて加える必要はないのですが、宇宙論については理論のみで突き進む時代が続いていたため、純理論的な宇宙論の研究と区別してこう呼んでいます。
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現在研究を進めているのは「宇宙論的摂動論」です。初期の宇宙で星ができたり銀河ができたりしていくとき、どういう振る舞いをするのかを調べるにあたって「摂動論」という手法を使ってやっているんです。宇宙の初期から現在までの複雑な構造が時間的にどう変化するかというのを、ひたすら手計算を主にして求めていくということをしています。

宇宙の変化は、手計算でなくコンピュータのシミュレーションを使っていく方法もあり、以前はそちらの手法で研究していたこともあったのですが、最近の自分には数式の手計算によってわかることを調べるほうが面白いですね。とは言っても、世界初の結果を得るために必要な必要な手計算は半端ではなく、この間、宇宙論的摂動論を使ったひと続きの研究のために計算した紙を数えてみたら1100枚以上ありました。

1人で孤独にやってばかりだと自分の精神が心配になるので、こういった孤独な研究と共同研究、学生たちとワイワイ楽しくやる研究などをとり交ぜ、平行してやっています。本書のような執筆活動も、その一環です。

宇宙を追うために数学は必要か?

手計算で何枚もの紙に計算を続けているなんて言うと、数学や算数が苦手だった方はイヤな気持ちになるかもしれません。

理論研究の中には数学ができない難しいものはあります。相対性理論はやや高度な数学を勉強しないとできません。でも、宇宙論は宇宙物理学のごく一部の分野です。天体の研究なら、物理や化学が重要ですし、シミュレーションのためのプログラムを武器にする人もいます。簡単な計算だけでも、アイデアに優れ、広く知れ渡る論文が書ける人もいます。あるいは体力や総合力を生かして宇宙飛行士になるという人もいるでしょう。

宇宙研究」の意味する範囲は広いです。子どもの頃、文系や理系の区別もなく、誰もが自由研究に夢中になったように、科学=数学ではありません。

宇宙とは何かを追い求める人類の根源的あ営みに加わるなら、宇宙が好きかどうかがいちばんだと思いますよ。

私も、宇宙が好きなんです。
もともと、こび世界はどうやっできているのかという子どもの頃の疑問から始まって、紆余曲折ありながら観測的宇宙論にたどり着きました。さまざまな面白い宇宙の理論を、観測データを使って解いていくなんてすごく楽しいじゃないかと思ったんです。それに、観測技術の発展はめざましいものがあり、これからさらに伸びていく分野だと思います。

まだまだ謎の多い宇宙だからこそ、さまざまな形の参加があり、また多くの面白い発見が出てくることでしょう。
「宇宙とは何か」がわかる時は、そう遠くないかもしれません。

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じじぃの日記。

松原隆彦著『宇宙とは何か』という本の最終章に、「宇宙を追うために数学は必要か?」というのがあった。

「いったい、時間とは何なのでしょうか?」

「本当は、物理的な時間などというものは存在せず、人間が勝手に発明したものなのかもしれません。『お金』がモノの価値を記述し、交換を簡単にする発明品であるように、「時間」も物事の相関関係を記述するための発明品であって、自然に本質的に備わっているわけではないかもしれません」

私も何となく「時間」は「エネルギー」の遷移状態を別の尺度で表現するための道具ではないか、と思っています。

「宇宙を追うために数学は必要か?」

「『宇宙研究』の意味する範囲は広いです。子どもの頃、文系や理系の区別もなく、誰もが自由研究に夢中になったように、科学=数学ではありません」

私は文系や理系とに分けたとすれば、理系ではないです。

やはり、真理を拓いていく人は理系の人のような気がします。

ブラックホールが光を出すということは、ブラックホールが見えるんですか?」

もしかしたら、ブラックホールが見えるかもしれない。

なんか、ワクワクします。

じじぃの「カオス・地球_274_すばらしい医学・放射線障害・細胞破壊」

10/14公開『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』予告編

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=TMlnMDbtZOo

マリ・キュリーと放射線障害


ノーベル賞学者マリ・キュリーの悲劇の真相・・「放射性物質を用いて実験を繰り返したことが原因」は大きな誤解!?

2023.11.25 ダイヤモンド・オンライン
●マリ・キュリーの功績と不運な死
ヴィルヘルム・レントゲンが発明したX線は、戦争で負傷した兵士の骨折の部位や、体内に残った弾丸、その破片の位置を特定するのに大いに役立つツールであった。
マリ・キュリーは、X線装置を搭載した車両を自ら戦場に導入することで、X線を用いた画像診断に尽力したのである。
だが、1934年、不運にもマリ・キュリーは、骨髄の障害によって起こる再生不良性貧血でこの世を去った。
長年に渡り放射性物質を用いて実験を繰り返したことが原因とされているが、近年は、第一次世界大戦中の度重なるX線検査への立ち会いの方が大きな要因になったと考えられている。

放射線を用いたがん治療
放射線による細胞へのダメージを逆手に取り、がん治療に生かしたのが放射線治療だ。
私たちの細胞にはDNAの損傷を修復するしくみが多数備わっている。なぜなら、DNAの損傷自体は紫外線等の環境因子によって日常的に起こっており、修復機構がなければ私たちは生きていけないからである。
むしろ、生命の設計図たるDNAに損傷を引き起こす光線が、地球上に日々降り注いでいるからこそ、DNA修復システムを備えた生物が進化の過程で生き残ってきたのである。
https://diamond.jp/articles/-/332482

すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険

【目次】
はじめに
第1章 あなたの体のひみつ
第2章 画期的な薬、精巧な人体
第3章 驚くべき外科医たち
第4章 すごい手術

第5章 人体を脅かすもの

おわりに

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『すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険』

山本健人/著 ダイヤモンド社 2023年発行

第5章 人体を脅かすもの

生命を完全に破壊する光線 より

東海村原子力事故
1999年9月30日、千葉市にある放射線医学総合研究所に、3人の作業員がヘリコプターで救急搬送された。彼らは急性放射線障害で重篤な状態にあった。原因は、茨城県那珂郡東海村にあるジェー・シー・オー(JCO)社の核燃料加工施設で発生した原子力事故であった。

もっとも重症だった作業員の1人は、事故の際、至近距離で凄まじい量の放射線中性子線)を浴びた。彼の体を突き抜けた多量の放射線は、全身の細胞核内にあるDNAをバラバラに破壊した。その瞬間、ありとあらゆる細胞が分裂能力を失った。生命の設計図が失われたのだ。

事故翌日、東京大学医学部附属病院の集中治療室に移ったときは、むしろ拍子抜けするほど症状は軽かった。全身に軽い日焼けをした程度で、水ぶくれの1つもなく、意識もはっきりしていた。だが、その後の体に起こった変化は壮絶だった。

放射線細胞分裂が盛んな部位に多大な影響を及ぼす。血球をつくる力は完全に失われ、破壊された免疫システムは再起不能に陥った。血球のもととなる造血幹細胞を移植する治療、造血幹細胞移植が行われ、無菌室で治療が続けられた。

ひとたび古い皮膚が剥がれ落ちると、それ以後は全く再生が起こらない。体の表面から大量の水分と血液が失われていく。消化管の表面を覆う粘膜が失われて再生せず、膨大な量の下痢と出血が続く。毎日10リットルもの点滴で水分を補充しても追いつかず、とてつもない速度で体から液体成分が失われた。

国内では初めての、世界的にもほとんど例のない重大な被曝事故であった。見たこともない様子で劣化し、生きる力を失っていく体に、医療スタッフらは懸命に立ち向かった。だが事故から83日後、彼は多臓器不全で亡くなった。35歳、妻と小学生3年生の息子がいる健康な男性だった。医学の限界というほかなかった。

のちにJCOの作業工程における杜撰(ずさん)な安全管理が問題視され、所長を含む6人に対し業務上過失致死などの罪で有罪が確定した。

この事故で反応を起こしたウランは、わずか0.001グラムであった。放射線という目に見えない脅威に、人体はあまりにも脆い存在だ。正しい知識と、それに基づく適切な管理なくして身を守ることは決してできない。

放射線に無知であった人類
放射線の存在を初めて知ったのは、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンである。
1895年、高電圧の真空管を用いて実験を行っていた彼は、偶然にも奇妙な光線を発見する。真空管から放たれたその光線は、真空管を覆う黒い厚紙を透過し、スクリーンをかすかに照らしていた。

彼がこの光線に手をかざしたとき、驚くべきことが起きた。スクリーンには、自分の手の骨が移し出されたのだ。体内を覗き見る技術が初めて生まれた瞬間だった。

彼が「X線」と名づけた新種の光線は、瞬く間に世界中に広まった。X線を使った検査は「レントゲン」と呼ばれるようになり、人体に対する安全な利用法が確立した。
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さらに1898年、ポーランド出身の物理学者マリ・キュリーは、その夫ピェール・キュリーとともに、自然界に存在する新たな放射性元素を発見する。

今のチェコ共和国西部にあるヨアヒムスタール鉱山の鉱石から、彼らの苦労の末に抽出したのは、ポロニウムラジウムであった。

ポロニウムはマリ・キュリーの母国ポーランドから、ラジウムラテン語の「光線(radius)」にちなんで名づけられた。また彼女は、放射線を出す能力のことを「放射能(radioactivity)」と名づけた。科学における全く新たな一分野を切り開いたアンリ・ベクレル(フランスの物理学者・化学者。放射線の発見者)とキュリー夫妻の3人は、1903年、ノーベル物理学を受賞する。

だが当時、放射縁が持つ人体への危険性は、まだはっきりとはわかっていなかった。むしろきれいに光輝くラジウムは、さまざまな人気商品を生み出した。1920年代には、ラジウム入りの石鹸、美容クリーム、歯磨き粉などが発売され、ラジウム入りの飲料は健康に良いと宣伝された。

中でも世界的に有名な大問題を引き起こしたのが、アメリカ、ニュージャージー州にあった米国ラジウム社だ。1917年、同社はラジウムを利用した夜光塗料を開発し、これを時計や計器の文字盤に使った。特に戦争中の夜間戦では。自然に発光するラジウムは圧倒的に便利だった。この時期、アメリカでは軍用に400万個以上の夜行時計が作られた。

この塗料を塗る作業は、若い女性工員たちが担当した。繊細な作業であるだけに、女性たちたちは何度も筆を舐めて穂先を整えた。これが彼女らの体を蝕(むしば)んだ。繰り返す被曝によって、放射線障害が生じたのだ。顎の骨が壊死(えし)し、舌や首、顎に腫瘍ができた。骨髄が障害され、慢性的な病気を発症し、多くの人が亡くなった。

放射線によってDNAが損傷されると、細胞は修復機構によってこれを修復する。修復が不可能な場合は自死アポトーシス)を起こすが、修復がうまくいかないまま生き残ってしまうと、時にがん化して無秩序に増殖する。放射線によって起こる、数ある傷害の1つである。

じじぃの「科学夜話・第5講・奇跡的な宇宙・宇宙定数・ダークエネルギーとは?宇宙の雑学」

【気づいたんや】宇宙が存在し生命が偶然生まれるとは都合良すぎでは?【ゆっくり解説】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KWHhbZBsXhw

ダークエネルギーの量は変化していた?


ダークエネルギーの量は変化していた? 膨張する宇宙の謎に一石投じる発見か NASA

2019年2月1日 ライブドアニュース
米航空宇宙局(NASA)は1月30日、運営するチャンドラX線観測衛星から取得したデータを分析し、宇宙の膨張を加速させる仮想上の「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」が時間とともに変化していることを明らかにした。
今回の発見が膨張する宇宙の謎に一石を投じることが期待される。
https://news.livedoor.com/article/detail/15960858/

『宇宙とは何か』

松原隆彦/著 SB新書 2024年発行

第5講 微調整問題と人間原理 より

奇跡的な宇宙

我々の宇宙だけでなく、たくさんの宇宙がある、それも無数にあるという「マルチバース論」が出てくるのには、必然性があると言える背景があります。

単純に言うと、この宇宙があまりにも奇跡的な存在だということです。生命や人間が存在する宇宙は、ものすごく大変な条件を重ねなければできません。

それなのに、現実にこの宇宙が存在するのはなぜかと考えたとき、マルチバースは1つの解決策になります。無数に宇宙があれば、その中に1つくらい奇跡の宇宙があってもおかしくありません。ある意味では、この奇跡的な宇宙への疑問を、安易に解決する方法がマルチバースなのです。

ではどのくらい奇跡的なんでしょうか。今回はその話をします。

測定してはじめて決まる「パラメータ」

自然界には、測定によってはじめて決まる定数がいくつもあります。物理の法則には、こうした物理定数が必ず含まれています。

たとえば、電気力は電子の電荷がどのくらいかによって決まります。電荷とは粒子や物体が帯びている電気の量のことです。電気量を測ると、最小単位の整数倍になっており、その最小単位を電気素量と言います。電気素量はどこで測っても同じです。一定の値が見つかるわけですが、なぜその値なのかという理由は見つかりません。理論上は、その値である必然性がなく、どんな値であってもいいはずです。

重力定数もそうです。
ニュートンが見つけた「万有引力の法則」は、万有引力は2つの物体の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例するというものです。この関係における比例定数は重力定数と呼ばれます。重力定数は、測定によって決まったものであって、この値でなければならない理由がありません。
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どうも自然界のパラメータは、この宇宙に生命が誕生するように微調整されているふうに感じます。なぜか我々にとって都合のいい値になっているんです。まるで神様がパラメータを自由に変えることのできる機械を持っていて、生命を誕生させようと細かく調整しているかのようです。パラメータの値には必然性が見つからないため、いまの物理学では説明ができないのです。

これを「宇宙の微調整問題」と呼びます。
宇宙には、測定してはじめてわあるパラメータが、現状見つかっているもので40個あります。そのすべてが、この宇宙を成り立たせるのに微妙な値をなっています。
いくつかのパラメータを見ていきましょう。

トリプル・アルファ反応

生命にとって、もっとも重要な元素の1つが炭素です。炭素が無ければ、今の生命は確実に存在していません。

炭素原子核は、星の中でヘリウムヘリウム原子核が3つ集まることで作られます。
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トリプル・アルファ反応によって炭素が作られることを見出したのはイギリスの天文学者フレッド・ホイルなのですが、この反応を起こすためには、炭素がある特定の値のエネルギー順位(具体的には7654.2keV)を持たないと成り立たないことがわかりました。

人間原理の成功例

ホイルの考え方は典型的な「人間原理」です。

前回も紹介した人間原理です。あらためて、人間原理とは、「この宇宙が人間に適しているのは、そうでない人間が宇宙を観測できないから」という論理を使って宇宙や物理を説明する考え方です。要するに、「人間が存在するんだから、宇宙はこうなっていなさい」ということです。

人間原理には大きく分けて「弱い人間原理」と「強い人間原理」があります。

「弱い人間原理」は、現在の宇宙の年齢や太陽系の位置関係などは、偶然に決まったものではなく、それを観測している人間がいるという前提のもとに定まっているという考え方です。
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対して「強い人間原理」は、宇宙の法則や定数は人間が生まれるようなものでなくてはならないという考え方です。人間の存在を理由に「だからこうなっている」と説明するので、順番が逆になっているんです。

ホイルの予言(炭素の元素合成過程を説明するために理論的に存在を予言した)は「強い人間原理」の典型例です。それまで、この論理で予言をした人はいなかったので、みんな半信半疑でした。というより疑っていました。ところが、実験してみたら本当にそうだったので驚いたんです。

俄然「強い人間原理」に期待が持てそうな感じがしますが、そうでもありませんでした。同じ考え方でうまくいった例は他にないのです。ホイルの予言が唯一の成功例です。

とてつもない精度で調整されている宇宙定数

いろいろとお話ししてきましたが、最大級の微調整問題、つまり、すごい精度で調整されているとしか思えないのが、「宇宙定数」と呼ばれるパラメータです。

宇宙定数とは、もともとアインシュタイン一般相対性理論を最初に応用したときに導入した定数です。

アインシュタインは、宇宙は、膨張も収縮もしない、静的なものだと想定していました。
ただ、アインシュタインが提案した一般相対性理論の基本方程式をそのまま宇宙に当てはめても、静的な宇宙になってくれません。放っておけば自分自身の重力で自然い収縮していってしまうからです。そこで1つの項を付け加えてつじつまを合わせたんです。それが「宇宙項」と呼ばれるものです。宇宙定数は、この宇宙項にかかっている係数のことです。

宇宙定数は正の値を持つと、宇宙空間が膨脹することになります。それに対して、物質は宇宙空間を収縮させる働きをします。2つの力が釣り合って、宇宙は静的な状態に保たれるとアインシュタインは考えていました。

しかし、現実の宇宙はアインシュタインが考えていたような静的なものではありませんでした。すでにみなさんも御存じの通り、宇宙は膨脹していることがわかって、アインシュタインは宇宙項を捨ててしまいました。のちに「わが生涯で最大の過ち」と語ったとすら言われています。

アインシュタインは捨ててしまったのですが、宇宙項は理論的には存在可能です。膨脹する宇宙の中に宇宙項があっても矛盾はありません。いや、やはり宇宙項があったほうがいいのではないか。そういう議論が長いことあったんです。そして宇宙が加速膨脹していることがわかると、やっぱり宇宙項、宇宙定数がないと困る、という流れになってきました。宇宙の膨脹のあまりに急激な加速は、宇宙項がないと説明できない、ということです。

宇宙の膨脹は加速している……そう、第2講でお話ししたダークエネルギーです。
ダークエネルギーは、宇宙全体に広がっている未知のエネルギーのことでしたね。

観測はできていないのですが、宇宙全体にごく薄いエネルギーが満ちあふれていることが必要です。宇宙の膨脹が加速していることは観測事実です。膨脹が加速するためには、宇宙に薄いエネルギーがなくてはなりません。そうでなければ宇宙の膨張は遅くなる一方です。

ダークエネルギーが存在すると仮定して計算すると、観測とピッタリ合うのです。
そんな取ってつけたようなものは気に食わないと言っていた人たちも、結局これ以外に加速膨脹を説明できないので、受け入れざるをえない状況です。

しかし、ダークエネルギーとはいったい何なのか。
ダークエネルギーを理論的に解明することは、現代の物理学の大きな課題の1つです。
宇宙定数はダークエネルギーの有力候補と言えます。ただ、その値があまりにも小さいのがどうにも不自然なんです。
観測から見積もられた宇宙定数の値は1.109 X 10-34m-2という小ささです。

宇宙定数のエネルギーは、真空の空間がもっているエネルギーだと解釈できるのですが、量子論から予言される真空のエネルギーは、宇宙定数のエネルギー量より123桁大きくなるんです。
    ・
この宇宙定数は、非常に問題視されています。想像を絶する微調整が働いている宇宙定数を方程式に勝手に付け加えて、それで宇宙の性質を説明したことになるのでしょうか。

本当は、もっと深い理由とメカニズムがあるのかもしれません。宇宙項を入れて計算することは簡単なのですが、その物理的根拠ははっきりしません。ダークエネルギーの正体も謎に包まれたままです。

この微調整の問題を本当の意味で解決することが、ダークエネルギーの正体を暴くことにつながるでしょう。

なお、宇宙定数の微調整問題をマルチバースによって解決しようとするなら、少なくとも10の123乗個以上の宇宙が必要です。同時に他の微調整問題も解決するためには、もっと多くの宇宙が必要になるでしょう。

もちろん微調整問題の解決方はマルチバースだけというわけではありません。我々がまだ知らない仕組みがこれから発見されるかもしれませんね。

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じじぃの日記。

松原隆彦著『宇宙とは何か』という本に、「とてつもない精度で調整されている宇宙定数」というのがあった。

約20年前、超新星爆発を起こした天体までの距離を計測する際に、宇宙の膨張が加速することが判明した。

この宇宙の加速膨張を説明するために、宇宙定数を一般化した仮想上のエネルギー「ダークエネルギー」が宇宙全体に浸透するという説が提唱された。

ダークエネルギーが存在すると仮定して計算すると、観測とピッタリ合うのです。そんな取ってつけたようなものは気に食わないと言っていた人たちも、結局これ以外に加速膨脹を説明できないので、受け入れざるをえない状況です」

なぜ宇宙は膨張しているのか?宇宙物理学者が語るダークエネルギーの謎と、過去、現在、未来の宇宙

2024/3/14 Yahoo!ニュース
松原:観測事実として、宇宙が加速膨張していることは確かです。でも、ダークエネルギーは、理論的な仮説に過ぎないんですよ。存在が証明されているわけでもありません。

アインシュタイン一般相対性理論では、時空がゆがんでいることや、時空が膨張あるいは収縮することを示しています。一般相対性理論によって、恒星の振る舞いを計算すると、観測データと一致します。

ただ、一般相対性理論を宇宙全体に適用させようとすると、ダークエネルギーがないとできないんです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5c9d9f6cc83ccc271d7f3d68f8aaf98166110290?page=3

だそうです。

何となく宇宙の膨張は、水が相転移するように、ダークエネルギーの値も変化しているような気がします。