じじぃの「2020年代の日本・外の世界に不適応になった私!ひきこもり図書館」

【2030年の未来予測①】アメリカ最先端テクノロジーから見た未来(The Future Is Faster Than You Think)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vJEJxzj47aw

内閣府調査「ひきこもり中年、60万人超」の衝撃。やり直しのきかない社会に

●中高年ひきこもりの潜在数は100万人以上とも!
61.3万人――’19年、内閣府が40~64歳の5000人を対象にした「生活状況に関する調査」(集計期間:’18年12月7~24日)で明らかになった、中高年ひきこもりの推計である。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ddf441e4b2c1fd0756582bd39617d6336d98121e

ホーソーン

光文社古典新訳文庫
マサチューセッツ州セイラム生まれ。
清教徒の古い家系に生まれ、先祖はクエーカー教徒への迫害や、「魔女裁判」の判事だったことで知られる。作家を志して1837年、短編集『トワイストールド・テールズ』を出版。翌々年ボストン税関に就職するが、政変の影響によって失職する。その後、理想主義的な実験村ブルック・ファームに参加するも幻滅して脱退。セイラム税関に就職し、再び政変で解任された翌1850年、本書を発表して文名をあげた。
第14代大統領ピアスと親交があり、1853年リヴァプール領事として渡英ののち、フランス、イタリアへ旅して、アメリカへ帰った。ニューイングランドの精神を最もよく伝える作家である。子供向けの『子供のための伝記物語』『ワンダーブック』も名高い。
https://www.kotensinyaku.jp/author_list/author114/

『ひきこもり図書館』

頭木弘樹/編著 毎日新聞出版 2021年発行

巻頭の言葉 より

  私はひきこもっています。
  そうしたかったわけではなく、
  そんな生き方は想像したこともなかったのに。
  囚人を地下牢に入れるように、
  私は自分自身を部屋に閉じ込めてしまいました。
  いまではもう、どうやって部屋から出たらいいのかわかりません。
  たとえドアが開いていても、
  外に出るのが怖いのです。
          ナサニエル・ホーソーン
ナサニエル・ホーソーンが知り合いに書いた手紙の一節です。
ホーソーンは大学卒業後、12年間、自分の部屋にひきこもっていたそうです。
これはその12年目に書かれた手紙です。
それくらい長くひきこもっていると、「たとえドアが開いていても、外に出るのが怖いのです」ということになってしまうんですね。
    ・
ひきこもりは、ひきこもりの原因となったことが解決されれば、外に出られると思われがちですが、そうでもありません。ひきこもったばかりのときなら、そうかもしれませんが、長くひきこもっていると、もはや外に出られるようになっても、出られないのです。
ひきこもり生活に心や身体が適応してしまって、外の世界に不適応になるのです。
ひきこもりを外に出したいと思っている人には、このことを知っておいてほしいです。

                      • -

どうでもいい、じじぃの日記。
最近読んだ、鈴木貴博著『日本経済 予言の書』にこんなことが書かれていた。

本書が予測する2020年代の日本の崩壊

「ここでこれまで本書で予測してきた2020年代の姿についてまとめてみましょう。まずコロナショック後の経済の立ち直りで日本は世界の先進国の中で立ち遅れます。観光産業、飲食業など痛手の大きい業種で倒産や廃業が相次ぎ、景気が落ち込みます。その後、日本を代表する企業の安定が大きく崩れ始めます。自動車産業においてトヨタが盟主の座を降りるとともに、アマゾンエフェクトによって多くの小売業が衰退します。労働環境としてはコロナがきっかけで業務の効率化が促進され、同時にAIが発展することによりホワイトカラー正社員の仕事が消滅し、非正規労働者労働人口の多数派になります。そして70代になった高齢者がまだ働かなければならない社会となるとともに、外国人労働者が激増することになります」
日本が今、輸出で稼いでいるのは「トヨタ」や「ホンダ」など自動車メーカーだ。
自動車は今後、ガソリン車から電気自動車(EV)にシフトしていく。
一説には、電気自動車社会になると、自動車生産の本命は日本やドイツから中国にシフトしていくらしい。
今、日本の中高年ひきこもり数は60~100万人といわれている。
今後、この人たちはどうやって生きていくのだろうか。
まあ私は、そのうちいなくなるから関係ないといえば関係ないのですが。 (^^;;

じじぃの「歴史・思想_470_腸と脳・リアルな心身の結びつき」

What If You Had A Second Brain?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=T3Ftj5E90tY

腸と脳―体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか 紀伊國屋書店

エムラン・メイヤー/著 高橋洋/訳
腸と脳のつながりを研究し続けてきた第一人者が、腸と腸内の微生物と脳が交わす緊密な情報のやりとりが心身に及ぼす影響や、腸内環境の異変と疾病の関係などについての最新知見をわかりやすく解説する。
健康のための食事や生活についての実用的アドバイスも必読。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011570

『腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか』

エムラン・メイヤー/著、高橋洋/訳 紀伊國屋書店 2018年発行

第1章 リアルな心身の結びつき より

本書で私は、腸と腸内に宿る兆単位の微生物、そして脳とが、いかに密に連絡を取り合っているかについて、革新的な見方を提示する。とりわけこの三者の結びつきが、脳や腸の健康維持に果たす役割に焦点を絞る。さらには、この体内の会話が遮断された場合、脳や腸の健康にもたらされる悪影響について論じ、脳と腸の連絡を再確立して最適化することによって、健康を取り戻す方法を紹介する。
    ・
それから(ニクソン大統領が米国がん法に署名したときから、1971年)数十年間、機械的で軍隊的な疾病モデルが医学研究の指針として用いられた。「故障した部品を修理さえすれば問題は解決するだろう。究極の原因を解明する必要などない」と考えられていたのだ。このような医療哲学は、ベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬を用いて、脳が発信する異常なシグナルが心臓や血管に届かないようにする高血圧治療や、胃酸の過剰な生成を抑えることによって胃潰瘍や胸焼けを治療するプロトンポンプ阻害剤を生んできた。医療や科学は、これらすべての問題の主たる原因である。脳の機能不全にはほとんど注意を払ってこなかった。あるアプローチが失敗すれば、さらに強力な手段が用いられた。プロトンポンプ阻害薬で潰瘍を抑えられなければ、脳と腸を結ぶ必要不可欠な神経線維の束である迷走神経を切断したのだ。
確かになかには、大きな成功を収めたアプローチもある。長いあいだ、医療システムや製薬業界は、わざわざアプローチを変える必要を感じなかったらしい。

一般的な健康状態の劣化

IBS過敏性腸症候群)、慢性疼痛、うつ病などのさまざまな慢性疾患に効果的に対処できないことだけが、疾病に焦点を絞る従来的な医療モデルの欠陥なのではない。1970年代以後、肥満やそれに関連する代謝障害、炎症性腸疾患、喘息、アレルギーなどの自己免疫障害、アルツハイマー病やパーキンソン病などの加齢にともなう脳疾患や進行中の脳疾患を含め、健康に対する新たな障害の増加が見られるようになった。たとえば、アメリカにおける肥満率は、1972年の13パーセントから2012年の35パーセントへと次第に増大している。今日のアメリカでは、1億5470万人の成人と、2歳から19歳の子どもの17パーセント、すなわち6人に1人の子どもが、太り気味か肥満だ。また、毎年少なくとも280万人が、肥満が原因で死亡している。世界的に見ると、糖尿病の44パーセント、虚血性心疾患の23パーセント、各種がんの7~41パーセントは、その原因を太り気味と肥満にに求めることができる。肥満の流行が退潮しなければ、それによる疾病の治療にかかる費用は、驚くべきことに年間6200億ドルにものぼると見積もられる。
私たちは現在でも、このような新たな健康障害の発生件数が急上昇した原因をつきとめようと苦労しているが、そのほとんどは、効果的な解決方法が見つかっていない。アメリカの平均寿命の延びかたは他の先進諸国と軌を一にするが、高齢者の身体と心の健康という点では大幅な遅れをとる。平均寿命が延びた分の代価を、その延びた数年間の生活の質(QOL)の低下で払っているともいえよう。
だから私たちは、人体がいかに機能するのか、どうすればそれを最適な状態に保てるのか、また、障害が生じたときにいかにして安全かつ効率的に治せるのかを理解するための現行のモデルを、今こそ更新しなければならない。もはや、時代遅れになったモデルがこれまで生んできた対価や長期的なコラテラルダメージアーノルド・シュワルツェネッガー主演のアメリカ映画)を、許容するわけにはいかないのだ。
これまで私たちは、全般的な健康の維持という点になると、消化管(消化器系)と脳(神経系)という、人体が備える2つの複雑かつ重要な系(システム)を無視してきた。心身の相関は神話などではなく生物学的事実であり、身体全体の健康を理解するためには必須の要素なのである。

健康と新たな科学

腸と脳のコミュニケーションに関する新たな科学は、最近になって科学界やメディアでももっとも注目されるようになった分野の1つである。「外交的な」マウスから取り出した、マイクロバイオ―タを含み糞を移植するだけで、「臆病な」レシピエントマウスが、社交的なドナーマウスが、社交的なドナーマウスに似た振る舞いを示すようになるなどと誰が考えていただろうか? あるいは、貪欲で肥満したマウスの便を微生物とともに移植すると、やせたマウスが餌を食べ過ぎるようになることを示した類似の実験や、プロバイオティクスの豊富なヨーグルトを4週間食べ続けた健康な女性の脳が、負の情動を喚起する刺激に以前より反応しなくなることを示した実験についてはどうか?
    ・

今や私たちは、心、身体、体内の生態系を保全するエンジニアに、自分自身がならなければならない。そのためには、腸や脳がいかにコミュニケーションを取っているのかを、さらには腸内微生物がそこにどう関与しているのかを理解する必要がある。次章からは、このコミュニケーションシステムに関する最新の科学的発見を取り上げる。もし私が本書の執筆に成功したとすれば、この本を読み終わるころには、あなた自身と周囲の世界の見えかたは刷新されるはずだ。

じじぃの「はやぶさ2・なぜ2回目の着陸にこだわったか!最強ミッションの真実」

はやぶさ2」搭載小型モニタカメラ撮影映像 / Hayabusa2 Touch down movie

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-3hO58HFa1M

The Japanese spacecraft can now grab some asteroid dust from below the surface

Project members celebrate as the success of trajectory control manoeuvre to withdraw from the Earth's sphere is confirmed, at a control room of JAXA's Sagamihara Campus

Japan’s Hayabusa2 delivers rock samples from asteroid Ryugu

6 Dec 2020 Al Jazeera
Japan’s space agency has retrieved a capsule carrying the first rock samples from beneath the surface of an asteroid that scientists say could provide clues to the origin of the solar system and life on our planet.
https://www.aljazeera.com/news/2020/12/6/japan-space-probe-delivers-rock-samples-from-distant-asteroid

はやぶさ2 最強ミッションの真実』

津田雄一/著 NHK出版新書 2020年発行

第5章 着陸を目指せ――小惑星近傍運用・前半戦 より

それでも着陸はできない……

はやぶさ2のターゲットマーカー追尾の様子の画像はちょっとした反響を呼んだ。2018年12月にLSS(着陸地点選定、Landing Site Selection)会議以来4ヵ月ぶりに日本へ集まったはやぶさ2の海外メンバーは、その映像に拍手喝采を浴びせた。照井が講演したとある国際会議では、途中で講演を中断しなければならないほど大きなどよめきと拍手が起きた。
しかし、わたしたちはまだ答えにたどり着いていなかった。実は、もともとはやぶさ2に備わっていた「ピンポイントタッチダウン方式」は、着陸目標周辺は広く安全という前提で設計されていた。つまり「できるだけ目標点近くに降りる」設計だった。しかし、今やるべきは「目標点意外に下りてはいけない」設計だ。
課題は3つあった。①ターゲットマーカーが落ちた近くに安全な着陸場所はあるのか。②落ちているターゲットマーカーを、上空から降下していくはやぶさ2はきちんと見つけることができるのか。そして、③見つけた後それを目印に、安全な着陸場所に高精度で着陸することがそもそもできるのか。プロジェクトのサイエンスチームと工学チームが、総力を挙げてこの課題に取り組んだ。
    ・
こうして、はやぶさ2を低高度に正確に導き、搭載カメラONC-W1で確実にターゲットマーカーを見つけさせる目処がついた。
ターゲットマーカーを見つけた後、どのように着陸に持ち込むか、ここの検討に私たちは一番苦労した。NECに3つのアイデアを提示し、その実現性を見てもらっていた。会議は、あらゆるタイミングで行われた。私はあるときに、空港の電話ボックスで、チンアナゴのようい細長い格好を保ちながら、パソコン片手にNECテレコン(電話会議)をした。菊地は出張の移動中に、緊急のリモート会議に参加するために歌う目的ではなくカラオケボックスに駆け込んだりもした。
暮れも押し迫った2018年12月27日、NECから検討結果が報告された。「検討していた3つの方式はいずれも成立しない」という答えだった。崖から突き落とされたようなショッキングな報告だった。私たちは再び追い詰められた。特に問題なのは、着陸の最終プロセスだった。高度45メートル以下で、はやぶさ2はLRF(レーザを発射して距離を測定する装置、Laser Range Finder)の4本のレーザーを放射状に下方に照射して、高度を計測するとともに、地形に対する探査機の傾きを計測することになっていた。しかし、リュウグウの凹凸が激しいために、LRFが地形に敏感に反応し過ぎて姿勢が乱れ、着陸精度が確保できないのだった。

悪知恵で光明を見出す

後日聞いたところだと、NECの主要メンバーは職場に残っていて、私のこのアイデア(LRFのパラメータの設定方法を変えるという案)はすぐ議論されたのだそうだ。そしてすぐに、検証のシミュレーションに取り掛かり、芽があることを確認して年を越したのだとか。そうとは知らないJAXAメンバーは絶望の年越しをNECは希望の年越しを過ごしたのだった。
「実現可能」――2019年1月7日、NECからそう回答が返ってきた。私のアイデアは粗いものだったから、JAXAのAOCS(姿勢軌道制御系、Attitude and Orbit Control Subsystem)メンバーも総出でこの新方式を吟味した。あらゆる面から、穴がないことが確認された。
1月から2月にかけて、最後の仕上げに取り掛かった。”几帳面の2大巨頭”、尾川と竹内は、画像からレンズの歪みに誤差があることを発見し、着陸精度の15センチメートル向上に繋げた。LSS(着陸点選定、Landing Site Selection)解析の鬼の菊池と、石数えで悟りの境地を開いた諸田は、画像と地形モデルを照らし合わせて、50センチメートルの精度向上策を見出した。実行したシミュレーションの回数は数百万回に上る。

人類の手が新しい星に届いた

降下そのものは、ゲート1前の混乱とはうって変わって、とても平穏に進んだ。シフト明けのメンバーで、験(げん)を担いでかつ丼を食べに行く余裕もあった。17時33分、高度6.5キロメートル付近で、当初の計画軌道に追いつき、降下速度が秒速40センチメートルに落とされた。さあ、ここからはいままで計画してきた通りに探査機を飛ばすだけだ。
    ・
管制室の歓喜の輪の片隅に、静かにテレメトり(遠隔情報収集)を見守り続ける3名がいいた。JAXA三菱重工からなる化学推進系(RCS)のチームだ。聞けば、初代はやぶさは2回のタッチダウン後、上昇停止の噴射停止の噴射時に燃料漏洩が発生したから、RCSチームにとっては祝うのはまだ早いのだそうだ。私はそれを「そんな堅いことを」と笑いながら聞いていたが、内心は泣きそうだった。果たして、数時間後の上昇減速噴射完了後に、彼らはRCSチームとしてのタッチダウン成功を笑顔で分かち合った。いろいろな人の、それぞれの想いが、タッチダウンを成功させたのだ。
その後、サンプラーホーンモニターカメラ「CAM-H」の画像が動画として復元された。そこには、タッチダウンの一部始終が鮮明に写っていた。弾丸発射の瞬間、サンプラーホーンの先端から砂礫が大量に噴出し宙を舞った。まるで成功を乙姫様が紙吹雪で祝ってくれているかのような、劇的な映像だった。その様子から、私たちは着陸地点に「たまてばこ」というニックネームを付けた。

第6章 50年に1度のチャンスを掴み取れ――小惑星近傍運用・後半戦 より

なぜそこまで2回目の着陸にこだわったのか

そもそも、私たちははやぶさ2プロジェクトがなぜタッチダウンの2回目にこだわったかを、ここで整理しておこう。表面的な理由は、プロジェクト目標に(できればやるエクストラサクセスとして)地下物質の搾取を当初から決めていたからだ。当初計画通り進んでいるのだから、それを変える理由がない。しかし、私たちはそれよりも強く深い思いを持っていた。科学的には、月以外の天体の物質を複数地点から採取し持ち帰ることは、人類は実現したことがない。同じ天体の2地点以上の物質を比較できることの科学的な価値は、たった1地点から持ち帰ることよりはるかに高い。また、人類は末だかつて月以外の天体の地下物質を採取し持ち帰ったこともない。「2地点」と「地下」は科学者にとって夢しか見たことのない至高の領域だった。
    ・
もう1つの視点は、ライバルのNASAオシリス・レックスとの関係だ。彼らも着陸を成功させるだろう。その結果、100グラム超のサンプルを採取する。もともと、はやぶさ2はサンプル量で勝負するつもりはなかったが、さりとて「オシリス・レックスと同等の1回の着陸を成功させ、たかだか0.1グラムのサンプルを採取したはやぶさ2」という事実だけが人類の記憶に残る。後世の歴史家は、悪気なく「2019年前後に小天体探査の科学史を前進させたのは米国だけだ」と言うかもしれない。科学はシビアな世界なのだ。
    ・

学術界では、特にリュウグウサンプルを最も心待ちにしているはずのサンプル分析の専門家らからの”挑戦すべし”の意見は意外でもあり心強くもあった。東北大の中村智樹が「私ははやぶさ2の工学チームを信頼します。第2回タッチダウンを是非やってほしい」とチームを前にして述べたときには鳥肌が立った。

サイエンスチームの総意をとりまとめることに奔走した渡邊が、宇宙研執行部の面々を前に示した結論も迫力があった。「自ら作ったできたてのクレーターを目の前に着陸地点を吟味するようなことを、人類がこの50年や100年のうちに実現するとは全く思っていませんでした。今私たちはそれをやっているのです。この状況を実現した工学メンバーのチーム力、士気の高さは本当に感動的です。そういったものに支えられたディシジョンは信頼するし、サイエンスチームは全面的に支持します。」

色々な方面からの後押しに勇気を得て、はやぶさ2チームは、丹念に、ひとつひとつ、JAXA内のあらゆる層に説得、説明をつづけた。

じじぃの「歴史・思想_469_サピエンスの未来・全人類の共同事業」

Nikolai Fyodorovich Fyodorov Everything Philosophers

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=umlewQVs1Pc

Nikolai Fyodorov

人類は、宇宙に住むことも、不老不死になることもできる! フョードロフ

2018年5月3日 Ameba
ニコライ・フョードロヴィチ・フョードロフ(1829~1903)という思想家をご存知でしょうか?
ルミャンツェフ博物館(現・ロシア国立図書館)の司書で,“モスクワのソクラテス”と呼ばれた人物です。
ドストエフスキートルストイをはじめとする多くの思想家に,絶大な影響を与えました。
https://ameblo.jp/eliyahx/entry-12373029961.html

『サピエンスの未来 伝説の東大講義』

立花隆/著 講談社現代新書 2021年発行

はじめに より

この本で言わんとしていることを一言で要約するなら、「すべてを進化の相の下に見よ」ということである。「進化の相の下に見る」とはどういうことかについては、本文で詳しく説明しているが、最初に簡単に解説を付け加えておこう。
世界のすべては進化の過程にある。
    ・
我々はいま確かに進化の産物としてここにいる。そして、我々の未来も進化論的に展開していくのである。
我々がどこから来てどこに行こうとしているのかは、進化論的にしか語ることができない。もちろん、それが具体的にどのようなものになろうとしているのかなどといったことは、まだ語るべくもないが、どのような語りがありうるのかといったら、進化論的に語るしかない。
そして、人類の進化論的未来を語るなら、たかだか数年で世代交代を繰り返している産業社会の企業の未来や商品の未来などとちがって、少なくとも数万年の未来を視野において語らなければならない。人類の歴史を過去にたどるとき、ホモ属という属のレベルの歴史をたどるなら、100万年以上過去にさかのばらねばならない。
    ・
本書では、ジュリアン・ハックスレーやテイヤール・ド・シャルダンといったユニークな思想家の発想を手がかりとして、そこを考えてみたいと思っている。

第12章 全人類の共同事業 より

地球化学が明らかにするもの

テイヤール・ド・シャルダンの進化思想は非常にユニークなものですが、思想の流れにおいて、突発的に出現したものではありません。思想史を学ぶち、そもそもどんな思想も突発的に出現するものではないということがわかります。テイヤール・ド・シャルダンの思想もその例外ではありません。
ロシアに、ロシア・コスミズムとよばれる思想の流れがあります。宇宙スケールで存在論、自然論、人間論を考えようとする立場で、生命圏(バイオスフィア)、精神圏(ヌースフィア)という発想も、彼らの中で生まれてくるのです。正確にいえば、精神圏という概念は、彼らとテイヤール・ド・シャルダンたちとの交流を通じて生まれたといったほうがいいかもしれません。
ロシア・コスミズムの代表的人物として、ウラジーミル・ヴェルナキー(1863~1945)という人がいます。テイヤール・ド・シャルダンとほぼ同時代の人です。彼は、鉱物学、土壌学から出発して、やがて、地球全体を物質循環の立場から研究する地球化学(geochemistry)という新しい学問分野を築き上げた人です。
地球化学というのは、現代における最も重要な学問の1つで、環境科学は全部地球化学の上に乗っているといるといっても過言ではありません。ぼくは、大学の教養課程の学生には全員必修で地球化学をとらせるべきだ、くらいに思っています。まだとってない人はぜひとってください。授業でとらなくとも本の1冊くらいはぜひ読んでください。

モスクワのソクラテス

ロシア・コスミズムの源流として知られるのが、ニコライ・フョードロフ(1829~1903)です。コンスタンツィン・ツィオルコフスキー(1857~1935、人工衛星や宇宙船、宇宙旅行の可能性としてロケットで宇宙に行けることを証明した業績からロシアの「宇宙旅行の父」と呼ばれる)は、少年時代に耳が聞こえなくなったため、まともな教育も受けていない、独学の徒なのですが、そのツィオルコフスキーにあらゆる学問を授けたのが、ロシア最大の図書館であったルミャンツェフ図書館(革命後のレーニン図書館。現在はロシア国立図書館と名前を変えている)の伝説的司書、フョードロフなのです。この図書館に毎日決まった時間に通い、フョードロフがすすめる本を次々に読むことで彼は宇宙科学を学び、宇宙哲学を作っていったのです。
ツィオルコフスキーは、この図書館が自分の大学であったといい、フョードロフが自分の大学教授だったといっています。
「チェルトコフ図書館で、彼はひとりの図書館員と宿命的な出会いをする。この人物は当時まだ無名であったが、類稀な百科全書的な教養を持ち、変容された不死の人間、そして不死の人間の宇宙的な未来という壮大な夢をその心の奥に秘めていた。しかもそれは単なる夢想ではなく、哲学的に深く考察され、たくさんの具体的な計画を伴っていた。ツィオルコフスキーは、自分を驚かせたこの『並外れて善良な顔』をした人から受けた印象を『わたしの生涯の特徴』で次のように書いている。
『その後、同じような顔をした人物に出会ったことがない。おそらく顔は魂の鏡だというのは本当なのだ……。彼はわたしに禁書を貸してくれた。のちにこの有名な禁欲主義者フョードロフがトルストイの親友であり、驚くべき哲学者であり、慎ましい人であることを知った』」(同前)
(フョードロフの肖像を示して)これがフョードロフです(図.画像参照)。生前彼は自分のことを誰にも書かせず、また誰にも肖像を描かせたりしなかったのですが、パステルナークという画家が秘かにスケッチしたものがこれなんです。
フョードロフというのは実に不思議な人物でして、ツィオルコフスキーだけでなく、トルストイドストエフスキーゴーリキーマヤコフスキーなどにもきわめて強い影響を及ぼしています。ドストエフスキーは、彼の思想を「まるで自分の思想のように読んだ」といい、トルストイは、「こういった人物と同じ時代に生きられることを誇りに思う」とまでいっています。最高の知識人たちから、最高の尊敬をかちえ、「モスクワのソクラテス」とまでいわれた人です。
彼は、公式には、図書館の一司書にすぎなかったのですが、ルミャンツェフ図書館の本を全部読んだにちがいないといわれるほど博識で、聞かれると、誰にでも惜しみなく自分の知識を与えました。
その生活は驚くほど禁欲的で、ほとんど聖書のそれに近いといわれました。スヴェトラーナ セミョーノヴァの『フョードロフ伝』によると、その生活はこんな風でした。
「4時過ぎにルミャンツェフ博物館から自宅の小さな部屋に戻り、たいていはパンと砂糖抜きの紅茶で夕食をとり、何も敷いていない固い長持ちのうえで数冊の本を枕代わりに1時間ほど仮眠に、されから読書をし、午前3時から4時まで書きものをする。そしてさらに2、3時間眠ってから再びお茶を飲み、7時から8時ぐらいに図書館に出勤する。こうした生活が死ぬまで続いていった。彼はいつも徒歩で動きまわり、娯楽には一文たりとも使わなかった。冬と夏、彼はカツァヴェイカと呼ばれる同じ古びたシングルのコートを着ていた」(安岡治子亀山郁夫訳、水声社

全人類の共同事業

あるとき、フョードロフの弟子の一人が、彼の思想のある部分を要約してドストエフスキーに送ったんですね。すると、ドストエフスキーはすごく感激して、『作家の日記』の中で、「これらはすべて若々しく、みずみずしく、観念的で非実際的だが、減速においては完全に正しく、たんに誠実というだけでなく、苦悩と痛みをもって書かれている……。私はこの論文に感謝する。というのは、この論文は私に並外れた満足をもたらしてくれたからだ。これ以上に論理的なものはまれにしか読んだことがない」と書いたりしています。
そこで、弟子がさらに多くの思想の要約を送ると、次のような手紙を送ってきます。
「まず第1の質問です。あなたが伝えて下さったこの思想の主はだれなのでしょうか? できればその人の本名も教えて下さい。私は彼にあまりにも興味をかき立てられています。少なくとも、たとえばその顔つきでもいい、何でも結構ですから彼に関して伝えてください。次に言いたいことは、本質において私はこれらの考えに完全に同意見だ、ということです。それらの考えを私はまるで自分の考えでもあるかのように読み通しました」(『フョードロフ伝』)
そして、この人の思想をもっと知りたいといってきたのです。実はここまでは弟子が勝手にやっていたのですが、ここまで来て、フョードロフにいわないわけにはいかなくなり、フョードロフは身近らそれを執筆しようとしますが、それが4年もかかるうちに、ドストエフスキーは亡くなってしまいます。このときフョードロフがまとめたものが、後の『共同事業の哲学』になるんです。
共同事業とは何なのかというと、全人類が力を合わせて、より高次の存在に能動進化(意識的にコントロールされた進化)をとげていくことなんです。そして、地球レベルはもちろん、宇宙レベルで自然を統御していくことなんです。彼は、自然現象をすべてコントロールしなければならないといいます。そのためには、宇宙に進出して、宇宙の住民になり、宇宙現象をコントロールすることも必要になるといいます。人間尾能力をさらにグレードアップするために、人間の肉体も改変しなければならないだろうといいます。先に紹介したようなツィオルコフスキーのほとんど霊的存在になった未来人間という考えは、もっぱらフョードロフから来てるんです。そういうことを可能にするためには、人類の知を統合しなければならないといいます。すべてを知の対象として、すべての人が研究者になり、すべての人が認識者にならなければならないといいます。
それは何のためにかというと、人間にとって最高の幸福と思われるものすべてを獲得するためだといいます。そのためには人間の最大の敵である死を克服しなければならないといいます。また悪を滅ぼさなければならないといいます。
悪というのは、結局のところエントロピーの増大が生む崩壊現象、秩序が失われた状態、世界の欠陥状態、「落下」、未完成状態だから、それに対抗するためには、全世界を合理的自覚を持って反エントロピーの方向に動かしていくことが必要で、そのために全人類が総力をあげることが、人類の共同事業だというわけです。
「自然の盲目の力を統御し、操ることは、人類が共同で行なうことができ、また共同で行なわなければならない偉大な事業なのだ」(S・G・セミョーノヴァによる『共同事業の哲学』からの引用、「序論」『ロシアの宇宙精神』)といいます。
フョードロの思想は、あまりにも壮大だから、ここでその全容を紹介するというわけにはいきませんが、大事なポイントは次の一点です。

「世界は、眺めるために与えられたものではない。世界を鑑照することが人間の目的ではない。人間は常に、世界に対して作用を及ばすこと、自分の望むがままに世界を変えることが可能であると考えてきた」(『著作集』)

じじぃの「はやぶさ2・運動方程式で導いたリュウグウへの飛行!最強ミッションの真実」

津田 雄一『はやぶさ2 最強ミッションの真実 』 (NHK出版新書)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7NEvni_BKzQ

Japan probe touches down on asteroid

Japan's Hayabusa2 probe makes 'perfect' touchdown on asteroid

Hayabusa 2: Asteroid image shows touchdown marks

25 February 2019  BBC News
●Japan probe touches down on asteroid
During sample collection, the spacecraft approached the 1km-wide asteroid with an instrument called the sampler horn.
On touchdown, a 5g "bullet" made of the metal tantalum was fired into the rocky surface at 300m/s.
The particles kicked up by the impact should have been be caught by the sampler horn.
The spacecraft then ascended to its home position of about 20km distance from the asteroid's surface.
The image is further, visual confirmation that the touchdown proceeded to plan.
https://www.bbc.com/news/science-environment-47359152

はやぶさ2 最強ミッションの真実』

津田雄一/著 NHK出版新書 2020年発行

第4章 リュウグウへの飛行と運用訓練 より

順調な船出、そしてプロマネ拝命

打ち上げ後、初期運用フェーズの3ヵ月でははやぶさ2の全機能はひとつずつチェックされた。これに合格して晴れて一人前の探査機と呼べる状態になるのだ。電源系、データ処理系、観測機器、通信系、姿勢制御系、イオンエンジン系……と順次確認がなされた。
    ・
2015年3月2日、初期運用フェーズが完了し、はやぶさ2は定常運用に移行した。それまで開発関係者総動員だった体制も縮小され、6年続く運用作業を定常業務として回せるように、チームが作り変えられようとしていた。
そんな中、ある日私はJAXAの執行役に突然呼び出された。はやぶさ2の開発を通じて会話をしたことはあったが、改まって呼び出されたことは初めてだった。
「津田さんに、4月1日付でプロジェクトマネージャーの辞令が出ることになりました。頑張ってほしいので、受けてもらえますか。」
15秒は言葉を失ったと思う。なぜこのタイミングなのかとか、國中プロマネのままではないのか、とか質問をひねり出した気がするがあまり覚えていない。意外な申し出(実際は通達なのだが)に私は、少し待ってほしい、少なくともはやぶさ2を動かしてきた國中・稲場・吉川と相談する時間をください、と言ってその場を後にするのが精一杯だった。

「やりすぎじゃない?」と言ったら睨まれた――リアルタイム運用訓練

「実時間統合運用訓練」は平たく言うとリアルタイムの管制訓練だ。Realtime Integrated Operationの頭文字をとってRIO訓練と私たちは呼んでいた。まったくの蛇足だが、この訓練を始めたのはリオデジャネイロ五輪の年の2016年、リオ五輪にかこつけてまず”RIO”訓練と名付け、sれに単語を充てた、というのが真相だ。この命名に工学チームは大まこめに取り組み、とても長い時間を費やした。
私はプロジェクトエンジニアとして開発をリードしていたときから。着陸のような難しい運用は、絶対に訓練が必要だと考えていた。そのために、はやぶさ2の開発時に試験のために作った部品や装置を残しておき、あとでそれらをかき集めて、電気的にははやぶさ2と全く同じ動作をするシミュレーションを作ろうと考えていた。

小惑星到着

地球スイングバイ後も、はやぶさ2は順調に飛行を続けた。イオンエンジンは3つの時期に分割して、合計約6500時間噴いた。燃料であるキセノンは24キログラム消費した。まだ42キログラム残っているので余力は十分。2018年6月3日14時59分(日本時間)に、往路の予定加速量である時速3600キロメートル分を噴き切って、往路イオンエンジン運転を完了した。
これだけの加速を、たった24キログラムの燃料で出来てしまうのが、イオンエンジンの威力だ。運用の裏で行なわれていたLSS(着陸点選定、Landing Site Selection)訓練やRIO訓練にははやぶさ2チームが集中できた背景には、このイオンエンジンの安定動作が寄与していたのは間違いない。初号機のイオンエンジンはとにかくよく止まった。止まるたびに管制室にメンバーが集まり、復旧し、軌道制御を再開するということを行っていた。そのような不意のイオンエンジン停止が、はやぶさでは全部で68回も起きていたが、はやぶさ2は往路中たったの4回だった。
イオンエンジン運転終盤の2018年2月26日、リュウグウまで130万キロメートルまで迫った時に、光学航法望遠カメラONC-Tにより初めてリュウグウの撮影が行われた。18枚の連続写真には、星空の中にゆっくり動く光点が写っていた。管制室に光学航法望遠カメラ(ONC)チームが集まっていた。沢山の星々に埋もれたかすかな点だったがONC主任研究者の東大の杉田精司は、「予定通りの写り方だ。はっきりリュウグウが写ってます!」と太鼓判を押した。
これが、はやぶさ2に見せてあげられたリュウグウの最初の姿だ。最初の光という意味で”ファーストライト”とも呼んでいたこの運用の成功は、感慨もひとしおだった。

考えても見てほしい。計算だけを頼りに、30億キロメートルほどの距離を目隠しで飛び続け、ある日ぱっと目を開いたら、その視野の真ん中にちゃんとリュウグウが写っていたのだ! 運動方程式という理論の世界と、惑星間飛行と天体力学が織りなす現実の物理現象が結節した瞬間だった。私が初めてはやぶさ2の軌道設計をしたのが2009年、そこから9年越しの計算問題の答えが合っていたことが証明されたのだ。小学校に入学して初めて先生に花丸をもらった時くらい嬉しい出来事だった。

じじぃの「歴史・思想_468_サピエンスの未来・終末の切迫と人類の大分岐」

Powerful Epic Choral Music: "Omega Point" by PostHaste Music

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=pBppepXo-7Q

A Cosmic Spirituality for a New Theology; Teilhard de Chardin’s Evolutionary Journey to Omega Christ by Aidan Hart

Jun 2, 2015 Association of Catholics in Ireland
In the first half of the 20th century (1881-1955), a French Jesuit priest, Fr. Teilhard de Chardin SJ, combined his theological, philosophical and scriptural studies with a growing interest in the structure of rocks and fossils (geology), the material aspects of the universe (palaeontology) and in the far distant origins, evolution and ultimate purpose and end of the universe (cosmology).
Journey to Omega Christ 02His work combines religion, spirituality and science in a comprehensive, harmonious and dynamic whole. It portrays a deep spiritual vision of the interior unity, complexity, diversity and evolving consciousness of all creation and the whole universe with God. It portrays God as still actively involved in creating His universe and guiding all humanity forwards and upwards in ever-evolving and deepening consciousness towards Himself.
https://acireland.ie/a-cosmic-spirituality-for-a-new-theology-teilhard-de-chardins-evolutionary-journey-to-omega-christ/

『サピエンスの未来 伝説の東大講義』

立花隆/著 講談社現代新書 2021年発行

はじめに より

この本で言わんとしていることを一言で要約するなら、「すべてを進化の相の下に見よ」ということである。「進化の相の下に見る」とはどういうことかについては、本文で詳しく説明しているが、最初に簡単に解説を付け加えておこう。
世界のすべては進化の過程にある。
    ・
我々はいま確かに進化の産物としてここにいる。そして、我々の未来も進化論的に展開していくのである。
我々がどこから来てどこに行こうとしているのかは、進化論的にしか語ることができない。もちろん、それが具体的にどのようなものになろうとしているのかなどといったことは、まだ語るべくもないが、どのような語りがありうるのかといったら、進化論的に語るしかない。
そして、人類の進化論的未来を語るなら、たかだか数年で世代交代を繰り返している産業社会の企業の未来や商品の未来などとちがって、少なくとも数万年の未来を視野において語らなければならない。人類の歴史を過去にたどるとき、ホモ属という属のレベルの歴史をたどるなら、100万年以上過去にさかのばらねばならない。
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本書では、ジュリアン・ハックスレーやテイヤール・ド・シャルダンといったユニークな思想家の発想を手がかりとして、そこを考えてみたいと思っている。

第11章 終末の切迫と人類の大分岐 より

「地球の死」の向こう側

物理学的な未来予測として、太陽の死は約束されており、それとともに、太陽系も死にます。地球も死にます。あるいは宇宙も死ぬのかもしれない。エントロピーの法則に従えば、宇宙にはいずれ熱的な死が訪れることになります。遠い未来の熱的死の前に、地球を含む宇宙の一部では、何らかの宇宙論的現象の果てに熱的死が訪れるかもしれない。いずれにしろ、地球の未来に待っているのは死です。
「世界の終末、すなわちわれわれにとっては地球の終末……あなたがたは、このおそるべきしかも確実なことについて、まじめに、人類的に、考えてみたことがときどきはあるだろうか?」(「生命と遊星」『人間の未来』)
とテイヤール・ド・シャルダンは問います。
「人間と地球を宇宙の枠のなかにもういちどおいてみようというあらゆる努力の果てに、いやでも出てくるのは、その問題である。それはもはや個人としての死ではなくて、プラネタリーな尺度での死の問題であり――まじめにさきのことを考えるなら、ただこの死のことを思ってみるだけで、いまここで、ただちに地球の全活力を麻痺させるに足りると思われる」(同前)
すぐ目の前に確実な死が待っているということになると、人間は、行動への意欲を失います。全人類的見地から、地球の未来を構築していこうというプラネタリザシオンの立場が正しいとわかっていても、そのために具体的な目標を設定しそれを実現していこうというような意欲はなくなるでしょう。
個人の場合も、未来は確実な死が待っているという状況は同じですが、
「個人としての人間はあとに残る息子たちや自分の仕事のことを考えて、みずからをなぐさめる。しかし、人類にとっては、将来何が残るだろうか?」(同前)
このままでは、人類の未来に待っているのは、「絶対のゼロ」です。完全なる死滅、大いなる墜落です。
このような状況がもたらすニヒリズムの影から逃れるためには、
「死の亡霊にヴェールをかけたり、これを遠くへしりぞけたりするだけでは足りず、これをわれわれの地平から決定的に追いはらってしまわなければならない」(同前)
どうすればそれが可能かといえば、個人が個人の終末の向こう側にまだ残るものがあることを考えて救いを得ているように、人類にとっても宇宙論的死の向こう側に存続するものがあることを信じることによってだといいます。ここから、神の存在の必要性が出てくるわけです。

人類がオメガ点に到達するとき

テイヤール・ド・シャルダンイエズス会の司祭ですから、もちろん、前から信仰を持っているのですが、ここでいきなり「信ずる者は救われん」みたいな形で、伝統的なキリスト教の教えを提示するわけじゃないんです。
どうしてもここで神の概念が出てこざるをえないということなんです。それなしには、この状況(前方に待つ確実な死)の克服ができないということなんです。
ここで登場してくる神の概念とは伝統的な神概念とはかなりちがったものでして、これまでも何度も話に出てきた、進化の極点としてのオメガ・ポイントのことです。そのような概念を指定することによってはじめて、未来に待つ死の影を追い払うことができるといいます。
    ・
進化の極限として、未来の人類がオメガ点に到達するというのはどういうことなのか。そのとき何が起こるのか。
「人類が自己を中心とする収縮と全体化の極限で、成熟の臨界点に達し、その果てに、地球や星が原初のエネルギーの消滅していくかたまりとなってゆっくりと回転するのを後方に残して、心的にこのプラネットから離脱し、諸物の唯一の不可逆な本質であるオメガ点に到達するということも、考えられてくるのではなかろうか? おそらく外的には死と似た現象であろう。しかし実際には、単に変貌にすぎず、至高の総合への到達なのである」(同前)
これがテイヤール・ド・シャルダンの終末のイメージなんです。それは一見すれば死であるが、それが同時に至高の存在に合一することによってたどりつく最後で最高の綜合だということなんです。
複雑性の理論を押し進めていけばこの結論しかないといいます。これは大胆すぎる仮説のように聞こえるかもしれないが、これしかないと。
ともかくこの仮説だけがわれわれに一貫性のある見とおしを開いてくれるのである。人間の意識ののもっとも根本的で強力な2つの流れ、知性の流れと行動の流れ、科学の流れと宗教の流れが将来収斂し頂点に達するという見とおしを」(同前)
複雑性の理論の延長が必然的にこうなるというのは、こういうことなんです。
複雑性は意識を生みます。生命の進化が進むにつれ、意識はより高次のものになっていき、それはついには、省察力を生みます。意識がある臨界点を通りすぎ、省察力のレベルに達したときが、人間の誕生だったわけです。人間は省察力を持った動物としてずっとやってきたわけですが、これからの未来進化において、いずれ複雑化の法則は人間の意識のレベルをもう一段上に押し上げるときが来る。そのとき、意識はもう1つの臨界点を通りこして、省察力以上の何ものかになるだろうというのです。人間が人間を超えた超人間になるというのはそういうことなんだというわけです。
「このように考えると、人類の歴史はとうぜん2つの臨界点にあいだにすっかり含まれることになろう。すなわち、第1の点は、もっとも低い、原初的な省察の点、第2の点は、もっとも高い、精神圏的な省察の点」(「精神圏の形成」『人間の未来』)
第1の点と第2の点の間が人間の時代で、第2の点の向こう側が超人間の時代になるわけです。

じじぃの「中国・海警法施行・尖閣めぐり進行する危機!日曜スクープ」

米非難「香港への直接攻撃だ」 (2021年3月6日)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dajLnRl3uyQ

日曜スクープ

2021年3月7日 BS朝日
【司会】山口豊上山千穂 【コメンテーター】杉田弘毅(共同通信社特別編集委員

世界が注目 今週のニッポン

・米国が注目 大谷翔平の快投
 米国のスポーツニュースサイト・SBネイション「今度はマウンドで!大谷翔平が再びエンゼルスを感動させた」。
 3月6日、アスレチックス戦に挑んだエンゼルス大谷翔平。 今季初の先発登板で見せた奪三振ショー。
 オープン戦:エンゼルス 7-3 アスレチックス。
 マドン監督は「これからすべてが始まる。過去の速球を取り戻した。スプリットも素晴らしかった」と語った。
 スポーツ専門チャンネル・EPSN記者は「私たちが去年夏に見ていた彼とは大きく違っていた。事実上の勝利だ」と絶賛。
 エンゼルス 6-2 レンジャーズの映像。
・オーストラリアが注目 ラグビートップリーグ
 ラグビードットコム「ラグビー界のスター選手が大集結。トップリーグがいま熱い」。
 ラグビートップリーグ2021リーグ戦:ヤマハ発動機 59-31 NECNTTドコモ 22-17 リコー。
 記事では自国、オーストラリア代表・マイケルフーパーに注目。
 フーパーは「トップリーグは世界中から来た一流の選手と親しくなり情報交換できる貴重な場所だ」と語った。
・米国が注目 篠田桃紅 死去。
 米国の日刊紙・ニューヨークタイムズ「書と抽象画を融合させた日本の美術家が死去」。
 墨を使った独特の抽象画で知られる美術家・篠田桃紅が3月1日、老衰のため東京都内の病院で亡くなった。107歳だった。
 大正2年生まれ。
 篠田桃紅は独学で「書」を極めたあと渡米。
 帰国後は版画や随筆まで活動範囲を広げ、晩年まで意欲的に活躍した。
 記事では「半世紀以上世界中の主要な美術館やギャラリーから高い評価を得てメトロポリタン美術館、近代美術館、シカゴ美術館、英国・大英博物館などで展示された」と伝えた。

徹底解説 ニュースの焦点

コロナ禍”緊急事態宣言を再延長 1都3県さらに2週間 東京五輪「海外からの観客」に暗雲。

尖閣めぐり「危害射撃」可能の見解 中国「海警法」施行…進行する危機

●ニュースの核心に迫る! 時事論考
【ゲスト】遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)、山田吉彦東海大学教授)
尖閣めぐり「危害射撃」可能の見解 中国「海警法」施行…進行する危機。
政府は、外国公船が尖閣諸島への上陸を強行すれば、凶悪犯罪と認定して武器使用により相手の抵抗を抑える「危害射撃」は可能との見解を示した。
領海侵犯を繰り返す、中国海警局の公船を念頭に置いた見解だ。海上保安庁、そして海上自衛隊の対応は? そして、中国は日本政府の動きをどのように見ているのか。
●政府は“武器使用”で見解
中国の海警法施行以来、一層の緊張が高まっている尖閣諸島の状況について、日本はどう対処していけばいいのか。
中国国防省は3月1日、ホームページで「中国公船が自国の領海で法執行活動を行うのは正当であり合法だ。引き続き常態化していく」と記している。
2月1日、中国は海警法を施行。
中国の主権や管轄権が外国の組織や個人から侵害を受けた場合、武器使用を含むあらゆる必要な措置が可能としている。
尖閣諸島周辺で海上保安庁の船舶や日本の漁船に対して発砲する恐れがある。
中国海警局の船による領海への侵入がエスカレートしている。
2020年、米国国防総省報告書を紹介。
2016年、海上保安庁尖閣領海警備専従体制を作った。
海上保安庁法第20条では「海上保安官の武器の使用については警察官職務執行法第7条の規定を準用する」としている。
日本政府は2月25日、海上保安庁の武器使用について「外国公船が沖縄・尖閣諸島への上陸を強行すれば凶悪犯罪と認定して「危害射撃」が可能になる場合がある」としている。

遠藤誉、「尖閣諸島と台湾は第一列島線上にある。中国は尖閣上陸に向けた行動を強めてくるだろう。中国は日本が先に武器を使うのを待っている。先に日本に武器を使わせたいのだ。日本は難しい立場に置かれている」

山田吉彦、「尖閣を押さえれば台湾の北の守りを崩すことができる。尖閣は台湾とセットになっている。台湾も非常に危険な状態にある」
●中国 「海警法」施行に潜む戦略
中国側との武力衝突を回避しつつ尖閣諸島への上陸を阻止するにはどうすればいいのか。
3月3日、九州・西方沖で海上自衛隊海上保安庁が不審船への対処を想定した共同訓練を実施した。
統合幕僚長・河野克俊は「野田政権の時は日本の尖閣固有化で反日感情が強く『あまり刺激しないように護衛艦は少し離れて見えないところに』と言われていた。安倍政権に代わり『見えないところにいては抑止にならない。見えるところにいるように』と言われ方針転換した」と発言した。
●“尖閣” カギ握る日米の連携
米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は3月4日、米シンクタンクで講演した。
「インド太平洋地域で米国と同盟国が直面している最大の危険は、中国による従来の抑止力に対する侵食だ」
と発言し、日本などの同盟国と連携して米軍の抑止力を強化する重要性を強調した。
岸信夫防衛大臣は3月5日、日本の安全保障に関して在日米国軍の重要性について改めて強調した。

山田吉彦、「確かに軍事力で中国は日本を上回っているが、潜水艦では日本の方が優れている。日本と米国が緊密に行動することが大事だ」

https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/